フィーブ・キール 5
Ⅶ フィーブ
凝然と、まるで魅せられたかのように、ボルティモアから視線を離すことができなかった。
誰かの腕から滴る血を啜る姿は、まるで、昔話の『悪魔』さながらで……、あまりのおぞましさに、目を逸らすことができなかったのだ。
それは、多分、オベールも同じだったろう。
城主に剣を向けるわけにも行かず、逃げ腰な他の騎士たちも同様だったにちがいない。
まるで時が止まったかのように、血を啜りつづけるボルティモア以外は、その場から、動くことすらできないでいた。
次に、あの腕の持ち主のようになるのは、誰なのか。
おそらく、誰も彼もが、そんなことを考えていたのに違いない。
再び時が動き始めたのは、突然の、哄笑のためだった。
誰も彼もが、動かない、そんな、空間に、突然響いた、腹の底からの、笑い声。
この場の誰ひとりとして、笑い声の主が誰なのか、きっと、わからなかったのに違いない。
オレもまた、それが、誰のものなのか、わからなかったのだ。
笑い声がほとばしったのは、オレの背後。オレが、アーキスを隠した、スクリーンの裏だった。
まさか………。
オレは、俺の耳を疑っていた。
悪意と歓喜に染まった笑い声の主が、オレの知るアーキスとはうまく噛み合わなくて、いったい、なにが、スクリーンの裏にいるのか、不安になった。
アーキスは、結局逃げなかったのか。
逃げられなかったのか。
諦めたのだろうか。
いったい、スクリーンの裏に、なにが潜んでいるのか。
見たいような、見たくないような。
知りたいような、知りたくないような。
相反する思いがぐるぐると渦を巻く。
オレは、途方にくれて、ただ、そちらを、見ていたのだろう。
やがて、その影から姿を現わしたのは、まがうことなく、アーキスだった。
しかし、オレは、こんなアーキスなど、知らない。
いや、一度、アーキスを見知らぬものと思ったことがあったが、このアーキスは、その時よりも、より一層の、違和感を、まとって、そこに立っていた。
「アーキス………」
オベールにまだ拘束されていることを忘れて、オレは、アーキスの元に近寄ろうとした。
しかし、オレは、
「はなせっ! ちくしょう」
どれだけ暴れても、呆然としているように見えるオベールの力は、相変わらずだった。
「くそっ」
それでも諦められず、必死に暴れたオレは、突然の解放に、勢いあまって、蹈鞴を踏んだ。
「殿っ」
オベールの切羽詰った声につづいて、重いものが床にぶつかる音が響いた。オレは、打った膝の痛みも忘れて、顔を上げた。
なにが起きているのか、確認しようとしたオレの視界に、白い、アーキスの、繊細な手が、あった。手の輪郭に沿って視線を上げてゆくと、そこには、見慣れた、アーキスの顔。
ああ、アーキスだ―――
先ほど感じた違和感を忘れて、オレは、アーキスの手を取ろうとした。
しかし、それは、叶わなかった。
オレが、アーキスの手を握るよりも素早く、ボルティモアが、アーキスに襲い掛かったからだ。
「アーキスッ!」
思わず、オレは、ボルティモアの腕を、力任せに抱えこんだ。
「やめろっ。このっ。アーキスは、おまえの家畜なんかじゃないんだ!」
必死に引っ張り、アーキスから遠ざけようとする。しかし、この、尋常じゃない力強さはなんなんだ。
あんなに、ふらふらに見えたのに、今にも、膝を付きそうなほどに弱っているように見えたというのに、気を抜けば、オレは、振り払われそうだった。
「アーキス、逃げろっ!」
なぜ逃げない。
なにをやってるんだ。
いろんな感情がごったになった叫びに、しかし、返ってきたのは、
「逃げる?」
冷え冷えとした、しかし、深く響く、声だった。
オレの背中に、寒気が走った。一気に、先ほどの違和感がよみがえる。
