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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第四十九夜:花の妖精の落とし穴

花冠は切れ目のない「輪(円)」の形状から、「永遠」や「途切れることのない愛と絆」を象徴するアイテムとされているようですねー。




 ダイヤモンドの色が私の髪の色と似ているから選んでくれたのだろう。



 そう思うと嬉しくて、笑みを浮かべてしまう。



 私がリオを思い浮かべてリボンを選んだように、リオも私と思い浮かべていてくれたのね。



 「そう、嬉しいわ。きっと良い思い出になるもの」



 「ふふっ、うん」



 2人はそう言うと、小さな子供のように嬉しそうに微笑んだ。



 そういえば昔読んだ事のある本に、花冠の作り方が載っていたことを思い出した。



 きっとリオには花冠が似合うと思う。



 「ねぇ、この花。少し摘んでも構わないかしら」


 

 四阿(あずまや)からそっと足を踏み出して、花畑へと進む。



 「もちろん、構わないよ。ここには私たちしか来ないからね。花たちもきっと喜ぶよ」



 リオもシンシアに続いて四阿から出て、シンシアの隣に並んだ。



 シンシアは膝を折り曲げてかがむと、ネモフィラの花を2本手に取った。



 リオも隣に屈んで座ってくる。



 一本のネモフィラを軸に、もう一本の方を軸の茎の方にくるりと巻きつけて、きゅっと縛り、またもう一本を手に取る。



 手に取ったもう一本を、さっきの2本に同じようにくるりと巻きつけて縛っては、それを何度も繰り返す。



 そうして、良い具合の長さになったら丸い形を作り、編み始めと編み終わりの茎を重ねて、空いているところにネモフィラの花のついた茎でぐるりと巻いて余った茎を裏側に捩じ込む。



 そうすると、頭の大きさにちょうど良さそうなネモフィラの花冠が出来た。



 うん、初めてにしてはよく出来ていると思うわ。



 「わぁ。シア、花冠を作ったんだね」



 作っている様子を隣で静かに見守っていたリオは、感嘆の声をあげて微笑んだ。



 「ええ、昔読んでいた本に作り方が載っていたのを思い出したから作ってみたの。リオに似合うと思って」



 シンシアはそう言うと、作った花冠をそっとリオの頭に被せた。


 

 「……わたしに?」



 リオは瞬きをして、シンシアを見つめ返す。



 太陽の光を浴びた淡い金髪に、グレーダイヤモンドの青い煌めき。



 そして、彫刻のように非の打ち所がない美しい顔。



 そんな美しい人が、頭に空の色をした花冠を被り少し困った顔で微笑んでいる。



 「ええ、よく似合っているわ。お花の妖精さんみたいよ」



 シンシアは口元に手を寄せると、ふふふっと上品に笑った。



 「そうかい?もしわたしが花の妖精だったなら、シアに惹かれて花を降らせたり、それこそ花の冠を送っていたと思うよ。ふふっ……でも、ドレスの色が花の色と同じ青だから、シアの方が妖精さんみたいだね」



 リオは花冠をそっと触れると、柔らかく微笑んでシンシアに手を伸ばした。



 「そうかしら。じゃあ今の私がお花の妖精で、貴方に花冠を送ったことにするわね。ふふふっ」



 シンシアはいつもより上機嫌な様子で、鈴を転がすような声でそう言った。



 「あははっ、そう言うことにしておこうか。ありがとう、美しい妖精さん」



 リオは明るく笑ったかと思うと、伸ばした手でシンシアの手を取り、ちゅっと優しくキスを落とした。



 「ふふっ、今の私は妖精さんなのでしょう?だったら、キスを落とすのは私の方よ」


 

 シンシアは昔読んだ妖精の物語を思い出した。



 妖精が気に入った幼な子にキスを贈るお話しだ。



 さっきまでは私を妖精だと言っていたのに、今度は自分が妖精の役をしたりして、これではどっちが妖精なのか分からない。



 なんだか可笑しくなって笑ってしまう。



 「ふふっ……だって、わたしにとってはシアが花の妖精さんだけれど、シアにとってはわたしが花の妖精さんだろう?だから妖精さんらしくしてみたよ」



 その言葉でさっきよりも可笑しくなってしまって、今度こそいつものリオのように声を上げてしまった。



 「あははっ!するならどっちかにして、忙しい人ね」



 シンシアの笑顔をみたリオは、一緒になってあははっと笑い声を上げた。



 そうして、ネモフィラ畑を満喫した2人はソレイユ邸に戻った。



 「おかえりなさいませ。リオ様、シンシア様。……おや、本日も存分に満喫されたようですねぇ。仲が良いのは良い事です。はっはっは!」



 頭に乗った花冠をみたライは、いつも通り豪快に笑ってリオを揶揄う。



 「ただいま、うん。わたしはお花の妖精さんだからね」



 リオは機嫌の良い声で答えた。



 「おやおや。珍しいこともあるんですねぇ」



 いつもだったら呆れるリオが、機嫌良く答えたことにライは驚く。



 「そんなことより、エミリーはいるかい?」



 「はい」



 「シア、湯浴みしておいで。外に出て疲れただろう?」



 シアはエミリーについて湯浴みをする事にした。



 「今日は花冠を作ったんですね。」



 浴場へ向かう途中、エミリーがぽつりと切り出した。



 「ええ、よく似合ってたでしょう?」



 「ふふっ、ええ。花嫁みたいでしたね」



 「えっ?」



 聞き間違いかと思って、素っ頓狂な声を上げてしまう。



 「だって花冠って、永遠の愛の意味がありますよね。古代は結婚式の際に男女で着用していたようですし。……さぁ、着きましたよ。今日はいつもよりごゆっくりどうぞ」



 浴場へ着いてメイド達に世話をされるが、シンシアは全くリラックス出来なかった。





最後まで読んで頂きありがとうございます。

表現のミスや誤字脱字があったらそっと教えてくれると嬉しいです。

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