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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第四十八夜:青空といたずらグレーダイヤモンド

ダイヤモンドの石言葉は「永遠の絆」「強い絆を結ぶ」「変わらぬ愛」「純愛」「不変」、そしてグレーダイヤモンドの石言葉は「あるがまま」「強さ」だそうです。



 「疲れたかい?」



 リオは、髪から手を離さずにシンシアの顔を覗き込んで顔色を確認してくる。



 「いいえ、大丈夫よ。どうかしたの?」



 シンシアは目をぱちくりとして、リオを見つめ返す。



 「シアはあまり外に出たことが無かっただろう?だから、気疲れしていないかと思って」



 リオは心配そうに眉を下げて、シンシアの髪を撫でた。



 「心配してくれてありがとう、でも大丈夫よ、疲れてしまったらすぐに伝えるわ」



 リオの心配を吹き飛ばすように、控えめな笑みを浮かべたシンシアは、リオの目を見てはっきりとそう言った。



 その様子を見たリオは、きちんと顔色が悪くないのを確認してから小さく頷くと、柔らかく微笑んだ。



 「よかった。シアに見せたい景色があるんだ」



 「私に?」



 「うん。……掴まって」



 どんな景色なのかしら。



 胸にワクワクとした気持ちが湧き上がってくる。



 シンシアは頷くと、リオの手をぎゅっと掴んだ。



 そして、少しの間目を瞑る。



 「着いたよ。さぁ、目を開けて」



 恐る恐る、そっと目を開ける。



 そこには、一面に青空が広がっていた。



 サーっと風が吹いて、髪が靡いて銀髪が視界に入る。



 「どう?」



 リオは上半身を横に傾けると、シンシアに尋ねた。



 リオの肩からゆるりと編んだ三つ編みが垂れて、風とともに緩く靡く。



 「ずっと空が続いているみたい……」



 雲ひとつない可憐な明るい青色、勿忘草色の空と、空と同じ色をしたネモフィラ。



 ネモフィラは大地を覆い隠し何処を見ても青一色だ。



 空と大地、視界いっぱいに青が続く景色が広がって、まるでそれは空がずっと続いているように見える。



 時々吹く風がネモフィラを揺らし、そこにあるのがお花畑だと証明する。



 「ふふっ、だろう?」



 リオは満足気に笑って頷くと、そのままシンシアの手をひいて歩き出した。



 少し歩いたところに簡素な作りの建物、四阿(あずまや)があり、そこに足を運ぶ。



 春とはいえ、雲ひとつない空はずっと当たっていると肌がじりじりとしてくる。



 四阿に入ると、焼きつくような日差しがぱっと遮られ、涼しい風が肌を撫でた。



 「ここのネモフィラは、この時期になると一斉に咲くからすごく綺麗なんだ。意外と穴場だから、人も少ないしね」



 リオは内証話をする時のようにいたずらな笑みを浮かべて、シーっと口に人差しを当てた。



 「ええ、素敵だわ」



 四阿からネモフィラ畑を見渡してみると、この場所は緩やかな坂のような作りになっているようで、少し遠くにも同じような四阿が見える。



 一面ネモフィラ畑だけれど、周りが木々や山しかない事から、そこそこ標高の高い場所であることがわかる。



 「もしかして、この場所って標高が高いから、人が寄りつかないのかしら」



 見渡した景色をもとに考えを述べてみせると、リオは少し驚いたように目を見開いてから頷いてみせた。



 「あははっ!うん、普通の人間がここに来るには

街からかなり歩かなきゃだからね。みんなこんなに綺麗な景色があるのに知らないんだ」



 リオが声をあげて笑うと、シャラシャラとする音が聞こえた。



 「ねえ、転移魔法って一度来たことある場所にしか行くことができないの?」



 リオは行きたい場所を思い浮かべたら出来ると言っていたが、行ったことのある場所しか行けないのだろうか。



 ふと思い浮かんだ。



 「うーん、具体的にイメージ出来たら行ったことのない場所でも行けるよ。ただ、実在しない場所には行けないかな。この魔法の鍵は具体的にイメージできるかだからね、行ったことのある場所の方が成功しやすいと思うよ」



 リオは顎に手を当てて少し考えるとそう言った。



 シンシアは、ほっと胸を撫で下ろす。


 

 「じゃあ、転移魔法で此処に来られるように一度歩いてこの場所に来たわけではないのね」



 そう、リオが歩いてこの場所まで来たのかと心配だったのだ。



 「……ぷっ、あはははっ!そんな理由で聞いたの?そんな理由で聞かれたの、初めてだよ。あははっ、ふふっ、ふふふっ」



 リオは目をぱちくりさせたかと思うと、堪えきれないとでも言うようにお腹を抱えて笑い出した。



 あははっ、と笑う声に合わせてシャラシャラと音がする。



 リオのサイドに編み下ろした髪と、緩く巻かれた横髪の間からキラキラとしたものが見えた。



 「もう、そんなに笑うことないでしょ。……貴方、ピアスなんて付けていたの?」



 リオがあまりにも面白そうに笑うから、シンシアはなんだか恥ずかしくて目を逸らしてしまう。



 多分、声には拗ねているのが出ていたと思う。



 「ふふっ、ごめんね。いままで生きてきた中で、そんな理由で質問して来た子なんて居なかったから面白くて。あははっ、本当に面白いなぁシアは。……さっきルチェンテで受け取った物だよ」



 ちらりと見上げると、リオは笑いすぎて目尻に涙を溜めていて、お腹を抱えていた手を顔に寄せると、節がくっきりと浮き出た手から伸びた白い指が涙を拭っていた。



 そして、ピアスを見せるように、髪を少しずらして顔をこちらに寄せてくる。



 きらきらと輝く金髪の間から覗くのは、プラチナに、青にも似た色のグレーダイヤモンドのついたフックピアスだった。



 リオが動くたびに、プラチナの装飾が揺れてシャシャラと音を立てる。


 

 水色の輝きを放つグレーダイヤモンドは、リオの輝くような金髪との対比で存在感がある。



 「素敵なピアスね、よく似合ってると思うわ」



 「このグレーダイヤモンドとプラチナ、シアみたいだから選んだんだ。ふふっ、良かった」



 リオはくすくすと幸せそうにうっとりと笑ってそう言った。





 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてくれると嬉しいです。

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