「私は、逃げなどしない」
クスクスと、この状況を楽しんでいるかのように、アーキスが、笑った。
「アーキス?」
「勘違いするな」
そう言う、アーキスの声には、滴らんばかりの憎悪がこめられていた。
恐い。
アーキスが、恐ろしくてならない。
オレは、アーキスに、憎まれていたのだろうか。
これ以上はありえないほどの、最悪の展開に、オレは、ボルティモアの腕を手放し、床に腰を落とした。
「家畜に甘んじるなどとは言っていない。単に、逃げる必要など、この私には、ありはしないということだ。堂々と、正面から、私は、この城を出てゆくことができるのだから」
やわらかい口調に滴る憎悪。
オレは、ただ、震えていた。
オレが、アーキスを逃がしてやる――それは、アーキスにとって、ただ、烏滸がましいだけのことに過ぎなかったのだ。
「わかっているのか」
わかっている。わかった。ごめん。どう言えばいいのだろう。オレは、恐る恐る、顔を上げた。
「マクシミリアン・ボルティモア。おまえには、私を止める手立てとて、残されてはいない」
そう言いざま、ただアーキスに縋りつくようにしてなにごとかをつぶやきつづけているボルティモアを、アーキスは突き放した。
「殿」
ボルティモアの、オレとは反対側の床の上にうずくまっていたオベールが、つぶやいた。それは、呆然と、ただ口に馴染んだ単語をつぶやいたとでも言うかのような、力のないものだった。
床の上、オレを振り払おうとした怪力が嘘のように、ボルティモアが、よろぼう。
ぽたぽたと口や目から、よだれや涙を流しながら、アーキスを見上げ、手を伸ばそうとする。何度も何度も、手を伸ばしかけては、力なく、うずくまる。
そのさまは、思わず、同情したくなるほど哀れなものだった。
オレは、ただ、ボルティモアを見ていた。
騎士たちも、オベールも、誰ひとりとして、動こうとはしない。
恐ろしいのだろう。
おそらく、騎士としての鍛錬を怠っていないだろう彼らには、端然と佇むアーキスの本質が、感じられるのかもしれない。だから、動きたくても、動けないのだ。
ただ、ボルティモアの意味不明なつぶやきだけが、不気味なほどに、聞こえていた。
オレもまた、アーキスにとって、ボルティモアと同じ存在に過ぎなかったのだろう。いつ、彼に向かって、牙を剥くか知れない、危険な存在―――。そう思えば、アーキスの顔を見ることなど、できなかった。
見ないでいるから、だから………。
もう、きっと、アーキスを見ることはないだろう。
それを思えば、ぱたぱたと、涙が、床を濡らす。
ああ、ざまぁない。
勝手に、正義感ぶって、アーキスをオレは守るんだと必死になって、けれど、それらは、すべてが、アーキスにとっては煩わしいものだったのに違いない。
ごめん。
ごめんな。
オレは、袖で、涙を拭った。
そうして、目を見開いた。
「うわっ」
うろたえてしまったのは、オレの目の前に、金の目があったからだ。
金の目――アーキスの、きれいな、まなざし。
少し距離をとると、アーキスが、不思議そうにオレを見ているのがわかった。アーキスは、無防備に、ボルティモアたちに背を向けて、オレの目の前に、膝をついている。
つい――と、優雅に、白い手がひるがえる。そうして、アーキスの指が、オレの目元を、すっと、なぞった。
「どうして、泣く?」
先ほどの滴らんばかりの憎悪が嘘のように、アーキスが、小首をかしげる。
「だ………オレのことだって、憎いんだろう。ほ、本当は、嫌ってるんだろう。だったら、こんなとこでオレのことなんかかまってないで、さっさと、ここから、出て行っちまえ」
そっぽを向いて、目をきつくつむって、オレはことばを投げつけた。
