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関東の縄文  作者: 熊さん
第一章:ケヤキの民
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宇都宮の巫女

宇都宮の巫女



朝、那須の巫女の洞窟から離れると、山を少し登り、お湯に入れる場所で湯につかり、滝のように落ちる水で体を清めた。

 

山から降りて谷沿いの道を南に向かった。

これまで、巫女に会うために、巫女の世界に触れるたびに驚いていて、整理する感情を置いてきてしまった。

湖のような水辺の生活や、その先に広がる見知らぬ社会、那珂川の流れの中で狩猟という強烈な強さ。

本当に世界は広い。

つくづく感じていた。


宇都宮への道は、山と山の間をクネクネと曲がって進む。


動物も飛び出して来る。


よしおは、また弓を使って狩る。


よしおは大きな川にぶつかり、川辺を使って簡易のテントを作り、焚き火をして、一泊した。


宇都宮までは、気が楽に動けた。


山を除け、進むと開けた場所に出て、小屋が立ち並んでいた。


陽射しが眩しく感じた。


突然、子どもたちや動物の声が響いてきた。


わーっ、わーっ、フゥン、フゥン


なかに進むと大きな広場があり、老人や女たちが木の実を干したり草を編んだりしていた。


木の実の甘い香りが漂っている。


子どもたちも、元気に走り回ってる。


その後ろに大きな小屋が建っていた。

よしおは入り口の女に話しかけた。


「北川辺の大巫女様より宇都宮の巫女様に伝言を持ってきました。ケヤキ集落のよしおと申します」


挨拶とともに、ケヤキの護符と籾を見せた。


女は挨拶を聞くと、そこで待っててくれと言って、奥に入って行った。


女が戻り、なかに引き入れてくれた。


中は祭場になっており、広かった。さらに奥に盾があり、部屋があるらしい。


宇都宮の巫女は、目をつぶり、一人でいつも瞑想のように座り、頭の中で流れを見るという人であった。


よしおは、そこに案内された。

小屋の中は静かだった。


「巫女様、連れて参りました」


中から小さな返事があり促された。


よしおは挨拶をして、巫女の前に座り、北川辺の大巫女の話をした。


宇都宮の巫女は、細身で目が綺麗な髪の長い姿をしていた。

細い声で答えた。


「北川辺の大巫女様の伝言を承りました。

苦労でした。」


「いいえ、大巫女様からのご指示ですから、土浦、海の巫女、水戸、那須の巫女にも伝えてきました。私は亡くなった父が移動するもので、子供の頃、宇都宮の巫女様にはお会いしていて、いまは、移動するものとしております。」


「長らく、南のような勢力というものもなかった。世の中が動いてる覚悟をせねばならぬな、よしおにも働いてもらうことになると思う」


「どうなるのでしょうか」


「分からん。でもこのように巫女たちが情報を共有することが大事じゃ、いまは、あるという事の理解だけだか、知らなければ、それまで、知っておれば覚悟もできる。」


なるほどと思った。

巫女の皆さまがあっさりと情報を流すので、どうかと思ったりしていたが、覚悟か。

よしおは、巫女たちの賢さに恐れ入っていたのである。


宇都宮の巫女の小屋は、昼過ぎには出た。

左に見えた白い山は、男体山だったかなと思った。


山頂には雪が残っていた。


風が山から吹き下ろしていた。


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