↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓、元私のお姉ちゃんへ。〜何故か姉が犬だけど気にせず学園ライフを謳歌したい〜  作者: 叶 梨鈴
日常編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

1-20 「中等部組(5人)」

 桐生の家で遊んだ翌日の月曜日の朝。俺はいつものように学校に登校している。


 あの"元"問題児である古田霧夜も遊びに来るってなった時は仮病で休もうかと考えたほど本当に行きたくなかった。

 謝罪されたとはいえ、俺にとってあの人は脅威でしかない存在だったから。宙は行くって言うから、仕方なく俺も行ったけど。


 ただ、結果は意外だった。大人しかったのだ。何だかこう、身の程を弁えてるって感じ(ゲーム中は除く)で。本当に何もトラブルを起こさなくて拍子抜けした。


 俺にも何もしてこなかったし。あの人、マジで一体どうしたんだ? 頭でも打ったか?


 そんなことを考えていると、後ろから駆けてくる音が聞こえてきた。ああ、いつもの桐生と氷華さんか。


「蓮月、おはよ〜」


「おはよ⋯⋯⋯っっ!?」


 後ろを振り向いて、俺は今にも走り出しそうになった。


 桐生がいる。けどもう1人は氷華さんじゃない。



 古田だ。例の古田 霧夜が、何故か桐生と一緒にいる。



「⋯⋯⋯⋯はよっす」


「え⋯⋯⋯⋯あ」


「ほら蓮月、古田に挨拶」


 桐生にそう怒られ、俺はなんとかオハヨウと声を絞り出す。


 いや⋯⋯いやいやいやいや、ちょっと待って。いくら大人しくなったとはいえ⋯⋯無理だよ? え、宙いないもん。立花も。終わった。


「たまたま行きで一緒になったんだよ。ね?」


「おう」


 おう、じゃない。それで俺のとこに来るなよ。


 俺の怯えた様子に気づいたのか、桐生が少し顔をしかめ、耳元で囁いてきた。


「ねぇ蓮月、そこまで怖がらなくても大丈夫だよ、もう何もしてこないよ」


 そういうことじゃないんだ。違うんだよ。


 そう言葉にできずにぱくぱく口を動かしていると、古田がちょっと悲しそうな顔で俺をじっと見てきた。怖い。


「⋯⋯⋯⋯静紅、ちょっと先行っててくれ、すぐ行くから」


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?


「え、でも」


「いいからいいから、何もしねぇよ」


「⋯⋯⋯⋯しないと思うけど、蓮月に何かしたらダメだからね」


「⋯⋯分かってる」


 桐生が少し心配そうにチラチラ振り返りながら歩いて行った。


 いや、え? 行かないで? せめて宙とか呼んで?


 ――助けて。


 桐生が随分先へ歩いていってしまい、俺は絶望した。

 古田が俺を見て立ち止まる。


「⋯⋯えっと、津野さん」


 俺がビクッと肩を震わせるのを見て、古田は困った様子で頭をかいた。


「まじでなんもしない。そんな怖がんなよ、ちょっと聞きたいことがあるだけだって」


 俺は何も喋れずにただ固まっていた。


 聞きたいことって何、俺が調子乗ってるみたいな? はい、終わった。


「あの、ごめんな。今まで怖がらせるようなことして。本当に」


 俺がネガティブになりまくってると、古田が宥めるようにゆっくり言ってきた。


 ⋯⋯なんだ? 本当に何が目的なんだ、この人。


「その、俺が聞きたいことについて答えてくれるか?」


「⋯⋯⋯⋯⋯は、はい?」


 やけに丁寧で、思わず了承してしまった。逆に怖くなってくる。


「津野さんってさ、その⋯⋯静紅のこと――」



「おい、蓮月に何してんだ」



 ハッと声をした方を向くと、宙が立っていた。あの、()()()()()()()()()()()()()()()()()


 ああ、良かった。宙、本当に本当にありがとう。2人きりにならなくてすんだ。


「ほ、星宮!? 違ぇよ、これは――」


「蓮月怖がってんだろ。何しようとしてたんだよ」


 宙が俺を古田から庇うようにして立って、正面から古田を睨んだ。俺はそんな宙の顔を眺める。


 ⋯⋯というか、古田には別に謝られただけで、怖かったけど特に何もされていない。流石に何もしないで宙にボコされるのは可哀想だ。


「あの⋯⋯宙違うよ、多分、そういうつもりじゃないと思う」


「え? 本当に?」


「本当! 本当だよ! 話してただけだって! な?」


 古田が慌てて弁解して、宙の表情がいつもの人懐っこそうなものに戻った。


「じゃあ2人で何話してたの?」


「ちょっと聞きたいことがあっただけで。⋯⋯その、お前らってさ――」


「ちょっと待ったーーっ!」


 急にバカでかい声が聞こえたと思ったら、桐生が俺達の間に飛び込んできた。


「せっかく仲直りしたんだから、喧嘩は良くな⋯⋯って、あれ?」


 急になんだ? と俺達が目をぱちくりしていると、不思議そうな顔をした立花が桐生の後ろから歩いて来た。


「なんだしずっち、喧嘩してないじゃん。よかった〜」


「え? あれ? でもさっき、宙がすごい怖い顔で蓮月と古田のとこに走ってったから、てっきり⋯⋯」


 そう言って、桐生が気まずそうに目を泳がせる。


 どうやら、桐生は俺達が喧嘩してるって勘違いして立花を連れて来たらしい。


「そ、それで、何を話してたの?」


「話せなかったわ。お前のせいでな」


 古田が苦笑いしながらそう答えた。


 そういえば、聞きたいことって何だったんだろう。


「ご、ごめん⋯⋯で、でもまぁ5人揃ったわけだし、皆で行こ! ねっ?」


 桐生の言葉に、俺達は並んで歩き始める。


「なんかこの中に古田がいるのってすごい違和感よね。なんでアンタいるんだっけ?」


「おっ酷いぞ立花」


 本当に立花の言う通りだ。まさか、この5人で遊んだり、登校することになるとは。


 果たして、俺はこのメンバー⋯⋯というか古田に順応できるのだろうか。


 そんな俺の不安とは裏腹に、桐生は楽しそうに浮かれた足取りで歩いている。


「やば、後5分で遅刻する!」


 すると宙が腕時計を見て焦って言った。


「急げー! ほらしずっちはやく!」


「まってみいな!」


「ちょお前ら! ったく走んのかよ」


 1人2人と走り出していく。


「ほらっ、蓮月! 行こうぜ!」


 宙が、笑って手を差し伸べてくる。


「⋯⋯うん」


 俺は少し躊躇ってからその手を取った。

 あたたかい、宙の手を。


 学校へ走り出す。

 俺は気づいたら宙と一緒に笑っていた。


 ――まぁ、いいか。


 元問題児がいても。4人組じゃなくなっても。何もしてこないのなら。


 そして、宙がいるのなら。

 静紅・水萌・宙・蓮月のイツメンに、新たに霧夜が加わった。

 新メンバーが加わった中、これからの学校生活はどうなるのか?


 次回 「波乱、再び」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。