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とこしえの2人  作者: 雪月
第一章:ひとりぼっちが、ひとりぼっちに出会う
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第三夜:呼吸を忘れてしまうほど、美しい人

やっと出会えました……!

 


 広くて薄暗い屋敷の中に、シンシアだけが存在している。


いつの間にか靴を履いて、身だしなみを整えた状態で談話室にいる。


 ——まただ。今日も。見つけないと。



 「レイリア!オリアナ!私よ!シンシアよ……!」



 傍にいるって言ったんだもの。きっと見つけてみせるわ。




普段は物音ひとつしないはずの屋敷から、彼女たちの声が聞こえてくる。


 「お嬢様、ここです。私はここに……!」



 談話室から足を踏み出すと、辺りは暗くて窓から差し込む月の光だけが、シンシアに現在地を教えてくれる。


 たった一歩、踏み出しただけで震えてしまいそうな寒さだ。


 「レイリア、オリアナ!まってて!すぐに行くから……!」



 そうやって月の光を頼りに走る。走る、走る、走る。

けれどもどれだけ走っても、2人の姿は見えない。


 「お嬢様……!わたしは……ここに……!……っ……」



 指先が思うように動かなくなるくらい冷たくて、呼吸も苦しい。いくら走っただろう。こうしてまた、呼吸ができなくなって、意識がなくなりそうになって……。


 「オリ、アナ……?……まって……!」



 何もかもが苦しくて、涙が頬を伝いそうで、もう意識を手放してしまいそうになった時、彼女たちは現れる。



 彼女に背を向けて。



 「お嬢様……愛してます。いつまでも、お傍におりますよ。」


 なんて言い残してふっと消えてしまう。




 「……っ……!!!……はぁ、はぁっ……!いやよ……。こんなの……!……っ……。」



 1人だけの大きな屋敷で、シンシアは涙を流しながら跳び起きる。



 彼女たちがシンシアの前から姿を消してから少しして、嫌な夢を見るようになった。

来る日も来る日も同じ夢。どれだけ頑張っても、行き場所を変えても、変わらない。



 愛していると言ってくれた2人が、姿を消した2人がやっと会いに来てくれたのに……。また、見つけ出せなかった。何もできなかった。 

 行ってしまった……!



 シンシアには2人がいなくなってしまう夢は涙が出てしまうほど、眠るのが怖くなってしまうほどに耐え難いものであった。



 眠るのが怖くて、2人とよく訪れていた庭を歩く。




 月の光が白銀の水々しい花を美しく、けれども静かに照らす庭で、シンシアは独り腰を下ろした。


 


 「オリアナ……。また今日も、見つけられなかった。……いつまで続くのかしら。」



 「ずっと、ずぅっと……。」



 夢に現れた彼女たちのことを思い出して、再び冷たい涙が頬を濡らす。



 今よりも出来ることが少なくても、2人はシンシアに優しくて、いつも愛おしそうに目を細めては笑いかけて。



 2人と過ごした日々が鮮明に蘇ってしまう。



 「オリアナぁ……っ、レイリア……!……あいたい……っ……!」



 「わたしは、ずっとひとりなの……?」



 「どうして、わたしは……!……っ……。」



 頬を濡らす涙は大粒に、目の前も霞んでいてよく見えない。グズグズと呼吸も不安定になってしまった。



 そんな時だ。



 「ねえ、君。どうして泣いているんだい?」



 月の光を浴びて淡く輝く金髪に、まるで新緑のように鮮やかな瞳。


 心配そうに穏やかな笑みを浮かべて、手を差し伸べる人と目が合う。



 ——瞬間。頬を伝う涙が止まり、呼吸も止まった。



 それは、呼吸を忘れてしまうほど、美しい人だった。

 


最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字、表現の間違いを見つけた際は、そっと教えていただけると幸いです。

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