土浦と水戸
土浦と水戸
ケヤキ集落のリーダーは、土浦へ向かった。
湿原がほとんどなくなり、陸地が広がっていた。
先代からの話では、朝の太陽が昇る方向に土浦があるはずだった。
途中で日が傾いて来たので、草原が切れて高い部分で焚き火をし、一泊した。
翌朝、太陽の昇る方向に向かった。
微高地が見えて来て、小屋が水辺に向かい立っていた。
昼過ぎになっていたので、水辺に舟は出た後なのだろう。網を干すための竿があり、集落の数も増えてあるようだった。小屋の横をすり抜け、集落の中心地へ向かうと、広場があり、老人たちが、子どもたちを見守りながら草を編んでいた。
広場の奥に大きな小屋が立っていて、その小屋の前に男が立っていた。
「まない、ケヤキの集落のものだか、巫女様と話がしたいのだが、石をいくつか持ってきたので納めたい。」
と言うと、男が小屋を覗き込み、侍女を呼んでくれた。
侍女にこちらへと促されると付いていった。
「ケヤキの集落のものだそうです」
侍女が伝えると入れと指示があった。
「巫女様、ケヤキの集落のものです」
挨拶をすると巫女が答えてくれた。
「良う来た、北川辺の大巫女様はお元気か?」
「はい、大巫女様のご指示なしで、来たのですが、北川辺の周りも水が引き始めています」
「ここは、相変わらずだが、海の巫女様のところから、様々なものが入るようになった。ゆっくりだが変化はしてる」
「宇都宮にも水田が出来ていて、今までとは違う力が来てるようです」
「そうか。利根川からの勢力とは別の勢力として、千葉の海の巫女様のところも大きな変化を示していて、我らも利潤を受けておる」
ケヤキの集落のリーダーは石をわたして、お礼を言い、また訪ねますと言って去ることにした。
関東の縄文に大きな変化が生まれていることを確認した。
次は、水戸へ向かう。
湿地帯を避けて、森の境界を歩いた。
1日ではキツイと判断し、1泊して水戸に向かった。
那珂川の手前の微高地に登ると、小屋があり、竹弓を作る小屋が並んでいた、奥の広場に出て、小屋の中へ向かい話しかけた。
「水戸の巫女様、ケヤキの集落のものです。お話を聞きたくてまいりました。」
中から侍女が出てきて促してくれた。
「巫女様、ケヤキの集落のものです。各地の弥生化について聞いてます。失礼とは思いましたがよろしくお願いします」
「は、は、は、相変わらずケヤキの集落の者は正直じゃのぉ、よいよい、我らの暮らし中心は変わらんが川向うに弥生化した集落が増えておる。我らとは交流を持っている、北川辺の大巫女様の指示なのか?」
「いえ、宇都宮が、大きく水田が出来ていて、その事を大巫女さまには伝えましたが、今回は我の判断で来ました。」
は、は、は、本当に正直者なと、嬉しそうに笑ってくれた。
そして侍女に伝え、酒を出してきた。
「弥生化は、実は助かるのじゃ、年に一回の収穫でも冬が楽になる。時代の流れかのぉ」
小屋から出ると、川向うの水田が目に入った。
ケヤキの集落のリーダーは、那須まで行ってみないといけないと決心した。




