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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第六十八夜:大好きだから、ずーっと一緒が良い

小さい頃って、1日が長く感じますよねー。



 「シンディ、本当に帰っちゃうの?」



 玄関に立つシンシアの腰に抱きつき、潤んだ瞳でこちらを見つめるクロエに、シンシアはクロエの手をほどいて身を屈める。



 「ええ。でも、またすぐに会えるわ」



 「でも、2ヶ月くらい会えないんでしょ? 2ヶ月って、30日が2回じゃん!」



 レイアやリオにとって、2ヶ月というのは瞬きの間だが、まだ小さなクロエにはとてつもなく長く感じるようだ。



 「そうね、60日くらいかかるわ。でも、お土産だってあるし、帰ってきたらまたすぐにこうして会えるようになるのよ?」



 とうとうぐずぐずと大粒の涙を流し始めてしまったクロエに、シンシアはリオがいつもしてくれるように頭をそっと撫でた。



 「だって、ココのこと忘れちゃうかもっ、しれないじゃんっ!」



 ひっくひくと呼吸をするのも苦しそうで、自分でも溢れでる涙を止められないクロエに、レイアはくすくすと笑っている。



 「あら? ココちゃん、会わない間にシンディちゃん達のこと忘れてしまうの?」



 後ろでクロエを見守っていたレイアが、クロエのすぐ隣に身を屈めて、彼女の背中に手を添えて呼吸を落ち着かせようとしている。



 「忘れないっ! ココ、シンディのこと大好きだもんっ!」



 小さな拳でぐしぐしと擦るように涙を拭っているクロエは、力強い声でそう言い切った。



 「そうでしょう? なら大丈夫よ、シンディちゃん達もココちゃんのことを忘れたりしないわ」



 「でもっ! シンディたち忘れちゃうかもよっ?! ココ、忘れられちゃったらやだぁー!」



 レイアやシンシアがどれだけ説得しようとしても、クロエは納得できないようで、いやいやと首を振っている。



 収拾がつかなそうな様子に、皆は苦笑いしてしまうが、そんな時、シンシアの隣に立つリオが声をあげた。



 「忘れられちゃうのはつらいね」



 シンシアとクロエが話すのを隣でずっと聴いていたリオが、穏やかな声で話す。



 「ゔんっ」



 「でも、きっと大丈夫だよ。シアはココのことがだーいすきだから。それに、ココみたいにこんなに大切に思ってくれる人のことをシアが忘れるはずがないからね。もし忘れていたら、わたしがココの元に連れてくるから。だから、大丈夫」



 ぐすぐすとしているのは変わらないが、リオの柔らかい声にクロエが耳を傾けているのが分かる。



 うん、うんと泣きながらも頷いて、クロエなりに涙を止めようとしているのだろう。



 クロエは目の前で屈むシンシアに腕を回し、首に抱きついて、ぽそぽそと問いかける。



 「シンディ、ココのことすき? ココのこと、忘れない?」



 さっきと比べるとだいぶ涙も止まったようだが、またすぐに泣き出してしまいそうだ。



 「すきよ。ココのこと、忘れないわ」



 シンシアも抱きしめ返して、小さな頭を撫でる。



 「本当の本当? うそじゃない?」



 「嘘じゃないわ。クロエのこと、ずーっと忘れない。だから大丈夫よ」



 「会えなくなっちゃうのやだぁ、ココとずーっと一緒にしてよぉ」



 また涙が溢れ出してしまったようで、シンシアの肩に顔を埋めてしまった。



 クロエが顔を埋めている方の肩が、じわじわと湿っていくのを感じる。



 忘れられてしまうのは無いと分かってくれたようだが、今度は会えないのが嫌らしい。



 「ごめんね、でもまたすぐに会いにいくから」



 確かに、まだ生まれてから数年しか経っていないクロエにとって、2ヶ月というのはすごく長い。



 そう考えると、胸が締め付けられるように痛む。



 「大好きだからずーっと一緒が良いよね、分かるよ。なるべく早く帰れるようにするから、2ヶ月だけ待ってくれないかい? 2ヶ月経ったらすぐに戻るよ、約束する」



 「すぐ?」



 リオの言葉に、クロエがそっと顔を上げる。



 「うん、2ヶ月経ったら転移魔法で一度ココの元へ帰るよ」



 「魔法で? いいの?」



 「もちろん。魔法の習得は大事だけれど、それよりも大事なことだってあるよ。シアにとってのココみたいにね」



 クロエの涙は止まっていて、うさぎの瞳のように赤らんだ瞳が痛々しい。



 「それなら、我慢する。ココ、シンディのこと大事だから、シンディのこと待ってる」



 まだ不安そうな瞳でそんなことを言うものだから、シンシアはクロエをぎゅっと抱きしめる。



 「ココ……私も会えなくなるのが寂しいわ。すぐに戻るから、少しの間待っていて」



 「うん、待ってるねっ! ココ、シンディのこと待ってる」



 ぎゅっと抱き返すクロエの声は揺れていて、今にも泣き出してしまいそうだ。



 「ココちゃん、2人にばいばいしましょう?」



 クロエの隣にいたレイアがそっと声をかける。



 「……またね、2人とも。ココのこと、忘れないで、ココも忘れないからっ」



 クロエはシンシアから一歩離れると、潤んだ瞳でリオとシンシアを見つめ、お別れの言葉を口にした。



 「うん。忘れないよ、約束! またね」



 「またね、ココ。忘れないわ」



 リオとシンシアはそれぞれクロエに別れの言葉を口にするが、2人とも内心胸が痛い。



 「ふふっ、えらいわココちゃん。またね、2人とも! 待ってるわ!」



 4人のうちいつも通り明るいのはレイアだけだった。



 こうして2人はレイアとクロエに別れを告げ、ソレイユ邸に戻った。



 


最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてくれると嬉しいです。

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