悲しいけれど、辛いけれど、オレは、憎まれてまで、アーキスとは一緒にいられない。嫌われているのがわかっていて、一緒にいることなんかできない。
スッ――――と、アーキスの気配が遠ざかる。
やっぱりな―――――やっぱり、嫌われてたんだ。すとんと、おさまり悪く、嫌われていたんだという事実が、オレの心に、降ってきた。
馬鹿だよな。
でも、アーキス、オレは、おまえに憎まれても嫌われてても、おまえのことが、好きなんだと思う。
オレは、オベールに言われるまでもなく、アーキスに惹かれていたのだ。
こんな時に、悟ってどうすんだ。遅すぎるだろ。
なんだかな――と、肩を竦めたときだった。
「うわっ」
オレは、二度目の悲鳴をあげていた。
目をつむっていたオレは、突然の、浮遊感に、瞼をもたげた。
なにが起きたんだ。
「!」
目を開けたオレは、自分の状況に気づいた途端、冬場の氷室に閉じ込められたみたいに、固まってしまった。
うそ……だろ。
信じられなかった。
アーキスがしたたかな変貌を遂げたことは、わかっていた。けれど、まさか、こんなことをするだなどと、考えもしなかった。
「ちょ、ちょっと、なにを考えてるんだ」
オレは、場所も、状況も、何もかもを忘れて叫んだ。
なんでって、その………オレは、アーキスに、抱きかかえられていたんだ。しかも、膝裏を掬い上げられるようにして、所謂横抱きというヤツだ。
これは、はっきり言って、どんな場合だっても、恥ずかしい。
「下ろせ。下ろせよっ」
顔が赤くなっているだろう。なぜなら、首から上が、カッカするくらい、熱くてしかたがないからだ。
「誰が、フィーブのことを嫌っていると言った」
アーキスの、金のまなざしが、凝然とオレを捉えている。
「いや……だって………」
「感謝こそすれ、私が、おまえを嫌ったり憎んだりするわけがないだろう」
「え?」
「私は……フィーブ、最初の夜から、おまえに惹かれていたよ」
あっさりと、なんでもないことのように言ったアーキスの言葉を、オレは、たちまち理解することができなかった。
「おまえが、私のそばにいてくれさえするのなら、いつまでここに閉ざされていてもかまわない――――そんな、愚かなことを考えるくらいには、おまえのことを、愛しているよ」
うわ………。
どうしよう。
全身が熱くて熱くて、煮たっちまいそうだ。
「おまえは?」
ささやくように、耳に吹き込まれて、オレは悩んだ。
いや、答えることは、やぶさかではないのだが、やっぱり、場所や状況が問題だと思うんだよな。
「アーキス」
「なんだ?」
にっこりと微笑むアーキスに、見惚れている場合じゃない。
いつの間にか、ボルティモアが、忍び寄っていた。
アーキスの肩を挟んで、ボルティモアとばっちり目が合っちまった。
どろりと濁って、赤と見間違うくらいに血走った、怖気に全身が震えてしまう、そんな、目だった。そんな目が、青黒く染まった顔の落ち窪んだ眼窩の中で、ぎろりぎろりと、動いている。
情けないが、オレは、固まっちまった。
いつの間にこんなにと思うほど、さらばえてしまったボルティモアは、まるで、死者が動いているみたいだった。
「うしろっ」
やっと、それだけを喉の奥から搾り出した時には、ボルティモアの尖った指が、アーキスの肩に、首に、爪を食い込ませていた。
しかし、考えてみれば、そんなこと、アーキスが気づいていないはずがなかったんだ。
「鬱陶しいな」
それだけだった。なにをしたというのでもない。
アーキスの肌に食い込んでいた爪が、力なく外れ、すかすかと、悲鳴にもならないかすれた音が尾を引いた。オレは、きっと、この声を忘れることができないだろう。そう、予感したほど、それは、身震いするほど哀れな、音、だった。
ぐずぐずと、ボルティモアが、床の上に、うずくまる。それでもなお、ボルティモアは動こうとしている。その、執念。それが、オレは、恐ろしくてならなかった。
