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関東の縄文  作者: 熊さん
第一章:ケヤキの民
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那須の巫女

那須の巫女



立派な角が、オス鹿が、木の間からスゥーッと出てきた。


ヒョン、シュン


首の付け根に弓が刺さったら、一発で倒れた。


よしおは、弓の軌道が見えなかった。


昨夜は酒を飲みまくり、サダオは倒れてしまった。

緊張しまくっていたよしおだが、泊まらせてもらい、朝日が昇る時に巫女様自ら部屋に来て、那珂川の流れまで送ると言われ、サダオは置いて付いてきたのだ。


すごい力だ、細腕で背が高いが、竹弓の凄さを目の当たりにした。


従者が、鹿を片付に走る中、巫女が話しかけてきた。


「南が来ておるのだな、早めに那須にも知らせて欲しい。この先に那珂川があり、上流に向かえばつけるはずだ。頼むぞ」


「はい、昨夜はごちそうになり、ありがとうございました。俺も死んだ父が移動するものだったので、那珂川の道は分かります。ありがとうございました。」


うむと頷き、巫女はよしおを促した。


岩場を下り、那珂川の方へ向かった。


木々を抜け、しばらく行くと獣道があった。


ザーッという皮の流れの音が聞こえてきて、段々とスピードを上げて進んでいく。


ふっと獣の気配を感じた。


よしおは、かがんで気配を探った。


水戸の巫女に対抗する気持ちがあったのだろうか。

キツネが走って出てきたところを


シュ、シュ


2連発の矢で仕留めた。


何だかなという感じになって、キツネを取り、血抜きした。


那珂川が近かったので、河原の石を組んで炉にして火をつけた。


木にぶら下げたキツネを捌き、肉にして、石の上で焼いた。

塩は忘れない。


一息ついて、水を飲む。


よしおは河原の獣道を進む。

二日目の朝、ようやく森を抜け、しばらく歩くと、また森が出てきた、今度は山登りだ。

岩が出てきた。


微かな硫黄の匂いがしてきた。


と、平らな部分にたどり着き、小屋が見えてきた。


ここは昔のままだなと思った。


小屋の中に人の気配を感じて、崖のような所に出ると、そこには広場があって、洞窟の前に茅がかぶさっていた。


よしおが大きな声で声をかけた。


「ケヤキの集落のよしおと申します。北川辺の大巫女様から伝言を持ってまいりました。」


しばらくすると、侍女が応対してくれた。


「那須の巫女様にお伝えしたいのですが、お取次ぎよろしくお願いします」


侍女が、中に入り、再び戻り、よしおを誘った。


「お主、会ったことがあるなぁ。大巫女様の使いとな」


よしおは、背の低く、少し小太りの巫女を覚えていた。


「南の勢力じゃな。うむ、お主が大巫女様の使いとは、立派なことじゃ」


久々に会った若者が立派にここに来たことを喜んだ。


「何処から来た」


よしおは、土浦、海の巫女、水戸の巫女に連絡してからこちらに来たことを話した。


もう酒も飲めるだろうと、酒を勧められ、恐縮しながら、飲んでケヤキの集落にも米が来たことを話した。


外は日が暮れていた。

月の綺麗な夜で、風も止んでいた。


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