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拝啓、元私のお姉ちゃんへ。  作者: 叶 梨鈴
日常編

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14/16

1-13 「みいなとしずっち」

 水萌ちゃん、宙、蓮月と家で遊んだ翌日の日曜。


 しずくは、リビングでスマホのメールアプリを眺めてニヤニヤしていた。


 『minamo』、『そら』、『津野 蓮月』、『夏南』。


 それが昨日新しくメールに登録された人達のアカウント名だ。


 それにしても一体いつぶりだろ、こんなにメール欄が潤ったのは。……小学生、ぶりかな。


 えへへ、これであの三人といつでも会話し放題だ。

 

 星宮さんとは、昨日遊んだ三人とメール交換したノリのまま交換した。……今のところこっちからメールする予定はないけど。


 メールを確認してみると、早速水萌ちゃんがいつめん4人のグループトークを作ってくれていた。既に宙がスタンプで挨拶してたから、しずくも「よろしく」と犬が話しているスタンプを送信する。


 蓮月からの既読もついたところで、水萌ちゃんから『暇だったら皆で電話しよ〜』と送られてきた。

 その提案にしずく含め3人もOKし、グループ通話が開始された。


 今はお姉ちゃんが部活で家に居ないから、しずくは自室に移動せずリビングのソファーに座ったまま通話に参加した。


「もしもし〜。久しぶり〜」

『久しぶり、しずっちの声聞きたかったわ〜』


 電話越しに水萌ちゃんの声が聞こえ、ちょっと感動する。


『ほんとほんと、俺もすごい寂しかったよ〜』

『何その久々に再開したみたいなノリ。全然昨日ぶりだけど』


 電話でもいつもと変わらないこの感じ、いいな。


「ね、皆今何してたの」


 しずくはお姉ちゃんが友達と電話する時いつも言っていたことを訊いてみた。

 これが、友達と電話する時の定番! ようやく口にすることができてスーパー嬉しい。


『俺は今普通にゲームしてたよ! 昨日皆でやったやつだけど、やっぱムズいわ〜』

『あとで攻略法教えてやんよ。それでうちは今昼寝してたんだけど、起きて暇だったから皆と電話したかったんよね』

『俺はスマホの写真整理してた』

 「へー! しずくはコンビニ飯食べてたよ、鮭弁!」

 『……なんかしずっちテンション高めやね』


 まぁ、皆とお話ししてるからね。


 それを直接言うのはちょっと照れくさかったので、しずくは鮭弁が美味しかったからと言って誤魔化した。


「そういえば、蓮月って写真好きなの? 部活でも望遠鏡ごしの空を撮るのに拘ってる気がして」

『まぁ、うん。でも撮ってんのはいつも夜空とか星とか月とかばっかだけど』

 『そうそう、蓮月はすっごい写真撮るの上手いんだよ! よく俺のことも撮ってもらうんだけど、蓮月が撮ると写真写りが良くてさ! 俺の写真集出せるレベル』

「蓮月が撮った宙の写真集……買うかも、多分」

『多分ってなんだよ、買ってくれよ〜』

『そもそも出す前提なのおかしいだろ』


 3人で笑っていると、ふとしずくは水萌ちゃんがムッとしている雰囲気を感じ取った。


『……ずるい』

「へ? どしたの水萌ちゃん」

『前から宙と蓮月ばっかずるい! うちだってしずっちから呼び捨てで呼ばれたいもん!』

「えっ?」


 水萌ちゃんが何やら怒っている。……そういえば、確かに水萌ちゃんだけちゃん付けで呼んでるな。宙と蓮月は……男子ってこともあって、なんとなくノリで呼んでたけども。


『そういやそうだよな。静紅、可哀想だから水萌のこと水萌って呼んであげろよ』

『そうだそうだ、うちだけなんかよそよそしいじゃんか』

「み、みなも……んー、でもなんかしっくりこないって言うか」


 もう「水萌ちゃん」で定着してるから、なんとなく違和感を感じる。


『じゃ桐生も渾名で呼べば? お互い渾名で呼び合った方が仲良し感が強まるんじゃね』

『え、いいじゃん! ね、しずっちはうちのこと何て呼びたい?』


 蓮月の提案に、水萌ちゃんの声が明るくなった。

 確かに水萌ちゃんからはしずっちって呼ばれてるし、そっちの方が距離も縮まるかも。


「うーん、みなっち……は、しずっち感が強いな。……あ、ミーナ、とか」

『……みいな? え、かわいい! みいなって呼んでしずっち!』

『え、可愛いから俺もみいなって呼んでいい?』

『いや宙はダメ! しずっちだけの特権なの〜』


 みいな。うん、自分で提案したわりに結構しっくりくるかも。


「えへ、よろしく、みいな」

『しずっち〜』

「みいな〜」

『ちょっとそこでイチャつくなよ〜』

 

 ふふ、これで水萌ちゃ……じゃなくて、みいなと、もっと仲良くなれる気がする。


『あれ、蓮月女子と電話してんの?』


 急に蓮月の電話口から女の人の声が聞こえた。


『いや、ちょ……姉ちゃん帰ってたなら言えよ、てか宙もいるし』


 え、姉ちゃん? ……そういえば蓮月、お姉さんがいるって言ってたような。


『あ、美月さんこんにちは〜!』

『みっちゃんなんか久しぶり!』

『お、宙くんに水萌ちゃん、久しぶり。あれ、このしずくって名前のアカウントの子は見た事ないけど、新しいお友達?』

「こ、こんにちは、新しく転校してきました、桐生静紅、です。蓮月とは仲良くさせてもらってます」


 ビデオ通話じゃないから顔は分からないけど、声質は蓮月と似ている気がする。


『よろしくね。あ、私と蓮月ちょっと買い物行ってくるからここで切るね、またね』

『え買い物って聞いてないんだけど……あーごめん、じゃな、また明日』


 蓮月が通話から抜けちゃったから、しずく達も通話を終わることにした。


「みいなと宙、また明日ね。愛してる」

『愛してるってウケるんですけど! ばい〜、うちも愛してるよ〜』

『えこれ俺も愛してるって言う流れ? とりあえずまた明日な〜』


 通話が切れ、しずくがほくほく顔でソファーから立ち上がると、玄関口にお姉ちゃんがニヤニヤした顔で立っていた。


「静紅、今愛してるって言ってた? ……ふふ、静紅がお友達と仲良くなれてお姉ちゃん嬉しいよ……」

「ちょ、聞いてたの!? 帰ってきてたなら言ってよっ」


 まさかさっきの蓮月と同じことを言うはめになるなんて。またからかわれるのかぁ……


 しずくは絶望するのだった……(2回目)

 「みいな」と「しずっち」。

 渾名で呼び合うことによって、更に仲の深まりを期待する静紅なのであった。


 次回タイトル 和解


 近々投稿します。最近初めてブックマークを付けてくだった方がいて本当に嬉しい限りでございます。これからもこの作品を楽しんで読んで貰えれば幸いです。

 

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