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とこしえの2人  作者: 雪月
第二章
23/33

第二十三夜:……すき

相変わらず自分の知らない事を想像しながら書いています。

難しいです泣。


 

 「さ、少し歩こう。」



 リオはシンシアの手を深く繋いだまま、歩き出した。



 「……うん。……リオ、手を繋いだまま歩くの?」



 街の景観に圧倒されていて気が付かなかったけれど、魔法を使う時に彼女と手を繋いだままだったことに気づく。



 「もちろん。離れてしまったら困るだろう?」



 彼女はそう言って、指が絡み合った手をきゅ、と握った。



 「1人で勝手にどこかに行ったりはしないわ。……それに、そんなに小さくないもの。」



 街を見ても、2人のように手を深く繋いで歩いている人は、パッと見た様子だと親子くらいしか見つけられない。



 わたしを小さい子供だと思っているのかしら、もうそんな歳ではないのに。



 シンシアはリオから顔を逸らし、少し口を尖らせてしまう。



 「シアは人が多いところは初めてだし、何よりわたしがシアと離れたくないんだ。ふふっ、それにシアと手を繋ぐのは好きだからね。」



 リオは聞き分けのない子供に言い聞かせるかのようにそう言った。



 そんな風に言われると何も言えなくなってしまう。



 少し歩いていると、お店が立ち並んだ通りに出た。



 先ほどまでいた広場よりも人通りが多くて、話し声が沢山聞こえる。



 紙袋を持った女性や、手を繋いでいる小さな子供たち、ゆっくりと歩くご老人まで、色々な人が見える。



 そこかしこから香ばしい香りがしていて、食欲が刺激される。



 「リオ、なんだかいい香りがしない?」



 思わず手を繋いでいる彼女の手を引いてしまう。



 「ふふっ、お昼時だからね。もう少し寄ってみようか。」



 リオに手を引かれ、お店のもっと近くに寄る。



 ショーウィンドウには、以前食べたスコーンのようにこんがりとした焼き色の食べ物が陳列されている。



 「!リオ、沢山種類があるわ。それに、美味しそうな香りがする……!」



 「あははっ!そうかい!そりゃ良かった。可愛らしいお嬢さん、良かったらウチのパンを買ってっておくれ。」



 リオに話しかけると、近くにいた売り子の男性に聞かれていたらしく、豪快に笑いながら迎え入れてくれた。



 「ふふふっ……そうだね、シア。……ありがとう、見させてもらうよ。」



 2人で手を繋いで、パンを見る。



 丸や細長い形だったり、パンに食材を挟み込んだものもあって、どれも良い色をしていて美味しそうだ。



 「リオ、このパン不思議な形をしているわ。」



 くるくると巻かれ、表面がツルっと輝く不思議な形のパンを見つける。



 「ああ、クロワッサンか。これは三日月をもして作られているんだって、サクサクしてて甘くて美味しいよ。この前のスコーンより甘いかな。」



 スコーンみたいに、パンにも由来があるのね。



 「三日月……。うーん、これが三日月?」



 「あははっ、確かに。はじめて見るとピンと来ないかもね。ふふふっ」



 「……ふふっ、でもどれも美味しそうで選べないわ。」



 「ふふっ、そうだね。……じゃあ、今日はわたしのおすすめを一緒に食べないかい?……他のはまた今度来た時に一緒に食べよう。」



 ピン、と何か閃いたように提案してくる。



 「!そうね、リオのおすすめ……気になるわ。」



 「ふふふっ、きっとシアも気にいるよ。」



 「おっ!決まったかい?」



 「うん、ハムとチーズの三つ編みパンを2つお願いするよ。」



 「はいよ!焼きたてだから気をつけてお食べ!デート楽しみな、あっはっは!」



 さっと注文を済ませつつ、会話を楽しんでいることから手慣れているように感じる。



 「あははっ、ありがとう!また来るよ。……さ、ゆっくり食べられるところに移動しよう。」



 ……デートって、男女が2人で私的に出かけたり、好意を抱いている相手と2人きりで会うことよね?



 やっぱり、2人で手を繋いでいたせいかしら。



 


 2人は飲食ができる開けた広場に座って食事をとることにした。



 「……うん、やっぱり出来たては美味しいね。ふふふっ、シアも食べてみて。」



 先に食べてみせたリオが見せてくれたように、熱々の三つ編みパンを一口大にちぎる。



 前に食べたスコーンとは違い、もちっとした肌触りですごく柔らかい。



 出来たてで熱々だからか、ちぎった時にとろとろとしたチーズが伸びて、より一層美味しそうに見える。



 ぱく、と口に入れる。



 「……!」



 柔らかいパン生地と、とろとろで濃厚なチーズに甘いハムの味が口に広がる。


 

 チーズがパンとハムの美味しさを引き出していて、次の一口も食べたいと思わせてくる。



 「美味しい……!」



 「あははっ、でしょ。……好き?」



 リオはにこにこと笑った後、にやりと笑っていたずらをするみたいに笑った。



 「……すき。」



 シンシアはリオの笑顔に不信感を覚えながらも正直に答える。



 「ふふふっ!三つ編みパンって、わたしみたいだよね。ほら、わたしも髪を編み込んでいるだろう?ふふっ」



 そう言って、リオは自身の胸の下あたりまで緩く結んだ三つ編みを指差した。



 「……わざと聞いたでしょ、もう!」



 リオが三つ編みをしているから、このパンがリオみたいで好きだと言ったみたいになってしまう。



 分かりづらい告白をしたみたいじゃないの。



 何か企んでるのかと思ったけど、こういう事ね。



 少し恥ずかしいけれど、やられっぱなしは好きではないわね。



 「でも、わたしは貴方の方が好きよ……リオ。」



 目を見ていうのは、やっぱり恥ずかしくて目を逸らしてしまう。



 シンシアは頬を林檎のように赤くさせながら、目を逸らして恥ずかしそうに言う。



2人の間に風が通り抜けて、シンシアの銀髪とリオの金髪が靡く。



 サーっと髪が靡いて、リオの香りもより強く感じられて、距離が近くなったように錯覚する。



 ——まるで、小説の一節のようだ



 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現の間違いがありましたらそっと教えてもらえると嬉しいです。

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