第五十七夜:エテルナ王国とフォルトゥナ王国
やっとリオのいる国が判明しましたT_T
国の名前って考えるの難しいんですね……。
「話を戻そうか。ソレイユ邸はエテルナ王国の都市、チェーロに建ってる。みんなが知ってる大都市だから、もし迷子になっても心配は要らないよ。それから、シアのいた森はフォルトゥナ王国にある。ここからだと2、3ヶ国くらい離れてるかな」
ソレイユ邸はエテルナ王国のチェーロ、オリンピュイアの森はフォルトゥナ王国にあるということは、リオは国境を跨いで転移魔法を使えるという事が分かる。
「あなた、違う国から魔法で会いに来ていたのね」
転移魔法とは便利なものだと感心する。
「ふふっ、驚いたかい?わたしは何処にだって行ける凄い魔法使いだからね。そのおかげでシアに出会えた」
転移魔法で移動可能な距離を考えたことはないが、相当の距離が可能なのだろう。
わたし、自分の住んでいた国すら知らなかったのね。
分かってはいたが、実際に国について学んでみると自分がどれほど無知なのか実感してしまう。
「ええ、すごいわ。わたしもリオのように国を跨いで魔法を使えるかしら」
「並の人間なら都市同士の移動が限界だけど、シアは筋が良さそうだからね……頑張れば出来ると思うよ」
リオは前向きな様子のシンシアに優しく微笑んで、そっと手を伸ばして頭を撫でる。
頑張ればソレイユ邸と屋敷を行き来できるようになるかしら。
「じゃあ、頑張ってリオに会いに行けるようになるわね」
リオがいなくなってしまっても、思い出話をしに来れるように。
「ふふっ、シアから会いに来てくれるなんて嬉しいよ。……そうだ。シアが転移魔法をきちんと習得できるように、まずはフォルトゥナ王国まで旅をしてみようか」
にこにこと微笑んでいたリオは一言呟くと、旅に行こうと提案した。
旅?
シンシアは一瞬、どうして旅なのか疑問に思うが、すぐに分かった。
転移魔法を使うには、具体的なイメージが必要になるからだろう。
フォルトゥナ王国まで旅をすれば、イメージの精度も上がってより転移しやすくなるなる。
「旅!いいわね、楽しそうだわ。でも、リオは良いの?」
リオはすぐに転移魔法出来るのに、共に旅させて不便だと感じないのか不安になって、そう問いかけた。
「もちろん。シア、2人で旅しようって言ったのを忘れてしまったのかい?それに、シアの屋敷がある森に行く途中で途絶えた神話について何か知ってる人がいるかも知れないからね。わたしとしても好都合だよ」
くすりと微笑むリオに安心する。
そういえば2人で旅をしたいとリオは言っていたのを思い出す。
思ったよりも早く達成できそうで、正直驚いている。
こんなにすぐに叶うものなの?
もっとかかると思っていたのに、こんなにすぐだと笑ってしまうわ。
予想外の実現具合に、リオのようにくすりと笑いをこぼしてしまう。
「覚えているわ、たった数日前のことだもの!ねえ、旅の途中で教会を見ることはできるの?あ、せっかくレイリアとオリアナの元に行くのだもの。お土産も買いたいわ」
旅に行けると分かるや否やぽんぽんと口から飛び出してくる言葉に、自分でも浮かれているなと思う。
目の前に座るリオが笑いを堪えきれずに、あははっと笑っているのがその証明だ。
「もう、シアってばかわいい。うんうん。教会も行って、お土産も買おうね。それに、森の川のほとりでゆっくりもしようね。ふふっ」
頭を数回撫でたあと、そのまま頬を両手で包み込みむにむにとされる。
なんとなくリオが次に何を言うのか分かる。
「かわいいかわいい。はぁ、本当に面白い」
ほら、リオはこう言う時すぐかわいいと言う。
「私、リオの口癖が分かってきたわ」
「ええ、何だい?」
リオは頬をむにむにとしたまま、柔らかく微笑みながら問いかけてくる。
「かわいいと面白い、でしょう?」
ふふっと笑い声が漏れてしまったから、もしかしたらかなり自信あり気に話してしまったかも知れない。
「あははっ!……ふふっ、うん。そっか、わたしってそんなに言ってたんだ。ふふふっ、シアがそう言うならそうかもね」
今度こそリオは爆笑して、肩に顔を埋めてきた。
耳元で聞こえる笑い声と、リオの息が首にかかってくすぐったい。
口癖を当てたことの何がリオの笑いのツボを刺激したのかしら。
よく分からないけれど、リオがこうやって笑ってくれると私も嬉しくなる。
これから旅に出て、外の世界をもっと見て回れるという事にわくわくしてきて、明るい気持ちになる。
意図せず笑顔になってしまうくらい、嬉しかった。
「はぁ、面白かった。……じゃあ、旅に行く事が決定したからには、まずはチェーロを楽しまないとね」
やっと笑いが収まったのだろうリオが、目尻に溜まった涙を人差し指で掬いながらそう言う。
笑いが収まったとは言ったが、口元は大きく弧を描いていて、にこにこというより笑い出す寸前という表情をしていた。
かく言う私もいつもよりにこにこしているのでしょうね。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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このお話で『とこしえの2人』は10万字を達成しました!ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございます。良ければこれからも読んでもらえると嬉しいです。




