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第20話 王太子への疑念と評価の揺らぎ

 魔物の群れが消え、街道に静けさが戻ったあとも、人々の声は止まらなかった。

むしろ、魔物がいなくなったことで、押し込められていた感情が一気に溢れ出したように、街全体がざわざわと揺れていた。

恐怖から解放された反動なのか、誰もが声を上げずにはいられないようだった。


 私の周囲には、まだ涙を拭いきれない人々が集まり、震える声で感謝を伝えてくる。

けれど、その感謝の言葉のすぐ隣には、別の感情が混じっていた。

驚き、安堵、そして、疑問。


「リリア様が……全部倒したんだよな……?」


「魔物があれだけいたのに……一人で……」


「信じられない……本当に……」


 その声は、私の胸に静かに落ちた。

けれど、次に聞こえてきた言葉は、街の空気を一変させた。


「……で、なんであんな子を追放したんだ?」


 その一言は、まるで火種だった。

周囲の人々の視線が一斉に揺れ、ざわざわと波のように広がっていく。


「そうだよ……なんでだ?」


「王太子は何を考えているんだ?」


「聖女より役に立ってるじゃないか……!」


 その声は、怒りでも憤りでもなく、“理解できないものを前にしたときの純粋な疑問”だった。

けれど、その疑問は、王城への不信へと変わるのに時間はかからなかった。


「王太子は……本当に正しい判断をしてるのか?」


「聖女を優遇して、リリア様を追放して……」


「結果、街を救ったのはどっちだ?」


 その言葉は、私の胸に重く落ちた。

私はただ魔力を消しただけ。

それだけなのに、街の人々は王城の判断そのものを疑い始めている。


 騎士隊長が私の近くで低く呟いた。


「……王城の判断が、民の信頼を失い始めている……」


 その声は、私に向けたものではなく、自分自身に言い聞かせるような、重い響きを持っていた。


 街の人々は、私の周囲に集まりながら、王太子の判断について語り合い続けていた。


「聖女様は何をしてるんだ?」


「魔物が出たとき、どこにもいなかったぞ」


「王太子は聖女ばかり庇って……」


「でも街を救ったのはリリア様だろ?」


 その声は、私の耳に届くたびに胸の奥を揺らした。

私は王太子のことを思い出した。

冷たい目。

拒絶する声。

「危険だ」と言われたあの日。


 その判断が、今、街の人々の前で揺らいでいる。


 私は静かに息を吸った。

胸の奥に、複雑な感情が渦巻いていた。


 私は王太子を恨んでいるわけではない。

ただ、あの日の言葉が、今も心に刺さっているだけだ。


 けれど、街の人々は、私の力を見て、王太子の判断そのものを疑い始めている。


「王太子は……本当に国を守れるのか?」


「判断を誤ってるんじゃないか?」


「聖女様より、リリア様の方が……」


 その声は、街道だけでなく、周囲の家々、店、広場へと広がっていった。


 そして、噂は街の外へも広がり始めていた。


「隣国にも伝わるぞ……」


「王国が“有能な令嬢を追放した”って……」


「王太子の評判、どうなるんだ……?」


 その言葉は、私の胸に重く落ちた。

私はただ街を救っただけ。

それだけなのに、王国の評判が揺らぎ始めている。


 私は街道の端に立ち、風を感じた。

その風は、街の人々の声を運んでくるようだった。


「リリア様がいなかったら……街は終わってた」


「王太子は……何を見てたんだ?」


「どうして……こんな子を追放したんだ?」


 その声は、私の背中を押すように響いた。


 私は静かに目を閉じた。


――私の存在が、王国の評価を揺らしている。


 その事実が、胸の奥に静かに落ちた。


 私はゆっくりと目を開けた。

街の人々の視線が、私へ向けられている。

その目には、感謝と尊敬、そして、王城への疑念が混じっていた。


 風が吹いた。

その風は、街の未来を運んでくるようだった。


 私はその風を受けながら、静かに息を吸った。


 街の人々の声は、もう止まらない。

王城の評判は、確実に揺らぎ始めている。

隣国にも噂が届き始めている。


 そして私は思った。


――この声は、もう誰にも止められない。


 そう思った瞬間、街の空気がさらに変わった。

まるで、見えない波が街全体を駆け抜けたように、人々の視線が一斉に王城の方角へ向けられる。


 誰も口には出さないが、その視線には明確な意味があった。


「王城は、どう説明するつもりなんだ?」


 その言葉が、誰かの口から漏れた瞬間、周囲の空気が一気にざわついた。


「本当にそうだよ……」


「リリア様を追放しておいて……」


「街を救ったのは誰だ?」


「聖女様はどこにいたんだ?」


「王太子は何を考えてるんだ?」


 声が重なり、膨らみ、やがて街の中心へ向かって広がっていく。


 私はその声を聞きながら、胸の奥に複雑な感情が渦巻くのを感じていた。


 私は王太子を恨んでいるわけではない。

ただ、あの日の言葉が、今も心に刺さっているだけだ。


「危険だ」


「お前の力は制御できない」


「王城に置いておけない」


 その言葉が、今、街の人々の前で揺らいでいる。


 私は静かに息を吸った。

胸の奥に、重いけれど確かな感情が広がっていく。


 街の人々は、私を“救い主”として見ている。

その一方で、王太子は“街を見捨てた存在”として語られ始めている。


「王太子は聖女ばかり庇って……」


「でも街を救ったのはリリア様だ」


「王城は判断を誤ったんだよ」


「国を守るべき人が、国を危険に晒したんだ」


 その声は、街の隅々まで広がり、やがて街の外へ、商人たちの口を通じて遠くへ届いていく。


「隣国の商人にも伝わるだろうな……」


「王国が“有能な令嬢を追放した”って……」


「王太子の評判、どうなるんだ……?」


 その言葉は、私の胸に重く落ちた。


 私はただ街を救っただけ。

それだけなのに、王国の評判が揺らぎ始めている。


 街道の端では、旅人たちが足を止めていた。

彼らは街の人々の声を聞き、驚いたように私を見つめる。


「本当に……この子が?」


「魔物の群れを……?」


「信じられない……」


 その驚きは、やがて噂となって広がっていく。


「王国は何をしているんだ?」


「こんな力を持つ子を追放するなんて……」


「判断を誤ったとしか思えない」


 私はその声を聞きながら、胸の奥に静かに広がる感情を感じていた。


――私は、もう捨てられた存在じゃない。


 その事実が、胸の奥に静かに落ちた。


 街の人々は、私を“救い主”として見ている。

その一方で、王城は“判断を誤った存在”として語られ始めている。


 風が吹いた。

その風は、街の未来を運んでくるようだった。


 私はその風を受けながら、静かに息を吸った。


 街の人々の声は、もう止まらない。

王城の評判は、確実に揺らぎ始めている。

隣国にも噂が届き始めている。


 そして私は思った。


――この流れは、もう誰にも止められない。


 街の人々の視線は、私へ向けられている。

その目には、感謝と尊敬、そして王城への疑念が混じっていた。


 私は静かに目を閉じた。


 風が、また吹いた。

その風は、王国の未来を変える予兆のようだった。


 私はゆっくりと目を開けた。


 街の人々が、私を見ている。

その視線は、もう以前のものではなかった。


 私はただ、魔力を消しただけ。

それだけなのに、街は、私を中心に動き始めている。


 そして、王国は揺らぎ始めている。


 私は静かに息を吐いた。


――ここから、何が起きるのだろう。


 その問いは、風に溶けて消えていった。

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