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白亜のノート ―元中学生、文明を書く―  作者: 伝説の男前
第一部 生き延びる

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第27話「道が生まれる」

 学び舎が開講してから数ヶ月が過ぎた。村は着実に人口を増やし、周辺の小さな集団も、次々と村への合流を希望するようになっていた。


 人口の増加は、新たな課題を村にもたらしていた。村の中心部から離れた場所に暮らす人々が増え、畑や水源、鍛冶場や学び舎といった主要な施設へのアクセスが、次第に不便になり始めていたのだ。


 湊は、この課題に対する答えを、ドウと共に模索し始めた。道路の整備だ。


 これまで、村の中の移動は、自然にできた踏み分け道に頼っていた。雨が降れば泥だらけになり、荷物を運ぶにも一苦労だった。湊は、もっと計画的に、村全体を見渡した道路網を整備する必要があると考えていた。


 湊とドウは、まず村の主要な施設――学び舎、集会所、鍛冶場、畑、水源――を線で結び、それぞれを繋ぐ主要な道筋を、地図の上に描き出すことから始めた。この地図作りには、ケイの測量技術が大いに役立った。


 実際の道路建設では、地面を踏み固め、雨水がたまらないよう緩やかな傾斜をつけ、両脇に排水のための溝を設ける。ドウが以前の水路建設で培った技術が、ここでも応用された。石を敷き詰めた区間も設けられ、特に人通りの多い場所では、雨天でもぬかるまない、頑丈な道が作られていった。


 道路整備と並行して、湊が重要視していたのが、橋だった。村を流れる川――当初、湊が最初に水を求めて辿り着いた、あの上流の川は、村の生活圏を分断する形で流れており、雨季には渡渉が困難になることもあった。


 湊は、木材とレンガを組み合わせた、簡素だが頑丈な橋の建設を、ドウとイワに提案した。橋脚をレンガで固め、その上に太い木材の橋桁を渡す。イワは、橋の欄干に、村の歴史を象徴する彫刻を施すという、彼らしいこだわりも加えていった。


 橋の完成は、村にとって、また一つの大きな節目となった。これまで、雨季には行き来が制限されていた川の両岸が、季節を問わず自由に往来できるようになったのだ。


 もう一つ、湊が視野に入れていたのが、港の整備だった。ナギが漁業で培ってきた舟の技術は、この頃には、かなりの水準に達していた。単純な丸太舟から、複数の板を組み合わせた、より安定した構造の舟へと進化を遂げていたのだ。


 湊は、この舟の技術を、単なる漁労だけでなく、川を使った物資の輸送にも活用できないかと考えた。村の下流域に、簡素な船着き場を整備すれば、重い荷物――例えば、大量のレンガや木材、あるいは収穫物を、陸路よりもはるかに効率的に運べるようになるはずだった。


 ナギは、この構想に大きな興味を示した。彼はドウと協力し、川岸に、舟を安全に係留できる、簡素な船着き場を作り上げていった。


 これらの道路、橋、港の整備が進むにつれ、村の姿は、これまでとは明らかに違う様相を呈し始めていた。人と物の流れが、格段にスムーズになり、村全体が、有機的に結びついた一つの共同体として、機能し始めていたのだ。


 湊は、この変化を目の当たりにしながら、ある考えに至っていた。これはもはや、単なる「村」ではない。より大きな、複雑な仕組みを持つ「町」へと、村は移行しつつあるのではないか。


 湊はレポート用紙――村製の紙に、この一連の発展を書き記した。


『道路網、橋、船着き場の整備が完了。村全体の移動と輸送の効率が飛躍的に向上』

『人口増加に伴い、村は「町」としての様相を呈し始めている。都市計画のさらなる推進が必要』


 書きながら、湊は、次なる課題にも思いを馳せていた。人と物の流れが活発になれば、必然的に、それらを管理し、円滑に回すための、新たな仕組みが必要になってくる。物々交換だけでは立ち行かなくなる日も、そう遠くないかもしれない。


 夕暮れ、湊は完成したばかりの橋の上に立ち、川面を眺めていた。ナギの舟が、ゆっくりと川を下っていくのが見えた。舟には、収穫されたばかりの豆や根菜が積まれている。


 この光景を、半年前の湊が見たら、どれほど驚いただろうか。骨の針一本から始まった暮らしが、今や、道と橋と舟によって、村全体を巡る、確かな循環を生み出している。


 湊は橋の欄干に施された、イワの彫刻に手を触れた。そこには、村の始まりを象徴する、小さな焚き火の絵が刻まれていた。


 この道の先に、どんな町が広がっていくのか。湊は、静かな期待と共に、その未来を思い描いていた。


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【第27話 時点 文明発展状況】

人口:42人/漂着後 450日

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01 生存・サバイバル ★★★★★ 継続中

02 食料・農業    ★★★★☆ 継続中

03 畜産・動物    ★★★☆☆ 継続中

04 漁業・水産    ★★★★☆ 舟の技術が輸送用途にも発展

05 狩猟・採集    ★★☆☆☆ 継続中

06 水・衛生     ★★★★☆ 継続中

07 医療・薬学    ★★★☆☆ 継続中

08 住居・建築    ★★★★★ 継続中

09 土木・インフラ  ★★★★★ 道路網・橋・船着き場が完成

10 火・エネルギー  ★★★★★ 継続中

11 鉱業・金属    ★★★★☆ 継続中

12 製造・工業    ★★★★★ 継続中

13 科学・技術    ★★★★☆ 継続中

14 言語・文字・出版 ★★★★★ 継続中

15 教育・研究    ★★★★★ 継続中

16 経済・商業    ★☆☆☆☆ 物流の活発化により、交換経済の限界が見え始める

17 政治・法律・行政 ★★★★☆ 都市計画という発想が芽生える

18 外交・交通・情報 ★★★☆☆ 道路整備により村内外の往来が円滑化

19 軍事・防災・治安 ★★★★☆ 継続中

20 文化・娯楽・思想 ★★★★★ 継続中

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【新規記述書物】『道を拓く書・第一葉』(道路・橋・港湾整備の記録)

【次なる課題】貨幣制度の検討、物々交換の限界への対応】

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