ボルティモアとオベール以外が、じりじりと、後退していた。階にいる騎士たちも、上から順繰りに、後ろざまに、降りてゆこうと、しているらしかった。
「待て……」
アーキスが、一歩を踏み出した時、オベールが手にしたままだった短刀がアーキスに向かって投げられたが、それすらも、アーキスに届く寸前で、音たてて砕けた。
これが、決定打だったのだろう。
誰が、あげたのか。
鋭い悲鳴が、塔に響いた。
それが、最後の糸を、断ったのだ。
騎士たちが、押し合いへしあいしながら、まろぶように、逃げてゆく。
後には、オレとアーキス、そうして、ボルティモアとオベールだけが、残されていた。
「それでは」
アーキスが、だれにともなく、つぶやいた。
「お、下ろしてくれ」
このまま、横抱きのままは、恥ずかしい。
オレを見下ろすアーキスのまなざしからは、なにを考えているのか、わからなかった。
「下ろすのか」
「そう!」
きっぱりと、断言する。
「私は、下ろしたくないんだよな」
「なんで」
「抱き心地がいい」
「な」
「それに、和むんだよ。おまえの体温と鼓動を感じているのは」
「………」
オレは、脱力しそうになった。
さっきまでの緊張感が、懐かしいような気がする。
アーキスの雰囲気が思いっきり変わったような気がするのは、気のせいじゃないんだろう。
なんというか、何もかもを楽しんでいるような、底の抜けた明るさのような気がするが、これは、鎖を解かれた解放感のせいなんだろうか。
そんなことを考えてると、
「まぁ、それは、冗談半分。おまえが、捕まるのは、いやだしな」
そう言って、忌々しげに、視線を足元に向ける。
見れば、アーキスの視線の先には、ボルティモアが、いたのだ。
執念としか言いようがない。
とっくのむかしに、動くのすら辛いだろうに。
骨と皮だけのような青黒い腕が、めくれ上がった袖からむき出しになって、アーキスの足首を掴んでいた。
「おまえは、こうなった相手を、振り払うことなどできまい」
そう言うと、アーキスは、無造作に、掴まれているほうの足を踏み出した。
ボルティモアの手が、ぼとりと音をたてて落ち、その場で床をかきむしる。
アーキスは、そのまま、階に足をかけた。
「アーキス……」
「なんです」
「ボルティモアは、どうなるんだ」
気にならないわけがない。
「どうもなりはしない。私の血は、人間にとっては副作用の強い劇薬と同じだからな。一度ならまだしも、つづけて口にしてしまったら、最後だ。依存せずにはいられなくなるらしいな」
「なら、死ぬのか?」
オレのことばの何がおかしかったのか、アーキスが、クと笑った。
「そのほうが、幸せだろうよ」
悪意が滴っているようなことばに、オレの全身が、鳥肌立った。
「死ねない?」
「多分な。よくはわからない。が、禁断症状は苦しいらしい。死ねるとしても、それまでに、どれほど苦しまなければならないか、わからないな……」
長く閉ざされ続けていたアーキスに、それを知るすべは、なかっただろう。
「でも、自業自得だろう」
いっそ朗らかなほどに、アーキスが、切って捨てた。
確かに、自業自得だろう。
少なくとも、アーキスにとって、今のボルティモアの苦しみは、それ以外のなにものでもない。
オレだとて、ボルティモアがそうだと、わかる。それでも、やはり、見ているのは、辛かった。
「まぁ、火をつければ。火はすべてを浄化すると言うしな、確実に死ぬことはできるはずだ」
苦しみ続けて狂うよりは、ましだと思うが、どうだろう。
それが、オレとアーキスとが、塔を下りるさいに話していた最後の言葉だった。
後は、もう、あんまり話すこともないような気がする。
