近畿圏の影
近畿圏の影
山から抜けてくる新たな勢力。
海からきた三殿台とは違う勢力なのか?
リーダーは分からなくなった。
「北川辺の大巫女様のところに来た勢力と同じじゃよ」
宇都宮の巫女はハッキリと言った。
リーダーは理解できなかった。
「いまは、道が人がひとり歩けるだけの峠を抜けると信濃に入る。信濃から木曽を抜け、愛知に出るその先に近畿圏という大きな勢力があるのじゃ。愛知から舟で出て三浦半島を抜け、東京湾に入り、北川辺に来たのと同じじゃ」
山から来た勢力と、海から登って来た勢力とが同じ、、、
そのことであった。
言葉はわかるが理解できなかった。
だが、意味がつかめない。
《山から来た者と、海から来た者達が同じ勢力、、、どういう事だ。》
リーダーは理解が追いつかなかった。
宇都宮の巫女はそれ以上は教えてくれなかった。
その勢力からの何かがあったのかもしれないが分からない。
巫女は目を閉じて、火に向かい手を伸ばし、胸に両手を持ってきて頭を下げた。
リーダーは外に出ろと言われたと思い、頭を下げて部屋を出た。
巫女の小屋から出ると下に降り、水田を見ながら宇都宮を去った。
宇都宮の平地を抜けると山と山の間を抜けるように進む。
利根川に出ると渡らず、休憩することにした。
川で遡上を登ってくる魚を弓を槍のように川の中に差し込み何匹か捕ることが出来た。
魚は枯れ木を差し込み焚き火の周りに刺して焼いた。
塩を振って食べる魚は美味しかった。
ひと晩焚き火の前でリーダーは考えた。
《得体のしれない勢力。近畿圏とは、いったい何なんだ。》
結果的に石の上で寝る事になった。
翌朝、身体を大きく伸ばして、手足を動かし、川を渡った。
ここからケヤキの小屋まですぐに着いた。
「巫女様、帰ったぞ。」
「リーダー、ご苦労さまでした。」
巫女は、朝の祈りを澄ました後だった。
リーダーは、大巫女に宇都宮で水田が増えていることを伝えに行った後、土浦や水戸や、那須に行って、水田技術の受け入れは、我らの暮らしにプラスになると思った。
だが、宇都宮の巫女様から話を聞いてそれだけじゃないことを知った事を伝えた。
「宇都宮に入った水田作りの民は、他の巫女達と同じ事を言っていたが、歩いて来ている近畿圏の勢力があるらしい。」
「険しい峠を越えてきてるの?」
「そうだ、しかもその近畿圏は、三殿台にも関係があるらしい。」
「どういうこと?」
「山の峠を抜けると、信濃に出て、木曽をすぎると愛知に出るらしい。愛知から近畿圏へ行けるんだそうだ。そして、その愛知から舟で三浦半島から入ってきた勢力が利根川を登った。彼らは北川辺を諦めた後、三殿台で暮らしを作っている。
つまり、彼らも近畿圏の勢力らしい」
ケヤキの小屋は、沈黙した。
外のケヤキの木の葉が風でカサカサ揺れていた。




