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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第五十四夜:熱に溶けた瞳

過去一甘いです。

思ったよりもリオさんが本気を出してしまって私の心もざわついています。



 キュロキュロー!チュリチュリ!と鳴く鳥の囀りと太陽の光で、シンシアの意識は覚醒して行く。



 ヒュルルルー、チュリチュリ!



 なんだかいつもより騒がしいわね。



 そっと目を開けると、目の裏に焼き付くような光が目に入り、目を開けることができない。



 「シンシア様ー!どちらにいらっしゃるのですかー!ご無事ですか!」



 遠くから、エミリーの声が聞こえてくる。



 「エミリー?」



 ベッドから身を起こし、声のした方を見てみるが、エミリーの姿は見つからない。



 私が部屋から居なくなってしまったからよね。



 はぁっと深くため息をつくと、隣で眠るリオの姿が目につく。



 昨日の夜は拳二つ分ほどだった距離が、少し動けば触れられてしまうほどになっていた。



 こちらを向いて手を伸ばし、太陽の光を浴びて眠るリオは絵画に描かれた女の子のようにあどけない。



 リオはいつも距離が近いが、その顔をまじまじと見たことはないため、目が離せなくなる。



 起こさないようにそっと近づいて顔につく髪を除ける。



 リオってまつ毛が多いのね……それに長い。



 起こした方が良いのだろうけど、もう少しだけ見ていたい気持ちもある。



 「リオ様、シンシア様ー!」



 エミリーが呼んでいる。



 「起こさないんだ」



 どうしようか考えあぐねていると、リオがパチっと目を開けて、こちらを見つめながら清艶に微笑んでいた。

 


 心臓が止まったかと思った。



 一瞬身体が浮いた気もする。



 「今起こそうとしていたの、驚かさないで」



 飛び跳ねた心臓を悟られないように、何でもない顔をして誤魔化す。



 「ふふっ、その割にはじっと見つめてたみたいだけど」



 リオは思わず見入ってしまうような魅惑的な笑みを浮かべ、揶揄ってくる。



 「……起きてたのなら素直に言ってくれたら良かったのに」



 頬に熱が集まって、不貞腐れた声が出た。



 「シアがあまりにもじっと見つめるから、何かしてくれるのかと思って待ってたんだけど、全然してくれないから起きちゃった」



 こちらをじっと見つめてにやりと笑うリオに、顔を合わせられなくなる。



 「期待しても何もしないわよ」



 「してくれないのかい?」



 「何かって、何をすれば良いのか分からないもの」



 にこにこと微笑み、上目遣いでシンシアを見つめるリオと、そんなリオを無表情に見つめ頑なに拒むシンシア。



 「何ってもちろん、頬への口付けだよ。ほら、ここ。あ、両方でもいいけど、どちらが良い?」



 ずいっと頬を指さしてこちらに差し出してくるリオに、シンシアはたじたじしてしまう。



 昨日の今日でのキスはハードルが高い気がする。



 第一、普通キスなんてするの?



 本当にあいさつなのよね?



 「頬へのキスって挨拶なの」



 じりっと背を後ろへ傾け、リオの前に拒むように手を伸ばして問う。



 「キスは大切な人にすることだよ、貴方は私の大切な人ですって伝えるためにね。シアは私のこと大切じゃない?」



 リオはきょとんと目を瞬かせ、当たり前だろう?とでも言いたげな顔で言った。



 「大切だけれど、そんなに日常的にするものなの?」



 「大切だからこそ日常的にするのではないのかい?大切な人には気持ちを伝えてこそだろう?日頃から気持ちを伝えていれば仲違いをしてもすぐに和解できるだろうし、お互いに良い気持ちになれる」


 

 リオは身を起こしてシンシアの手を優しく握り、じりじりと寄ってくる。



 「じゃあ、これは普通のことなのよね?みんな挨拶にキスを贈り合うんでしょう?」



 それでも尚引き下がらないシンシアに、リオは余裕のある大らか笑みを浮かべている。



 「それは人によるんじゃないかな。でも、キスをするのは普通のことだよ。何も変じゃないから、そんなに堅くならならないで」



 人によると言うことは、挨拶のようにキスをする人もいれば、時々しかしない人もいると言うことよね。



 なら、リオがそういう文化の人ってことなのよね?



 「目、瞑って」



 リオはたくさんキスをするタイプの人だと納得したシンシアは、まだ少し引っかかる気持ちのまま受け入れることにした。



 リオはシンシアの方へ真正面に顔を向けると、口元に笑みを浮かべたまま、目を瞑ってみせた。



 シンシアは自分の手でリオの顔の向きを横に変えた。



 「何で横にするの」



 納得行かないと言うように拗ねた声で言うリオに、シンシアは何を考えているのか分からない真っさらな声で答える。



 「頬にキスするなら横にした方がしやすいでしょう?」



 リオの頬に手を添えて、頬の1番ふっくらとしている場所を目安に目を閉じてそっとキスを贈る。



 「はい、出来たわ。もう良いわね。エミリーのところに行きましょう?」



 心を無にしてさっとキスをして、そのままベッドから立ち上がって歩き出そうとすると、リオの手が顔に添えられる。



 「まだだよ。わたしからもしないとね。……おはよう、シア。シアは今日もかわいくて、いつまでもこうして見つめ合いたいと思ってしまうよ」



 ちゅっと音を立てて、口の横あたり、ぎりぎり頬と言えそうな場所にキスをされ、すりすりと親指に頬を撫でられる。



 見つめ合いたいと言うリオの瞳はとろりと溶けてしまいそうなほど甘く感じて、そのせいか声も甘く聞こえてくる。



 こんなの、絶対に普通じゃないわ。



 だって、キスをされた頬にリオの唇の感触が残って頬が熱いのに。


 



最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えて貰えると嬉しいです。

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