第五夜:そういうもの……?なの……?
後半からリオ視点に変わります。
視点切り替えは初めてなので分かりずらいかもです……汗。
「ところで、シンシアはどうして泣いていたの?」
シンシアの隣、お互いの肩と肩がくっついてしまうのではと思うほどの距離にリオが腰を下ろしながら問うた。
彼女の瞳は心配の色を混ぜたような表情でこちらを伺っている。昔レイリアに聞いた犬?というものに少し様子が似ているな、と思いつつその瞳を見つめる。
「嫌な夢を見ただけ。いつもそう。」
また少し涙を浮かべて、キラキラと見つめてくる瞳から目を逸らしながら答えた。
「そうだったんだ……。それは、辛かったね。何か……力になれると良いんだけど。」
「どうして?」
「どうしてって、どう言うこと……?!」
見ず知らずのリオに力になりたいと言われて、シンシアは戸惑ってしまう。シンシアにとっては2人以外と話すのは初めてのことなので、全くリオの気持ちが理解できない。
リオも予想外の答えに戸惑い、2人して戸惑ってしまった。
「言ったでしょ?シアの泣いてる声に居ても立っても居られなかったんだって。心配なんだ。」
「シアが泣いていると心配になるから、泣かないでほしいんだ。だから、泣いてしまう原因を何とかしたいって思うんだよ。分かった?」
「うーーーーん。よく分からないけれど、そういうもの……?なの……?」
「うん。そういうものだよ。ふふっ」
シンシアの瞳を真剣に見つめて、話してくるものだからよく分からないまま納得してしまった。
そういうものらしい。
リオは嬉しそうに頬を綻ばせながら、シンシアのサラサラと指通りの良い月の光に照らされた金髪に見える銀髪を撫でる。
「シアって本当に面白いね……!おもしろくて、可愛い……!」
「あ!これからはシアって呼ぶね。シア。」
久しぶりに誰かと話したからなのか、リオが2人とどこか似ているからか分からないが、シンシアは2人と過ごしたあの日々を思い出した。
「仕方ないから、シアでいいわ。」
少し気恥ずかしくなって、つい上から目線になってしまう。
けれどもそんなシンシアに、リオは彼女の言動が可笑しくて、つい口角が上がってしまうのを抑えきれなかった。
初めて見た時から思っていた。彼女の瞳は、まるで甘い蜂蜜みたいだ、と。
その日、リオ・ベネット・ガルシアは少女の泣き声を聞いた。
正しくはその日も、だろうか。
いつの日からか、皆が寝静まった頃に小さな少女の、気持ちを押し殺すような、けれども溢れ出てしまったかのような悲しい泣き声が聞こえるようになった。
いつもいつも、悲しい、悲しい、苦しい、どうしてわたしだけ、だなんて言うように泣いているから、リオは気になって仕方なかった。
どうして泣いているんだろう?この声はどこから聞こえているのかな?いつか、この涙が枯れる日は来るのかい?
そんなことを考えているうちに、いつの間にか泣き声だけでなく少女の話し声までも聞こえるようになってきた。
「はぁ……。出会いと別れの季節、ね。」
「嫌いだ。春なんて。」
「レイリア、オリアナ……。会いたい……。」
ずーっと寂しそうに話しているから、リオはいつしか彼女のことが心配で心配でたまらなくなった。
彼が彼女の涙を止めてあげたいと思うほどに。
そうして、リオ・ベネット・ガルシアはシンシアの泣き声をきいて彼女の傍に現れたのである。
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