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とこしえの2人  作者: 雪月影
第三章:ひとりぼっちが愛をしる

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第四十七夜:太陽の贈り物、ヘリオドール

第四夜にて、リオがシンシアの瞳を「甘い蜂蜜のよう」と言っていましたね。

蜂蜜は甘い物ほど透明度が高くなるそうです。




 シンシアの目にとまったのは、シルバーのサテン生地に、三日月形のヘリオドールがはめ込まれたリボンだった。



 「ふふっ、あのリボンが気になる?」



 シンシアの視線の先にあるリボンに目を向けたリオは、そう問いかけるとそのリボンを手に取った。



 手に取ったリボンをシンシアの髪に合わせると、満足気に頷く。



 「わたしもこのリボンが気になってて、きっと1番似合うから最後に合わせようと思っていたんだ。……うん、やっぱりよく似合ってる。ヘリオドールという石の由来を知っているかい?古代の言葉で太陽の贈り物、という意味があるんだ。この地は太陽の地だろう?だから、このリボンを見るたびにこの地とわたしのことを思い出して、いつまでもずっと忘れないでいてほしい。シアにとって、この日々が幸せだったと思い出してほしい」



 髪に付けていたリボンを外され、ヘリオドールのリボンを付けられる。



 そしてリオはシンシアの髪を撫でて、両手で頬を包み込んで微笑んだ。



 頬を包み込み、真っ直ぐと目を見て話すリオに温かい気持ちになる。



 リボンひとつにこんなに真っ直ぐに気持ちを込めてくれることがうれしい。



 リオにとって、このリボンは祈りのようなものなのだろう。



 頬を包み込む手の温かさも、リオが自分に向ける気持ちも、全て心地良い。



 「この石、緑がかった黄色をしているでしょう?リオみたいだなって思ったの。リオがそんなに気持ちを込めてくれるなら、きっとこのリボンをみてリオやこの地を思い出すわ。レイリアとオリアナに、今日のことをお話ししてあげないとね。ふふふっ」



 頬を包む手に顔を預けながら、目を閉じてレイリアとオリアナを思い浮かべる。



 レイリア、オリアナ。



 私、こんなに私のことを思ってくれる人に出会えたのよ。



 春は出会いの季節なのかもしれないわね。



 今、2人に話したいことがひとつ増えたの。



 だから、あの庭で待っていて。



 「シアの瞳、太陽の光にあたると濃厚な蜂蜜みたいでゴールデンベリルのようだけれど、月の下だと透き通っていてヘリオドールのように見えるんだ。だからこのリボンを見た時、シアみたいだと思ったんだよ。あははっ!お互いのことを思ってリボンを選んだなんて、面白いね」



 ヘリオドールは色によって呼び方が変わると本で読んだことがある。



 ゴールデンベリルはそのひとつで、黄金色が強く琥珀色の色をしたものだった気がする。



  月の下と太陽の下で瞳の見え方は変わると聞いたことがある。



 リオにとって、私の瞳はそのように見えていたのだろうか。



 わたしの瞳と、リオの髪と瞳。



 ヘリオドールという宝石一つで共通点が出来た。



 シンシアはリオの髪と瞳を、リオはシンシアの瞳を。



 ヘリオドールを見るだけで思い出せる。



 「それじゃあ、ヘリオドールは私たちにぴったりな宝石かもしれないわね」



 そうして、シンシアの普段使いするリボンはシルバーのサテンに中央にヘリオドールがはめられた物に決まった。


 

 2人がリボンを決めると、小さな箱を持ったルイスがそばに佇んでいた。



 「お決まりのようですね、他のものは私がソレイユ邸へとお届け致します。……リオ様、こちらもどうぞ」



 ルイスは持っていた小さな箱をリオに差し出した。



 「ああ、ありがとう。そういえば頼んでいたね」



 リオは今思い出した、とでも言うように返事をした。



 「ご自身の物なのですから忘れないでください」



 ルイスは少し呆れた様子を見せる。



 「あははっ、そうだね。気をつけるよ。今日はありがとう、良いリボンが見つかった」



 呆れた様子を気にすることもなく、リオは上機嫌で微笑む。



 そんなリオの様子を見ながら、リオは何を頼んでいたのかしら、と考える。



 小さな箱だったから、アクセサリーだと思うけれど。



 「じゃあ、あとのリボンはよろしくね」



 「はい、今後とも御贔屓にお願い致します」



 「さ、行こう。シア」



 リオはルイスと一言二言言葉を交わすと、にこりと微笑むとシアの手を引いて歩き出した。



 ルイスの経営する仕立て屋(サルトリア)、ルチェンテを出ると、リオは立ち止まってシンシアを見つめた。



 「リボン、気に入ってくれたかい?」



 ここにくる前に、「シアもきっと気にいる」と言っていたことを思い出した。



 「ええ、もちろん。ありがとう、リオ!」



 くすくすと肩を揺らしながら、微笑む。



 「それは良かった。そのリボン、よく似合ってるよ。髪の色とも合っていて、シアの魅力を引き立てていると思う。すごく綺麗だ」



 リオは指をシンシアの髪に絡めると、そのまま口元に持って行き、髪にキスを落とした。



 リオはイタズラに笑うわけでも、恥ずかしがるわけでもなく、うっとりと微笑みながらシンシアの銀髪にキスをした。



 急なキスに驚いて固まってしまう。



 初めて街に行った時もそうだったけれど、キスをされるのは落ち着かない。



 慣れていないからだろうか。



 こんなに距離が近いのが普通なの?


 

 ぴしっと固まってしまったシンシアに、リオは不敵に微笑んでいる。



 「シア、かわいい」



 いつかこの距離に慣れる日はくるのかしら。



 


最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてくれるとうれしいです。


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