↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は婚約破棄10秒前に死に戻り、本当の恋を見つけて生き残る  作者: しのギドラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

17話 テオドアによる、第一王子への断罪

「やあ、テオドア。血相を変えてどうしたんだい?」


「すべて聞いていた。シャーロットを殺そうとした動機もな」


「はは、ただの冗談だよ。本気にしないでくれ、テオドア。私が君の大事な人を殺そうとすると思うかい?」


 エドワード王子は、しらばっくれながら肩をすくめてテオドアへ微笑む。

 その表情を青の瞳に映しながら、テオドアは辛そうに顔を曇らせた。


「私の目を誤魔化そうとしても無駄だ。お前の瞳の奥にある色は……紛れもない殺意だ。嘘をつかないでくれ……エドワード!」


 テオドアの声が、空気を揺らすほどの悲痛で響く。

 私の背後に佇んでいたエドワードは、しばらく無言を貫いた後、大きく溜め息を吐く。


「テオドア、君は知らないだろう。彼女がどれほどの悪女だったか……」


「過去の行いがどうであろうと、私は今のシャーロットを愛している。……エドワード、茶会に毒を仕込んだのも君だったのだな」


「さあ、どうかな……」


「なぜ、想いを寄せるソフィ男爵令嬢の茶会で、シャーロットを殺そうとした。下手をすれば、ソフィ男爵令嬢に嫌疑がかかっていたのかもしれないのだぞ」


 エドワード王子の目が、薄く細められた。

 もう言い逃れできないと悟ったのか、冷笑と共に彼は喋りだす。


「そうだね。でも、だからこそだよ。あの場で私がソフィを庇えば、彼女はより私を好きになってくれるだろう?」


「……エドワード、そんな理由で茶会で毒殺を計画したのか……!」


「そんな? 私とテオドア、そしてソフィのために必要なことだったんだよ」


「まさか……お前があの時公爵邸へ来たのも、私にシャーロットの死を見せつけるためだったのか……!?」


「シャーロットの訃報を聞いたら、君は即座に茶会会場に行くだろう? それを慰めるのも、私の役割だからだよ。彼女をしっかりと諦めて、然るべき令嬢と結ばれるためにね」


 テオドアの足元が、よろめいたように後ずさった。

 しかし、すぐに厳しい眼差しを持ち直し、エドワードへ詰め寄る。


「エドワード、私はお前のことを……友だと思っていた。高位な立場であり、同じ重責を背負う親友だと……っ」


 幼い頃から共に励んだ日々が、テオドアの脳裏をかすめたのかもしれない。

 彼は一瞬だけ目を伏せ、それを振り払うように顔を上げた。


「テオドア、私は今でもそう思っているよ。……すぐに、この女から離れるんだ。今ならまだ間に合う」


「断る。もうお前のことは……信じることができない!」


 テオドアは首を振ると、私に悲しげな瞳を向ける。


「……シャーロット。私達の事情に巻き込んでしまい、すまなかった。後は任せてくれ」


「テオドア……?」


 何を指し示す言葉なのか分からず困惑していると、テオドアは開け放たれたままの扉を振り返った。


「……王位継承権のある第一王子のお前を、私が告発することはない。だが、この報いを受けてもらう。入ってくれ……ソフィ男爵令嬢」


 テオドアの声が発せられると同時に、この場に似つかわしくない可憐な少女が入ってくる。

 エドワードの瞳が、驚愕で見開かれた。


「な……ソフィ!?」


 蜂蜜色のふわりとした髪、そして潤んだ瞳。

 胸元で手を握りしめ、ソフィ男爵令嬢がエドワードを泣きそうになりながら見つめた。


「先ほど言っていたことは本当なのですか……? 私の茶会で毒を盛り、シャーロット様を殺しようとしたというのは……」


「違うんだ、ソフィ。誤解だ……私は、ただ君のためを思って……!」


「エドワード王子が、そのようなお方だとは思いませんでした……っ。もう二度と、あなたとはお会いしません! さようなら……!」


 ソフィ男爵令嬢は涙を零しながら、エドワードから背を向けて走り去った。


「待ってくれ、ソフィ……!」


 それを追いかけようとしたエドワードの前に、テオドアが制するように立ち塞がる。


「お前に、彼女を追いかける資格はない。己が犯した罪を悔い、もう二度とシャーロットを殺そうと思わないことだ」


 テオドアの言葉に、エドワードは膝から崩れ落ちた。

 顔からは血の気が失せ、絶望に染まり蒼白となっている。


「行こう、シャーロット」


「……ええ、テオドア」


 私はテオドアの手に導かれ、ソファから立ち上がる。

 私達が退席することにも気づかずに、エドワードはただ床を見つめていた。

ここまでご愛読ありがとうございます。

次回最終話です。


ページ下部の★1~5評価・ブックマークなど頂けると、投稿の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【代表作】→「悪役令嬢は全員生存エンドを目指す」
◆累計ページビュー63,000pv超え感謝◆

35i8ez7w862wgf5vybkbztkh6je_1bz4_d3_bz_21il.jpg

あらすじ→「全員生き残るか、一人残らず死ぬか」その二択しかない極限の乙女ゲーム。
前世の記憶を取り戻したルナリアは、自分が"全滅エンド"を招く悪役令嬢だと知る。
導き出した答えは、誰とも関わらず、孤独に生きること。
そう誓った矢先に出会ってしまったのは、攻略対象——公爵令息のグレン。
父の虐待を見抜き、どんなに突き放しても離れない彼に、距離を取ろうとするほど執着されていく。
やがて暴かれる、最初から大切な人を"殺す力"を宿していたという残酷な真実。
それでも彼は、皆の前で誓った。
「生涯をかけて君を幸せにする」と。
虐げられた令嬢×公爵令息。
作品ページはこちら→「悪役令嬢は全員生存エンドを目指す」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。