第5話 ついに見つけた埋蔵金
「……気になるな」
蘭丸は、さきほどから妙に気になっていた木箱の前にしゃがみ込んだ。
隠し部屋に積まれた木箱。
いかにも、
「開けてください」
と言わんばかりの存在感を放っている。
「……いや」
蘭丸は一度、首を横に振った。
「こういうのは勝手に開けちゃいけない気がする」
律儀なことを考えたのは、わずか三秒。
「……でも、俺の山だよな?」
祖父から相続した土地。
その地下にある隠し部屋。
そして、ここまで自分で見つけた。
「つまり……俺のもの?」
誰も答えない。
「……開けるか」
結論は早かった。
蘭丸は木箱の蓋に手をかける。
ギシ……。
長い年月を経た木が、乾いた音を立てた。
「……よいしょ」
蓋を持ち上げる。
そして――
「…………」
蘭丸は固まった。
木箱の中に詰め込まれていたのは、古びた金色の貨幣だった。
それが、ぎっしり。
まるで砂金のように、箱いっぱいに詰まっている。
「…………金?」
蘭丸は一枚を手に取った。
ずっしりとした重み。
独特の輝き。
そして刻まれた紋様。
「……甲州金?」
甲州金。
戦国時代から江戸時代にかけて甲斐国周辺で用いられた金貨。
つまり――
「本物……?」
指先が震えた。
蘭丸は慌てて木箱の中を覗き込む。
一枚。
二枚。
三枚。
そんな数え方をしている場合ではない。
どう見ても――
「……大量にある」
ざっと見ても、千枚近くはありそうだった。
「…………」
蘭丸の脳裏に、以前祖父とお宝を鑑定するテレビで聞いた甲州金の価値が浮かんだ。
一枚五万円。
もし、本当に一枚五万円なら――
十枚。
「……五十万円」
百枚。
「……五百万円」
そして――
「千枚なら……」
蘭丸の顔から、血の気が引いた。
いや。
逆だった。
見る見るうちに顔が紅潮していく。
「……五千万」
呟く。
「五千万……?」
もう一度。
「五千万円……」
そして――
「五千万円っ!?」
洞窟中に蘭丸の絶叫が響き渡った。
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
蘭丸は木箱を抱きしめた。
「金だぁぁぁぁぁぁっ!」
その姿は、先ほど白骨を前に手を合わせていた少年と同一人物とは思えない。
「これで……!」
蘭丸の目から涙がこぼれた。
「これで俺は……!」
傷んだ屋根。
ボロボロの畳。
減り続ける祖父の貯金。
食費。
光熱費。
学費。
これまで蘭丸を苦しめ続けてきた、ありとあらゆる金銭問題。
「貧乏生活から……!」
拳を握りしめる。
「脱出できるっ!」
蘭丸は天を仰いだ。
「ありがとう、じいちゃん!じいちゃんの巻物のおかげだ!」




