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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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70/80

第七十夜:不思議な夢

久しぶりに夢のお話しです。

ここまでを第3章にしようかなーと思います。



 明日から、リオと2人で旅に出るのよね。



 夢みたい。



 ほんの少し前までずっと1人だったのに、今はリオがいて、ココやレイアがいる。



 ベッドから抜け出して窓辺に寄る。



 今日も月は綺麗だ。



 いつかオリアナが言っていた旅に出たいと言う夢がこうして叶うなんて思っても見なかった。



 「夢だった2人だけの旅、できませんでしたね。2人でレイリアさんへのお土産、選びたかったなぁ……」



 オリアナがベッドにいることが増えたあの頃、彼女はそう言っていた。



 あの頃は私がまだまだ幼かったのもあって、旅には到底行けそうになかった。



 でも多分、心の中でこのままでいたいという気持ちもあったのだと思う。



 外に出たら何かが変わってしまうかもしれないから、それが怖かった。



 だから、外には行こうとしなかった。



 だって、旅に出るのなんてすぐに準備できることなのに。



 実際、旅に出ると決まったのは数日前なのに、明日にはもう出発だ。



 あの頃、レイリアがいなくなって、きっとすぐにオリアナも居なくなるって分かっていたから。



 オリアナ……あの時、貴方と旅に出なかったことを今になって後悔しているの。



 ずっと、旅に出たいって言ってたのに、最後まで行けず終いだったわね。



 やっと旅に出られるようになったのに、もう貴方は傍にいないの。



 貴方とも、旅に出てみたかったわ。



 もう貴方とは行けないけれど、貴方のやりたかったことは私がやってみせるわ。



 屋敷に戻ったら、貴方にお話ししてあげる。



 もちろん、レイリアと貴方の分のお土産を持ってね。



 明日はきっと疲れるだろうからよく休んで、と言われたのに、旅のことを思うとオリアナのことを考えてしまって寝付けない。



 リオが挙げてくれたいつか2人で旅に出たいという夢、あれは昔オリアナも挙げていたものだったから、どうしても思い出すのだ。



 過去ばかり振り返って、今を疎かにするのはやめようと決意したばかりなのに。



 「はぁ……だめね」



 そんなにすぐに切り替えられるわけがなくて、思い出しては胸が締め付けられて、また2人に会えたらって考えてしまう。



 いつか2人を思い出しても笑える日が来るの?



 そう思わずにはいられない。



 いつか2人を笑顔で思い出せるようになるから、今だけはこうさせて欲しい。



 レイリア、オリアナ、明日からは私たちの住んでいた国まで旅に出るの。



 きっといつか屋敷にお土産話をしに帰るから、それまで待っていて。



 「でも、姿が見えなくてもそばに居てくれるなら、貴方には全て分かっているかもしれないわね」



 私を愛してると言って、傍から離れないと言ったレイリア。



 そんなはずはないのにね。



 良い加減眠ろうと思い、ベッドに横たわる。



 その夜、シンシアはいつもの夢を見た。



 冷たくて、仄暗い屋敷。



 周りには誰もいなくて、2人を探すためにひたすらに走るあの夢。



 扉を開ける。



 いつもだったら、扉を開けても一面が散らかった薄暗い部屋が目に入るのに、今日は違った。



 「レイリア、どうしてみんな居なくなっちゃうの?」



 小さな頃のシンシアがベッドに横たわり、ベッドの傍にはレイリアが立っていた。



 屋敷が静まり始めたあの頃だろう。



 あの頃は急激に人が少なくなって、明るさがなくなっていく屋敷に何が起きているのか分からなかった。



 「お嬢様……レイリアは最後まで傍におります」



 シンシアがこうして言葉にするたびに、レイリアはずっと一緒だと言って聞かせていた。



 「お嬢様、レイリアはずーっとお傍におりますからね。何も心配はいりません、大丈夫ですよ」



 布団を被ったシンシアのお腹を優しく叩きながら、寝かしつけてくれた。



 懐かしい。



 眠る直前にレイリアのことを考えたからだろうか。



 こうして夢でレイリアを見られるのは嬉しい。



 夢特有の心地よさが段々と薄れていく感じがして、そろそろ覚醒が近いことがわかる。



 そろそろ起きるのね。



 「お嬢様、忘れないでくださいね。レイリアは貴方のことを愛して、ずーっとお傍に居ますから」



 視界が白くなっていって、ベッドにいる2人の姿が段々と見えなくなっていくのに、夢のレイリアはこちらを振り返ってそう言った。



 今、こっちを見た?



 見間違えたのかもしれない。



 でも、そう見えた。



 最近は2人の夢を見ることが多くなったけれど、私の方を見てくることなんて無かったのに。



 なんだか、今の私に向かって言ってくれたみたい。



 不思議な夢だったわね。



 すっと意識が覚醒する。



 目に入るのはソレイユ邸に用意されたシンシアの寝室の天井だ。



 頭がスッキリして、どこかへ旅に出るのに丁度いい体調だろう。



 体調が良いのは、レイリアのおかげかしら。



 そんなことを考えて身を起こす。



 「失礼致します。……おはようございます、シンシア様」



 丁度エミリーがお越しに来る時間だったようで、シンシアが身を起こすと同時にエミリーが扉を開けてベッドの傍へ来た。



 「おはよう、エミリー。なんだか今日はいい朝ね」



 「ふふっ、ええ。旅日和ですね」

 



 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてもらえると嬉しいです。


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