第三十九夜:会えなくなるのは、嫌だ
やっと仲直りできそうです笑笑
シンシアとクロエの涙がおさまった頃、レイアはそっと話し出す。
「私ね、シンディちゃんはやっぱりリオのことが大切なんだと思うの。……だって、その子の言葉を聞いて、苦しかったんでしょう?それって、その子に対して、期待をしていたってことだと思うの。この人なら、きっと分かってくれるはずって。それって、どうでも良い人になんてしないのよ?……だからね、その子の言葉でこんなに苦しくなるってことは、それほど大切だってことなの」
確かに、リオなら分かってくれると思っていた。
だから、余計に辛く感じたのかもしれない。
「ココもそう思う!でも、リオはどうしてシンディにあんなこと言ったのかなぁ」
クロエはレイアに同意した後、顎に手を当てて首を傾げた。
シンディが大切に思うような相手なら、きっと良い人なのに、と考えたのだ。
「うーん、それは私にも分からないわ。でも、その子にシンディちゃんを思いやる気持ちがあったのは確かだと思うわ」
「どーして?」
「だって、シンディちゃんに"何かしてあげたい"から、ソレイユ邸に留まってほしいって考えたのでしょう?シンディちゃんの大切な子なら、恩着せがましい訳じゃなさそうだもの。……そうじゃないなら、きっとシンディちゃんの力になりたかっただけだと思うのよね」
レイアは分かりやすく伝えるのが上手だ。
どうしてそう思うのかを丁寧に教えてくれる。
だからこそ、ココにも伝わる。
「たしかに!」
「伝え方が少し良くなかったわね」
「でも、シンディにとって大切な人なんでしょ?なら、話し合ってみないと!そーしないと仲直りできないもん!そうだ、ココがそばにいてあげるね!」
クロエやレイアの言う通り、リオは悪い人ではない。
彼女は私にとっての"出会い"で、ずっと一緒にいると言ってくれた。
でも、冷静に話し合えるだろうか。
「……リオは、2人の言う通り悪い人じゃないし、私のことを考えてくれてたのは分かってる。でも、冷静に話せる自信がなくて……。」
あの時のことを思い出すと、胸に不快な気持ちが溢れてくる。
そんな状態で仲直りなんて出来るのだろうか。
「シンディちゃんは、その子と一緒に居たいんでしょう?なら、きちんと話さないと。……もしかしたら、これが原因で会えなくなってしまうかもしれないのよ?」
レイアが眉を下げて、小さい子供に言い聞かせるように話す。
……もう会えなくなる?
声にならない声が口から漏れて、時が止まったかのように一瞬呼吸が止まった。
夢の最後に見る、レイリアとオリアナの後ろ姿が脳裏によぎる。
どれだけ探しても見つからなくて、一目だけでもこっちを向いてほしいのに、向けられない瞳。
森の屋敷での1人での生活。
仲直りしなかったら、もう会えないかもしれないんだ。
リオが屋敷に来なかったら、会うことは出来ないし、彼女が生きているかどうかさえ分からなくなるんだ。
また、終わりのないあの生活が来るのだろう。
今度はレイリアにオリアナだけでなく、リオも夢に見るかもしれないのか。
私から会いに行かなかったなら、彼女が会いに来ない以上、話すことも一緒に食事をすることも出来なくなる。
急に身体が冷えて、身震いをしてしまう。
「……会えなくなるのは、嫌だ」
あの時言われたことも嫌だったけれど、レイリアとオリアナのように会えなくなってしまうのはもっと嫌だ。
声を震わせて、小さく口にする。
私、リオに会いたいんだ。
居なくなったら、苦しいんだ。
「リオ、会いたい」
「シンディ、泣かないで?きっと仲直りできるよ!ココ、シンディとリオが仲直りできるように頑張る!シンディもココと一緒に頑張ろう?」
切なそうに声も身体も震わせて、眉を下げ瞳を潤わせたシンシアを見て、クロエは悲しそうな顔をしてシンシアに抱きつく。
「……泣いてないわ。一緒に頑張ってくれる?」
抱きついてきたクロエを抱きしめて、彼女の肩に顔を埋めたまま問いかける。
「そっかぁ。もちろん!ココ、シンディのお友達だもん!シンディにはココもいるし、まーまもいる!!!だからだいじょーぶだよ!」
クロエは小さな手で、シンシアの背中を優しく撫でる。
クロエの手は、小さいのに暖かかった。
「ふふっ、2人ともえらいわ!まーま感激っ!」
クロエとシンシアが抱き合う様子を見て、にこにことしているレイア。
そんな時、玄関のほうからドアノッカーを叩く鈍い音が聞こえてくる。
ドスン、ドスン。
「あら?誰かしら、普段はこの時間に来客はないけれど……」
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