24.平和な未来へ
二国を繋ぐ聖女となった私は、色々と仕事に取り掛かることになった。
それは単純に、大変なものであった。ただミルリアなどの協力もあって、やっていけている。
聖女の業務は、ロムセルト王国の王城で行われているが、その風当りも段々と良くはなっている。
ボドールとネレーナ嬢のようなことをする者は、流石にもういないだろう。それは私にとって、幸いなことだといえる。
「セスティア、あなたの働きは目を見張るものがある」
「ありがとうございます、ライゼル殿下……」
私が聖女になってしばらくしてから、ライゼル殿下が話があると訪ねて来た。
お互いに責任ある立場であり忙しいため、このように彼と話すのは久し振りのことだ。しかし今回も恐らく、ただお茶をするという訳にもいかないのだろう。
前振りからして、何か重大な話があるのは明らかであった。そのため、私としては少し気が引き締まる。
「それで、話とはどのようなものなのでしょうか?」
「……今後の身の振り方というものを、相談したいのだ」
「身の振り方、ですか?」
「お互いに、色々と忙しい身になったものだが、責任もある。しかしだからこそ、けじめをつけていなければならない事柄があるといえる。具体的には……俺とあなたの婚約について、だ」
「え?」
ライゼル殿下の言葉に、私は驚くことになった。
しかしすぐに、彼の神妙な表情の意図を理解する。王家と聖女、それらの立場の者達が結婚するということは、珍しいことではないからだ。
「……私とライゼル殿下が、ですか? ロムセルト王……陛下がそれを?」
「ああ、しかし、何も父上の判断だけで、そう提案しているという訳ではない。俺は個人として、あなたを伴侶に迎え入れたいと思っている」
「個人で? それは……」
「罪過の森で出会ってから、俺はあなたと行動をともにしてきた。その中であなたの強さと優しさを知った。できることならば、俺はあなたとこれからもともにいたいと思う」
ライゼル殿下は、私の目を真っ直ぐに見てきていた。
彼がそのような想いを抱いているなんて、考えてもいないことであった。
ただ、その言葉に対する私の答えは決まっている。迷う必要はなかった。ライゼル殿下の言葉は、ただただ嬉しいものであったから。
「ライゼル殿下、あなたにそう思えてもらっていたことを嬉しく思います。私も気持ちは同じです。ライゼル殿下には、何度も助けていただきました。あなたがいなければ、私はどうなっていたことか……」
「いや、俺などいなくても、あなたは大丈夫だったさ。しかし俺には、あなたが必要だ」
「そう言っていただけるなら、これからも傍にいさせてください」
「ああ、もちろんだとも。こちらとしては願ってもないことだ」
私の答えに、ライゼル殿下は嬉しそうに笑みを浮かべてくれた。
私もきっと、同じような顔をしているだろう。その時間が、なんとも幸せなものだった。
これから私達は、一つになった国を守っていく。その責任は重大だ。
ただきっと、乗り越えていけることだろう。ライゼル殿下と一緒ならば、そう思える。
END




