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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第五十二夜:月に照らされた表情

ほのぼのさせたかったのに何故かこうなりました^_^




 「!、リオ?……分からないの、いつの間にかここにいたから」



 シンシアは後ろで手を組むと、俯いた。



 どんな顔して目を合わせれば良いのか分からなかったからだ。



 「いつの間にか……?わたしにはシアがいきなり現れたように見えたんだけれど……。ここに来る前、何を思い浮かべてた?」



 リオは顎に手を添え、ザッザッと音を鳴らしながらゆっくりと歩み寄ってくる。



 「……2人のこと、エミリーとか……リオのこととか」



 相変わらず目線は合わせられず、目に入るのは裸足と足元の草で、尻すぼみになってしまう。



 足元がきらっと輝いたかと思うと、裸足だった足にミュールが現れる。



 リオが魔法を使ってくれたのだろう。



 「……そう。レイリアとオリアナを思う気持ちにつられて、無意識に会いたいと願っていたのかもしれないね。レイリアとオリアナを除いて会えるのはわたしとエミリーだけれど、具体的にイメージしやすいのはわたしだろうから、わたしの元に転移してしまったんだと思う」



 リオは人差し指で唇をトントンと触って、そう言った。



 今でもレイリアとオリアナに会いたいと思っている。



 ずっと、あの日々が続いてほしいと。



 あの2人のことを思い出すと、どうしても恋しくなってしまう。



 確かに、リオの言う通りつられてしまったのかもしれない。



 じゃあ、私もしかして転移魔法を使ったの?



 意図せずに転移魔法を使ってしまった可能性に驚く。



 「靴、ありがとう。……リオの言う通りだと思うわ。2人のことを考えるとどうしても会いたくなってしまうの。リオの言葉を元に考えると、転移魔法を使ったと言うことよね?急に現れて驚いたでしょう、失礼したわね」



 リオは思い浮かべて魔法を使うだけだと言っていたけれど、まさかこんなに容易に出来てしまうとは思わなかった。



 せっかくの1人の時間に邪魔してしまったことが申し訳なく感じる。



 「どういたしまして。状況から考えると転移魔法だと思うよ。でも、転移魔法は割と高度な魔法に分類されるし、魔力が多くないと出来ないから、シアは筋が良いね。……正直、こんなにすんなり出来るなんて驚いてるよ」


 

 リオは純粋に驚いているようだった。



 「そうなのね、私も驚いてるわ」



 シンシア的には、いつの間にかこの場所に居たという認識だから、あまり魔力を使ったようには感じられなかった。



 何か別の理由でもあるのだろうか。



 「ふふっ、シアはいつもわたしを驚かせてくれるね」



 リオはふっと表情を和らげていつものように微笑み、近くにある長椅子に座ると、隣を指差した。



 「せっかくだから、座って話さないかい?」



 「ええ、そうね」



 シンシアは小さい子供が1人間に座れそうな距離にそっと腰を下ろした。



 「初めての転移魔法はどうだった?」



 リオは満点の星空に浮かぶ大きな月を見つめながら問うた。



 「あまり実感が湧かないわ。みんなのことを考えていたら、気づいたらここに居たから」



 シンシアも同じように、月を見つめる。



 「初めて転移魔法を使った人は、魔力がごっそり抜かれたと感じる人がほとんどなんだ。そう考えるとシアはかなり魔力が多いのかもね。それこそ、他の人とははるかに比べものにならないくらいに」



 そもそも、魔力について深く考えたことが無かった。



 林檎を切る時も、息をするように魔法を使っていたし、魔力が減る感覚、というのがいまいち理解できない。



 もしかしたら、減っていると言う感覚に疎いということもあり得るかもしれないが。



 「リオもそうなの?」



 ちらりとリオの横顔を見つめる。



 「うーん、わたしはそうでもないかな。わたしの一族は特殊でね、他の人より魔力が多いからあまり減った感覚はしないんだ。というより、魔力が減ることがないんだよね」



 目は合わない。



 リオも魔力が減ると言う感覚はないのね。



 「リオみたいな人は結構いるのかしら」



 私もリオも魔力が減る感覚が無いなら、こう言う人はどれくらいいるのか気になった。



 「いや、わたしの生きてる間は見たことがないよ。それこそ、わたしの一族と対をなす一族くらいしか思い当たらない。もしかしたら遠い国にはいるかも知れないけれど」



 「……リオと対をなす一族?」



 どういうことだろう。



 リオは普通の人間だと思っていたが、特殊な一族だと言う。



 ならば、私の魔力への感覚は今まで何も考えていなかったから分からないだけなのだろうか。



 「うん。昔は多少交流があったらしいんだけどね、いつからか表に出てこなくなってね。でも、詳しくはまた今度教えるよ。今はまだ秘密」


 

 リオは人差し指を唇に持っていき、こちらを見て寂しそうに微笑んだ。



 まただ。



 時折寂しそうで、苦しそうに目を細めている。



 いつも底抜けに明るいリオからは想像できない表情。



 踏み込む事は許してくれないのだろう。



 だから、聞くことができない。



 リオは自分のしている表情に気がついているのだろうか。



 「なら、教えてくれるのを楽しみに待っているわね」



 待つことしか出来ないけれど、私にはいくらでも時間があるはずだ。



 それこそ、リオの最期の時まで教えてくれなくても、気長に待てるくらいには。



 リオが寂しそうにするなら、聞かなくても良い。



 ツンと痛みを主張する胸に気がつかないふりをして笑みを作った。


 



最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてもらえると嬉しいです。

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