城主がああなった以上、ボルティモアの侵略の恐怖は、まぁ、潰えたといっても過言ではない。だから、オレは、自分の国に帰ってもかまわないんだろう。だけど、オレには、自覚があった。
オレは、国よりも家族よりも、アーキスを選んでしまったのだ。
アーキスとそれらとを秤にかけて、アーキスのほうが重かった。
オレは、オレの家族と国とを、見捨てたのだ。―――誰に糾弾されるまでもない。オレは、誰よりも強く、そのことを知っている。たとえ、結果的には、救ったことになったとしても、あの時のオレの心の動きを、結論を、自分だけは、知っているのだ。それは、小さな、しかし、鋭い棘となって、オレの心の奥に刺さっている。
―――どの面下げて、帰れるっつーんだよ。
ぼんやりと、大木に背もたれて、オレは、炎を眺めていた。
ここは、ボルティモアの城から山を二つばかり越えた、森の中だ。あの日から既に、三日が過ぎていた。
木の葉が重なり合った隙間から、月と星とが見えている。
ぱちぱちと、威勢よく燃える炎が、川で獲ったばかりの魚を炙っていた。食欲をそそる匂いが、立ち込めている。いつものオレなら、我慢せずに食べているだろう。しかし、我慢もなにも、心が定まらないせいで、どうも、食欲がわかないのだ。
アーキスが、そんなオレを、ただ黙って眺めている。
アーキスの、金の瞳が、白い顔が、揺れる炎に染まっていた。
アーキスは、ただ、あの日、オレに向かって、
『これからどうする?』
と、そう言ったっきり、オレにすべてをゆだねているらしかった。
わからない。
それが、実は、本心だった。
アーキスを解放することばかり考えていて、その後のことを考えてはいなかったのだ。
まぬけだな。
溜息が出る。
「なぁ、アーキス」
「?」
「あんたは、これから、どうしたい?」
三日も考えてこれでは、呆れるよりないだろう。
「私か?」
「そう」
ぱちぱちと、音たてて炎が、燃えている。
「そうだな。とりあえず」
「とりあえず?」
立ち上がったアーキスが、オレの傍らに、移動してきた。
「確認したいことがあるな」
「なに?」
アーキスの左腕が、オレの左肩に回される。
今にも鼻が触れ合ってしまいそうなほど近くに、アーキスの白い顔があった。
金の瞳に、オレの、間抜けな顔が、映っている。
「私は、フィーブのことを、愛しているが、フィーブは?」
あまりにまっすぐな問いだった。
「オレも、アーキスのこと、好きだ」
言った後に、真っ赤になってれば、世話はない。が、まぁ、これは、オレの本心だ。
「家族よりも、国よりも、オレは、おまえのことを、愛してる」
口にしてみて、オレは、心が定まるのを、感じた。ああ、こんなに簡単なことだったんだ。誰に罵られても、これが、オレの真実なんだ。認めればいい。アーキスを愛したから、オレは、すべてを捨てたのだ。誰に何を言われても、真実がわかっているなら、かまわない。
アーキスが、オレを、見ている。
オレも、アーキスを、見ている。
アーキスが、静かに、オレを、抱き寄せ、くちびるを寄せてきた。
オレは、黙って、アーキスのくちびるを、受け入れた。
ぱちぱちと、傍らでは、炎が燃えている。
その夜、オレと、アーキスは、はじめて、肌を合わせた。そうして、その後、それが、オレとアーキスとの、就眠儀式になったのだ。
ボルティモアの塔が、火を出した。
それをオレたちが知るのは、後しばらくしてからのことである。
結局、オレは、国に帰ることはなかった。
オレとアーキスとは、人里はなれた山の奥に、ささやかな庵を建て、そこで、暮らすことを決めたのだ。
オレが、オレの変化を知るには、やはり今しばらくの時が必要だった。
アーキスと共にあるオレは、いつまでも、十七才のままだったのである。




