第七十六夜:おすすめ
全然進んでないですすみません泣
「2人の出会い? それは気になるな」
2人の出自の話から、話題は2人の出会いに変わる。
「シアの泣いてる声が聞こえたから、魔法でそこに転移して、お話したんだ。そしたらシアが、ぴたりと泣き止んで、貴方の髪とっても綺麗ねって言うから、つい笑っちゃったなぁ」
つい笑っちゃったなぁと言いつつ、今も口元を手で隠して笑っている。
そんなに面白かったかしら?
でも、ついさっきまで泣いていた人が、顔を見た途端に泣き止んだらおかしく見えるか。
「え! ってことはリオは転移魔法を使えるって事だよな?! っと、話の腰を折って悪い。泣き止んだんなら、良かったな」
護衛はぎょっと驚いて前のめりに質問をするも、すぐに話の軸を戻し、2人の出会いについての感想を言った。
何処に行っても反応は同じなのね。
転移魔法についてクロエやレイアに言った時のことを思い出してくすりと笑みをこぼしてしまう。
「良い出会いだな、そう言う友は大切にした方がいい」
「もちろん、リオのことはこれからも大切にするわ。そういえば、貴方たちは顔見知りなのよね? どんな風に出会ったのかしら」
挨拶をする時も息が合っていたし、こうして話している時も、2人は仲が良く見える。
「ああ、俺たちは同じ地方出身なんだ。だからなんとなくずっと一緒でな。2人みたいに特別な関係とかではないけど、良い仲間だと思ってるよ」
なんとなく、皆互いに背中を預け合う相棒のような雰囲気を感じる。
きっと、今までたくさんの時間を共に過ごして来たのだろう。
互いを信頼してるからこそ出せる空気というのだろうか、そんなものがある。
「素敵だね、お互いちょうど良い関係ならそれが1番だと思うよ」
シンシアもリオの言葉に頷く。
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいよ。お、やっとあの道を抜けたな」
男が外を覗き込んでそう言うので、リオとシンシアも窓に近寄り外を確認する。
外は太陽の光が少し弱まって、心地良い明るさになっている。
ちらほらと、農作業をしている人を見かけた。
「本当ね、そろそろ村が近いのかしら」
「ああ、この先をもう少し行くと村に出る。そこで一度休憩すると思うから、気になるなら村を見て回れるぞ」
街には降りたことがあるが、村はまだ行ったことがない。
気になる。
ちらりと隣に座るリオを見上げてみると、頷いて微笑まれる。
「うちのシアが興味津々らしいから、見て回ることにするよ。どんな村なんだい?」
なんだか最近、言葉にしていないのにリオに気持ちが伝わっている事がある。
そんなに分かりやすい?
「ああ、ここは街と街の中継地点だから、カフェが多いな。あとは宿とか、荷馬車とかを修理する店とか」
多くの人が訪れるから、カフェや宿が有名なのだろう。
それに、修理できる場所なんて旅をしている人にとってはありがたいものだ。
「俺らの雇い主とそのお弟子さんも良くカフェでお茶してる。まあ俺らもだけどな。あとは小さい子供が多いな。どんな奴らかは会ったらわかるさ」
「2人がよく行くカフェとかはあるの? おすすめがあったら知りたいわ」
前にリオのおすすめのパンを食べた時、すごく美味しかった。
誰かのおすすめはきっと何か良い物に出会えるに違いない。
「お、じゃあ俺らと一緒にお茶するか? それも良いな。リオとお前はどうだ?」
男はリオともう1人の護衛に確認を取る。
「構わないよ」
「おれも、そっちの方が2人と仲良くなれそうだしな」
こうして皆でお茶をする事が決まった。
「ありがとう、ふふっ楽しみだね」
隣のリオが笑いかけてくる。
シンシアは、おすすめのカフェに胸を膨らませて、そうね、と返事をした。
「前に貴方のおすすめを食べた時、美味しかったから、今回もおすすめにしようと思ったの。ふふっ、次は何に出会えるのかしらね」
「ちょっ、もしかしてこれってハードル高くない?! できれば温かい目で見てほしい」
くすくすとら微笑む2人に対し、護衛の2人は慌てた様子でそう言い募るが、シンシアはもうどれほど素敵なカフェなのかを頭の中で想像していた。
果たして2人のおすすめはシンシアのお眼鏡に合うのだろうか。
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