巫女達の変化
巫女達の変化
「ケヤキの民のリーダー、良う参った。
我が那須の巫女じゃ。
我らの麓の平地に弥生の住民が来て水田を作った。
巫女として、敬ってくれるので、そのままにしておる」
那須では、宇都宮に広がっていた、弥生化がここまで来たようだ。
平地の開拓ではこちらも文句は言えない。むしろ助かってるという事らしい。
「那須巫女様のご様子が昔と変わらないことが幸いです」
リーダーは言葉を失った。
弥生化は、ひとつのオプションの追加のようだった。
土浦では、新たな交流が新たな集落づくりになっていたようだったが、水戸でも那須でも、巫女の様子は、変わらなかった。
宇都宮に行くと何かを聞けるかな。
リーダーは、宇都宮の巫女に会おうと考えた。
那須から宇都宮に向かう。
平地に降りると小さな水田がぼちぼちと見えた。
山と山の間を縫うように歩いて行く。
慌てる必要がないから、昼過ぎた
弓を持ち直し、腰をかがめながら歩いていくと、キツネが横を走っていた。
シュ、シュ
2連発にも慣れてきたようだ。
キツネが倒れた。
大きな木があり、身体を休められる。
前で焚き火をして、捌いた肉を食べ、そのまま休んだ。
朝早く起き出し、いざ宇都宮へ、谷間を抜け、然し森が少し深くなり、そこの獣道のような所を歩いていくと宇都宮の巫女の小屋が見えてきた。
川の先に広場があり、小屋がいくつかあったが、その先に、緑色の水田が点々と広がっていた。
緑の穂が風に揺れている。
草刈りをする住民が何人か立っているのが見えた。
集落がまたその先に広がっている。
宇都宮は大きくなっていた。
先に見たのは反対側からだった。
衝撃に何も考えられず、北川辺の大巫女に伝えた。
いま、こうして、那須から宇都宮の巫女の小屋から見ると景色が変わって見えた。
「ケヤキの民のものです。宇都宮の巫女にお話を聞きたく尋ねました。」
リーダーは入り口に向かい声を出して、中の侍女を呼び出した。
侍女は、快く向かい入れてくれて中の巫女の部屋まで案内してくれた。
巫女は部屋の中で焚き火を焚いて、瞑想していた。
「失礼します。ケヤキの民のものです。巫女様に今の状況を教えていただきたくまいりました」
巫女は目をつむりながら、顔を上げ目を開いた。
「リーダーか。よう来てくれた。水田のことを知りたいという事だな。」
リーダーは頷き、巫女の言葉を待った。
「我らは山の神を祭るもの。平地に人や水田ができても変わらぬさ。しかし、山から抜けてくる新たな勢力の力は無視できないのだ。」
リーダーには、水戸や那須で感じた変わらぬ世界であるという思いが、違うという事に驚いた。
水田が広がることは、新たな勢力からの力を受け入れることなのか?
ということであった。
巫女の前の焚き火から青白い炎が揺れて、パキッと薪が割れる音がした。
急に空気が冷たくなった。




