第四十三夜:貴方って意外と可愛い事をするのね
この話を最後に二章を完結にするか、ココやレイ、ライからの視点からの話を書いて完結にするか迷ってます(>_<)
明日の自分に委ねます!
名前を雪月から雪月影に変えました!重ね重ねすみません。あとはカクヨムでも掲載を始める事にしました。
「シア、わたしの考えを聞いて欲しい。……わたしはシアにソレイユ邸で過ごして欲しいと思ってる。理由は……シアともっと一緒に居たいから。シアがあの屋敷を大切に思っているのは分かってるつもり。だから、断っても良いんだ。それでもシアには会えるし、ね。ただ、昼食だけじゃなくて、夕食も散歩の時間も、お昼寝の時間も一緒に居たくて。それでソレイユ邸に招こうと思ったんだ」
リオはシンシアの両手を手に取って包み込みながら、真っ直ぐとこちらを射抜いてくる。
「……それが本当の理由?」
「……恥ずかしいけど、これが本当の理由だよ」
思わず笑いが込み上げてきて、手を口元に添えて顔を背ける。
まさか、本当にそばにいたいだけだったなんて。
あんなにそれらしい理由を挙げていたのに、実際はそんな理由だったのね。
一方的に拒絶して、会えなくなることに怯えていたのに、こんなことが理由だったなんて。
「……そう、ふふふっ」
顔を背けたまま返事をするけれど、笑いで声が震えてしまう。
「あ、笑ってるでしょ。……もう」
リオは少し拗ねた様子でシンシアの口元を覆う手を引いたが、シンシアが堪えきれず笑っている様子を見て、しょうがないなとでも言うように笑った。
「ええ、本当にそんな理由だったなんて。貴方って意外と可愛い事をするのね」
鈴が鳴るように上機嫌な声で悪戯に微笑む。
「…….勘弁して」
深くため息をついたリオが、シンシアの肩に顔を埋めて恥ずかしそうに呟く。
「ふふふっ!リオってば私のことだーいすきなのね」
「……好きだよ、とてもね」
「私もリオのことが好き。会えなくなるのが辛くなってしまうくらい」
リオが恥ずかしそうに囁く一方で、シンシアはにこにこと明るく鈴を転がしたような声で伝える。
掴まれていた手を離され、今度は隙間なくぎゅっと抱きしめられる。
シンシアも腕をリオの背に回し、隙間を埋めるようにぎゅっと抱きしめてリオの首に顔を寄せるた。
今、抱きしめてくれるのはリオだ。
レイリアとオリアナは、いくら待っても屋敷に現れることはない。
2人のことはずっと忘れたくないし、忘れるつもりもない。
ずっと大切だ。
けれど、だからと言って2人の影を追ってしがみついて、"出会いになる"と言ってくれたリオを見ないわけには行かない。
今いる人を大切にしないと、きっと後悔する。
ソレイユ邸に戻って抱きしめられた時の温もり、その時に自覚した会えなくなる事に対する恐怖。
それが何よりの証拠だ。
後悔をしないために、自分の手で選ばなくてはならない。
大丈夫。
ソレイユ邸で過ごしたとしても、レイリアとオリアナを忘れることはないし、2人はずっと私の心の中にいる。
それに、リオはきっと私を置いていく。
それまでの短い間を少しだけ留守にするだけ。
リオとの思い出を森の屋敷にもって帰ろう。
そうしたらまた、あの屋敷で暮らせば良い。
「仕方ないから、一緒に居てあげるわ」
「……良いのかい?」
「ええ、いつかリオとの思い出を屋敷にもって帰って、あの2人と眺めたチェリーブロッサムの庭で思い返すの。そうしたら、レイリアとオリアナも寂しくないでしょう?だから、いいの」
リオの体温が離れたと思ったら、肩に手を置かれてリオと目が合う。
「……本当に?」
眉を下げて心配そうに見つめてくる瞳に、笑いそうになる。
何を怖がっているのかしら、本当に大丈夫なのに。
「もう、本当よ。それに、外の世界についてもっと教えてくれるんでしょう?私、楽しみにしてるの」
「もちろん」
リオはシンシアの言葉に泣きそうにくしゃりと表情を歪めると、いつもみたいな笑顔を見せた。
「ふふふっ、ありがとう!」
そうしてリオの腕が伸びてきて、抱きしめられるのかと思った矢先。
「おや、リオ様にシンシア様、お帰りなさいませ」
ライの声がすぐ近くから聞こえてきた。
2人はぴくりと震え、ゆっくりとライの方へと向き直る。
びっくりした、心臓が飛び跳ねたかと思ったわ。
「ただいま。ライ、驚かすような登場はやめてくれるかい?わたしならまだしも、シアがひどく驚いていたよ」
さっと表情を取り繕って微笑んだリオは、ライを優しく咎める。
「ええ、ただいま戻ったわ」
「おやおや。まさかリオ様が私の気配に気が付かなかったとでも言うのでしょうか?困ったことですねぇ、恋にうつつを抜かして側による侍従に気が付かないなんて。……はぁ、ライは悲しいですよ。恋をするならお相手をしっかり守れるような方になって頂かなくては」
ライはわざとらしくニヤニヤと笑ったかと思うと、徐にハンカチを取り出して泣くような演技をして見せた。
「ライ!全く君は、ああ言えばこう言う。少しは僕を敬う気持ちは無いのかい?」
リオは声をあげて見せるも、怒っているような様子はなく、呆れた様子でライを見つめている。
「シンシア様に呆れられずに済んで良かったですね、リオ様。敬愛しておりますよ、はははっ!」
今度は屈託のない笑みを見せるライに、シンシアは困惑せざるを得なかった。
主従って、こんなに気安い関係なのかしら。
きっと2人は仲がいいのね。
そうに違いないと考えたシンシアは、うんうんと頷いて見せた。
「シア!どうしてそこで頷くんだい?」
「やはりシンシア様もそう思われますよね、はははっ!リオ様、言われてますよ」
慌てるリオと爆笑するライ、1人で納得するシンシア。
まだまだソレイユ邸に馴染むのは時間がかかりそうだ。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
誤字脱字、表現のミスがあったらそっと教えてくれると嬉しいです。




