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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第五十五夜:燻る気持ち

誰かリオを止めてください。

この話を読んだ後、皆様が気になるであろうことの意味は「独占欲」「強い執着」、「愛おしさ」です。



 「あははっ!シア、そんなに堅くなっちゃってかわいい」



 ピシッと石のように固まって顔を背けようとするシンシアの頬を両手で包み込んで笑うリオに、顔の熱が冷める気配はなくて、むしろその手の感触について意識が向いてしまいそうになる。



 リオってこんなに積極的な人だった?



 前まではもっと穏やかな触れ合いだったために、急な距離感に驚いて言葉が返せない。



 「緊張してぷるぷるしちゃうシアも可愛いよ。そうだ、慣れるために練習するかい?大丈夫、まずはわたしからのキスに慣れてくれたら良いよ」



 にこにこと微笑んでいるのに、その瞳はあまりにもとろりとしていて、普段の穏やかで爽やかなリオとは違って見える。



 リオはシンシアの腰に手を当て、シンシアの体をそっと浮かせると、リオの膝の上にシンシアを乗せた。



 片方の手は腰に、もう片方は頬に添えられる。



 そして、そのまま自分より少し上の位置にあるシンシアの頬にキスをした。



 ——ちゅ。



 リオは伏せていた目をゆっくりと開き、シンシアの表情を濃艶に見やると、口元に笑みを浮かべてもう一度頬にキスを落とす。



 「……リオ、ちょっと、もう大丈夫。もう慣れた、慣れたからっ!」



 はっとしたシンシアは、リオの肩と口元に手をやってなんとか拒もうとする。



 鼓動がどくどくと身体中を駆け巡り、すぐ近くにいるリオに聞こえてしまいそうだ。



 リオはすっと目を細めて、何も言わずにシンシアを見つめている。



 「早くエミリーのところに行かないとだから、もう終わり。……そんな目で見つめないで、私からもキスをするからそれで終わりにして」



 ちらりと見てみると、リオは何も言わずにずっとこちらを見つめていて納得していないことがわかったシンシアは、苦渋の決断として自分からキスをすることを提案した。



 にこりと目元だけで微笑んだリオに、口元に当てていた手をそっと離して頬に添える。



 そして、頬の方へと顔を寄せる。



 「おやおや、こんなところで仲睦まじくしていたのですねぇ」



 あと少しでリオの頬にキスをするという時、すぐそばでライの声が聞こえて、シンシアは急いで離れようとするもリオが腰を掴んでいて離れられない。



 「……ライ。もう少し待っていてくれても良かったと思うけど」



 一気にりんごのように赤くなってリオの肩に顔を埋めるシンシアと違い、リオは不機嫌そうな声でライに返事をした。



 「何のことでしょうか、私はお二人を探していただけですよ。ふふふっ……おはようございます。リオ様、シンシア様」



 「うん、おはよう。苦労をかけたね。シアはわたしがそばにいるから心配しなくて良い。何かあったらわたしのところに居ると思っていいよ」



 シンシアの頭を撫でながら、リオはいつもと変わらない調子で言った。



 「かしこまりました。朝食はどうなさいますか」



 「ああ、用事が終わったら身支度するからいつもので大丈夫だよ」



 「左様でございますか」



 「ほら、シア。キスしてくれるんでしょ?」



 頭を撫でて抱きしめながら、柔らかくいつもと変わらない声でそう言うリオに、シンシアは余計に顔を上げられなくなる。



 ライが見てる中でキスをするの?嘘でしょう、恥ずかしくて耐えられない。



 もしかして、ライが近くにいることに気づいていたの?



 シンシアがこうしている間も、リオは頭を撫でることをやめず、ふふふっと上機嫌に笑みをこぼしている。



 「目瞑っててよね」



 ついに覚悟を決めたシンシアは、リオとライのどちらに行ったのか分からない言葉を言うとすぐにリオの頬にキスを落とす。



 「うん、ありがとう。じゃあわたしも」



 シンシアの体が離れないうちに、素早く頬を包み込み、音を立てて首筋にキスをした。



 無言で悶えるシンシアに、リオは笑みを浮かべて膝に座るシンシアごとベッドから立ち上がった。



 「さ、朝の支度をしておいで。また後で」


 

 リオはシンシアをぎゅっと抱きしめると、ライの後に駆け付けたエミリーへとシンシアを引き渡した。



 その間シンシアは両手で顔を覆い、耳まで真っ赤にしていた。



 そうしてリオと別れ、エミリーについてソレイユ邸を歩く。



 未だ火照る頬を冷ますように風を感じながら、エミリーについて行く。



 「ふふっ、おはようございます。シンシア様」



 ライと共にすぐそばにいたと言うことは、あの一部始終を見ていたのだろう。



 エミリーは特に何を言うでもなく、いつもより少し上機嫌に話しかけてくる。



 見ていたはずのエミリーが何も言わないってことは、キスは普通のことなのね?



 エミリーの様子からそうあたりを付けたシンシアは、意識していつもの声を出す。



 「ええ、おはよう。探してくれてありがとう」



 「いえ、ご無事で何よりです。恋バナはいつでも大歓迎です」



 何事もないように、恋の話を振ってくるエミリーに、シンシアは顔を真っ赤にして言い返す。



 「リオはそういうのじゃないの!もう」



 「ふふっ、そうですねぇ。今日もとっても可愛いシンシア様をリオ様に見せつけましょうね。このエミリー、精一杯努めさせていただきます」



 そうこう言っているうちに部屋に着いて、メイドたちに身支度を整えてもらう。



 「……お願いね」



 リオのためではないが、メイド達にはきちんと言葉を返す。



 今日は胸部から膝上あたりまでビーズをあしらわれ、ふんわりとしたアームドレスのようだ。



 髪は昨日選んだヘリオドールのリボン。



 「出来ました。……うん、今日もよく似合っていますね。シンシア様は何を着ても女神様のようにお綺麗なので、普段用のドレスを作るのが惜しい気持ちになりますね。……リオ様に頼んで数着形の違うものを用意しましょうか」



 エミリーの言葉により、シンシアのドレスは追加で数着作られることが決定した。



 そんなに必要かしら。



 そう思いつつ、せっかくの好意に甘えることにする。



 「ありがとう、貴方たちの腕が良いからそう思うのよ。今日のドレスも素敵ね」



 今日はいつも見えている腕がアームドレスで隠され、ドレスも前より華やかなものなので、大人びているものの、いつもより少女らしさが感じられる。



 普段と一味違う雰囲気に、シンシアも自然と顔が綻ぶ。



 どちらかと言うと大人びた雰囲気の方が好きだが、それはそれとして可愛いものも好きなのだ。




最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてもらえると嬉しいです。

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