第四十四夜:太陽の力と伝承の地
迷った結果、別視点は入れずに3章に行くことにしましたー!
次はリオの性別バレか、長命種バレか、2人の旅なのか、ワクワクしますねー!
オリンピュイアの森林にある屋敷と違って、ソレイユ邸には光が差し込んでくる。
白を基調とした質の良いダマスク柄のジャガード織のカーテンの間から、夜明けとともに太陽の光が差し込む。
目を開けていないのに眩しい感じがして、自然と意識がはっきりとしてくる。
目を開けると、目の前には自室の天井とは違った天井が目に入って、自分がソレイユ邸にいる事を思い出す。
昨日仲直りをしたあと、夕食を食べて、メイドたちに入浴を手伝ってもらって、その後は眠くて連れられたこの部屋で眠ってしまったんだった。
正直、入浴の時辺りからの記憶があまりない。
湯に浸かるだけでなく、何人もいるメイドたちにマッサージにエステ、それから保湿に着替えなど至れり尽くせりと世話され、気づいたら朝だったようなものだ。
首だけを動かして、左右を確認してみるがリオの姿はない。
となるとここはリオの部屋では無さそうだ。
ゲストルームだろうか。
そんな事を考えつつ、天井を眺めてぼーっとしていると、扉の方からコンコンと音が聞こえて、扉が開いたかと思うと静かな足音が近づいてくる。
「失礼致します。……おはようございます、シンシア様。本日よりシンシア様付きになりました、メイドのエミリーと申します」
紅茶のように澄んだ茶髪を綺麗にシニヨンにして、左サイドの髪を垂らし、細めの眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気のメイド、エミリーはさっと腰を折った。
「おはよう、エミリー。シンシアよ、今日からよろしく頼むわね」
シンシアはベッドから身を起こし、朝だというのに眠気を感じさせないはっきりした声で挨拶をした。
「はい、よろしくお願い致します。早速ですが、朝の身支度をさせて頂きますね」
そういうや否や、扉からぞろぞろと複数人のメイドが現れ、シンシアの身支度を進めて行く。
寝起きで乱れた髪は、艶のかかったウェーブ巻きとなりハーフアップに。
まだ眠気の滲んでいた顔は、すっきりとして保湿されてもちもちと張りのある絹肌へ。
さらさらとしたネイビーのサテンのネグリジェは、昨日のようなベビーブルーのマーメイドドレスへ。
今日のドレスは左足の方にスリットが入っていて、より大人らしい印象を受ける。
「お気づきになりましたか。昨日のドレスをもとに、シンシア様により似合うドレスを取り寄せたのですよ。これから数日は様々なドレスを試して、1番似合う形を普段使いにしてもらう予定です。……うん、よく似合っていますね」
数日かけて普段用のドレスを決めるらしい。
エミリーはメイドたちに指示を出しながら、シンシアのドレス姿をじっと見つめ、腕を組み、手を顎に添えて満足げに頷いた。
「そう、ありがとう」
「いえ。リオ様とライが興奮したご様子でドレスを発注してらしたので、オーダーメイドのドレスが届くと思いますよ。ふふっ、珍しく浮かれていましたよ」
真面目そうな顔が、口角が少し上がって控えめに柔らかく微笑んだ。
「そうなの、お礼を言わないとだわ」
知らぬ間にそんな所まで気を回してくれていたようだ。
「リオ様がシンシア様を着飾りたいだけなので、あまり気にしなくても良いと思いますよ。ふふっ、私たちも美しい女性を着飾ることができて嬉しいですし」
真面目そうで近寄りがたい印象なエミリーだが、微笑んでくれたり、気持ちを解れさせてくれたりして、案外柔和な性格なのかもしれない。
「なら良かったわ。ありがとう、エミリー」
くすっと笑ったシンシアは、先ほどよりも柔らかい声でエミリーの名を呼んだ。
「いいえ、朝食にしましょう。着いてきてください、リオ様がお待ちですよ」
「ええ、行きましょうか」
シンシアはメイドたちにお礼を言ってから、エミリーについて朝食に向かうことにした。
カツカツとヒールの音が響く。
「ソレイユ邸は日差しがよく届くわね」
「ええ、ここは太陽の力が強いんです。だから基本的によく晴れていて、ソレイユ邸もとても明るいんですよね」
シンシア様の白い肌を保つために、日焼け対策は念を入れないといけませんねとエミリーは微笑んだ。
「太陽の力?」
基本的に晴れているから日差しがよく届くのは理解できたが、太陽の力とはなんだろうか。
「太陽の眷属の末裔の伝承はご存知でしょうか?」
ええ、とシンシアは肯定の意を示す。
「実は、太陽の眷属の末裔の伝承に出てくる地域はこの地なんですよ。ずっと昔から、この地には太陽の眷属の末裔がいると言い伝えられていて、その伝承の通り、ここは太陽の光がよく差し込むことで、太陽の力が強いと言われているんですよ」
ライの言っていたあの伝承か。
太陽の眷属の末裔による太陽の力のおかげで、日差しがよく差し込むということだろうか。
確かに、ライの言っていた世界を照らすという使命はこれのことだろうか。
「この地が伝承の地なのね……初耳だわ」
シンシアは、興味深そうにうなずく。
「ええ。さぁ、着きましたよ」
ちょうど着いたようで、エミリーは重厚な扉の前で止まると、ノックと呼びかけをしてから扉を開いた。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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