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拝啓、元私のお姉ちゃんへ。〜何故か姉が犬だけど気にせず学園ライフを謳歌したい〜  作者: 叶 梨鈴
日常編

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1-14 「みいなとしずっち」

 水萌ちゃん、宙、蓮月と家で遊んだ翌日の日曜。

 しずくは、リビングでスマホのメールアプリを眺めてニヤニヤしていた。


 『minamo』、『そら』、『津野 蓮月』、『夏南』。


 昨日新しくメールに登録された人達のアカウント名だ。


 星宮さんとは、昨日遊んだ3人とメール交換したノリのまま交換した。……今のところこっちからメールする予定はないけど。


 それにしても一体いつぶりだろ、こんなに登録アカウントが増えるのは。何なら初めてかもしれない。


 えへへ、これであの3人といつでも会話し放題♪


 うきうきでメールを確認してみると、早速水萌ちゃんがいつめん4人のグループトークを作ってくれていた。既に宙がスタンプで挨拶してたから、しずくも「よろしく」と犬が話しているスタンプを送信する。


 蓮月からの既読もついたところで、水萌ちゃんから『暇だったら皆で電話しよ〜』と送られてきた。

 その提案にしずく含め3人もOKし、グループ通話が開始される。


 今はお姉ちゃんが部活で家にいないから、自室に移動せずにリビングのソファーに座ったまま通話に参加した。


「もしもし〜。久しぶり〜」


『久しぶり、しずっちの声聞きたかったわ〜』


 電話越しに水萌ちゃんの声が聞こえ、ちょっと感動する。


『ほんとほんと、俺もすごい寂しかったよ〜』


『何その久々に再開したみたいなノリ。全然昨日ぶりだけど』


 電話でもいつもと変わらないこの感じ、いいな。


「ね、今何してたの」


 お姉ちゃんが友達と電話する時いつも言っていたことを訊いてみた。


 これが、友達と電話する時の定番! ようやく口にすることができてスーパー嬉しい。


『俺は今普通にゲームしてたよ! 昨日皆でやったやつだけど、やっぱムズいわ〜』


『あとで攻略法教えてやんよ。うちは今昼寝しててさ。起きて暇だったから皆と電話したかったんよね』


『俺はスマホの写真整理してた』


 「へー! しずくはコンビニ飯食べてたよ、鮭弁!」


 『……なんかしずっちテンション高めやね』


 まぁ、皆とお話ししてるからね。


 それを直接言うのはちょっと照れくさかったから、鮭弁が美味しかったからと言って誤魔化した。


「そういえば、蓮月って写真好きなの? 部活でも望遠鏡ごしの空を撮るのに拘ってる気がして」


『まぁ、うん。撮ってんのはいつも夜空とか星とか月とかばっかだけど』


『そうそう、蓮月はすっごい写真撮るの上手いんだよ! よく俺のことも撮ってもらうんだけど、蓮月が撮ると写真写りが良くてさ! 俺の写真集出せるレベル』


「蓮月が撮った宙の写真集……買うかも、多分」


『多分ってなんだよ、買ってくれよ〜』


『そもそも出す前提なのおかしいだろ』


 3人で笑っていると、ふと水萌ちゃんがムッとしている雰囲気を感じ取った。


『……ずるい』


「へ? どしたの水萌ちゃん」


『前から宙と蓮月ばっかずるい! うちだってしずっちから呼び捨てで呼ばれたいもん!』


「えっ?」


 水萌ちゃんが何やら怒っている。……そういえば、確かに水萌ちゃんだけちゃん付けで呼んでるな。宙と蓮月は……男子ってこともあってなんとなくノリで呼んでたけども。


『そういやそうだよな。静紅、可哀想だから水萌のこと水萌って呼んであげろよ』


『そうだそうだ、うちだけなんかよそよそしいじゃんか』


「み、みなも……んー、なんかしっくりこないって言うか」


 もう「水萌ちゃん」で定着してるから、なんとなく違和感を感じる。


『じゃ桐生も渾名で呼べば? お互い渾名で呼び合った方が仲良し感が強まるんじゃない』


『え、いいじゃん! ね、しずっちはうちのこと何て呼びたい?』


 蓮月の提案に、水萌ちゃんの声が明るくなる。

 確かに水萌ちゃんからはしずっちって呼ばれてるし、そっちの方が距離も縮まるかも。


「うーん、みなっち……は、しずっち感が強いな。……あ、ミーナ、とか」


『……みいな? え、かわいい! みいなって呼んでしずっち!』


『え、可愛いから俺もみいなって呼んでいい?』


『いや宙はダメ! しずっちだけの特権なの〜』


 みいな。うん、自分で提案したわりに結構しっくりくるかも。


「えへ、よろしく、みいな」


『しずっち〜』


「みいな〜」


『ちょっとそこでイチャつくなよ〜』

 

 ふふ、これで水萌ちゃ……じゃなくて、みいなと、もっと仲良くなれる気がする。


『あれ、蓮月女子と電話してんの?』


 喜んでいると、急に女の人の声が聞こえてきた。


『いや、ちょ……姉ちゃん帰ってたなら言えよ、てか宙もいるし』


 え、姉ちゃん? ……そういえば蓮月、お姉さんがいるんだっけ。


『あ、美月さんこんにちは〜!』


『みっちゃんなんか久しぶり!』


『お、宙くんに水萌ちゃん、久しぶり。あれ、このしずくって名前のアカウントの子は見た事ないけど、新しいお友達?』


「こ、こんにちは、新しく転校してきました、桐生静紅、です。蓮月とは仲良くさせてもらってます」


 ビデオ通話じゃないから顔は分からないけど、声質は蓮月と似ている気がする。


『よろしくね。⋯⋯ごめん、私と蓮月ちょっと買い物行ってくるからここで切るね、またね』


『え買い物って聞いてないんだけど……あーごめん、じゃな、また明日』


 蓮月が通話から抜けちゃったから、通話を終わらせることになった。


「みいなと宙、また明日ね。愛してる」


『愛してるってウケるんですけど! ばい〜、うちも愛してるよ〜』


『えこれ俺も愛してるって言う流れ? とりあえずまた明日な〜』


 通話が切れ、ほくほく顔でソファーから立ち上がると、玄関にお姉ちゃんがニヤニヤした顔で立っていた。


「静紅、今愛してるって言ってた? ……ふふ、静紅がお友達と仲良くなれてお姉ちゃん嬉しいよ……」


「ちょ、聞いてたの!? 帰ってきてたなら言ってよっ」


 まさかさっきの蓮月と同じことを言うはめになるなんて。またからかわれるのかぁ……


 しずくは絶望するのだった……(2回目)



 水萌、宙、蓮月、それから夏南と新たにメールを交換した静紅。

 念願の友達との通話に、静紅のテンションは高まっていた。


 そしてふと、水萌が、「自分も呼び捨てで呼ばれたい」と本音を明かす。


 それが中々しっくりこず悩んでいると、蓮月がお互い渾名で呼ぶことを提案した。


 静紅の考えた水萌の渾名は「みいな」。水萌はそれを気に入り、お互い渾名で呼び合うことに成功。

 「しずっち」と「みいな」は、これから更に友情を深めていけることを嬉しく思うのだった。


 次回 「和解」

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