水戸の巫女
水戸の巫女
静かな水辺を進む
シュ、シュ
舟を漕ぐ音が響く中、サダオが話す。
「よしお、夕方には水戸に着けると思う。」
「サダオさん、海巫女様には伝わっんだろうか?」
は、は、は、と笑うサダオ。
「海巫女様はいつもあんな風で、最後に目を見開いてただろう。あれがあれば間違いない。大丈夫だよ」
「うん、何だかよく分からんかった。だが凄く綺麗な方だった。」
は、は、は、とサダオがまた笑う。
「海巫女様は本当にきれいな方だと思う。惚れちゃ駄目だぞ」
「そんなこと、あるはずがない。」
「お前が来たことが知らせになってると思う。大丈夫だよ」
と話している内に、陸に着いた。
周りには、船もなかった。
よし、行くぞっとサダオが促し、陸を歩くことになった。
サダオはよく理解しているようで、スイスイと歩いていく、日はまだ高いが、よしお一人じゃ、こうは行かなかった。
よしおはついていくのに懸命に歩いた。
森が出てきて、徐々に坂を登ったり、降りたり、丘の上の方に向かってるようだ。
よしおだったら、海沿いを歩くしかないと思っていた。
森が深くなり、獣道のような道を進んでいると、パッと開けた所に出た。
森を切り開いた所に小屋が並んでいる。
長い竹を人間の身体を超えるような竹を大きく歪めて、磨いている。
竹弓はよしおは、触ったことがない。
もう一人、竹に弓を張る。
竹をギューンと曲げて糸を張っている。
向こうでは、石を加工して、矢を作っとるようだ。
森の中にこんな場所があるなんて、想像もしてなかった。
よしおは、驚き、ここでもまたキョロキョロしてしまった。
サダオは道具を扱ってる連中に挨拶しながら前に進む。
もう馴染みなんだろう。
何件かの小屋を過ぎると、今度は、また広場があり、広場の前で剣を振る女がいた。
ウン、ビュン、ビュン
刀の風を切る音が凄まじかった。
サダオが声をかけた。
「巫女様、サダオです。」
巫女と呼ばれる女がこちらを見た。
「なにようぞ、サダオ、副族長のお前がわざわざ来るのは珍しいのぉ」
「はい、北川辺の大巫女様の使いで、ケヤキの集落のよしおが来ましたので案内をしたきました。」
「ほほう、大巫女様の使い。」
巫女がよしおを見る。鋭い目が痛いぐらいだ。
しばらく見て、笑顔になり、
「良かった。そろそろ酒の相手が欲しかったのじゃ、部屋に入って飲もう」
巫女は剣を従者に渡し、振り返り小屋に入って行った。
小屋の中は、同じように広い。
やはり真ん中に火があった。
石が削られ、レンガのように四角く組まれていて、四角い炉のようになっていた。
巫女はさっさと座ると、サダオとよしおを促し、侍女に申し付け、サケが運ばれてきた。
大きめの器に、たっぷりとどぶろくのような白い酒がたっぷりついであった。
さぁ飲め、大巫女の使い方と丁寧なのか適当なのか、大巫女のネットワークはしっかりと繋がっているようであった。




