23.一つになって
ロムセルト王国は、ドルイトン王国の前国王様の提案を受け入れた。
二つの国は一つとなった。と言いたい所ではあるが、そこまで変わったという訳でもない。
もちろん、国の上の方では色々とごたごたとしているのかもしれない。だが、民の暮らしというものは大きく変化してはいないといえる。
ドルイトン王国の貴族達は、領地をそのまま統治するだけであるからだ。彼らにとっての上が変わっても、民への影響は少ない。
とはいえ、多少の改善はみられていた。その辺りは、ダルゼルト陛下の時代が最悪であっただけともいえる。
ともあれ私は、出身である孤児院に戻っていた。国の変化には、私が入る余地もなく、混乱の中で揺れるここを守るために、そうしたのである。
「……まあ、実際、揺れるようなこともなかったのですが」
「そうだったのか?」
「ええ、ライゼル殿下の努力の賜物でしょうね。民の間で、大きな混乱が起こるようなことはありませんでした。それなりに、平和なものです」
そんな私の元に、ライゼル殿下が訪ねてきた。
一国の王太子である彼が、この孤児院に来るなんて、本来であれば、あり得ないことであるのだが。
ただその訪問に関しては、事前に言われていたことではあった。
私が孤児院に戻ると告げた時に、ライゼル殿下に言われたのだ。色々と片付いたら、訪ねると。
「それで、問題は解決されたのでしょうか?」
「概ね、解決したといえる。とはいえ、問題というものは次から次へと積み重なっていくものだ。しかし、やっと二国がまとまったといえる。ドルイトン王は……逝ってしまったが」
「まあ、向こうではダルゼルト陛下も、反省していると思いますし、親子水入らずで過ごせていることを願いましょう」
前国王様は、亡くなられた。二国をまとめた後、眠るように息を引き取られたらしい。
それによってまた、ドルイトン王国の貴族達が反発などを起こしたが、結果的にはロムセルト王国に従うことになった。その辺りに関しては、ライゼル殿下などの努力の賜物だろう。
「さて、あなたに提案がある。といっても、これは前に伝えていたことではあるが」
「……聖女ですか?」
「ああ、二国を守れる人材として、あなたよりも適切な者はいないだろう。力を貸してくれないか?」
「もちろんです。私としても、もう争いなんて嫌ですからね?」
ライゼル殿下からの提案に、私はゆっくりと頷いた。
聖女という役職には困難もあるが、ライゼル殿下の元で働けるのなら、悪くはないと思える。
元よりそのつもりであったため、迷う必要はなかった。こうして私は、聖女へと返り咲くことを決めたのだった。




