第二十夜:リオと一緒なら……どんなことをしてもうれしい、と思う。
いつも通りガチ恋距離です。
肩を並べて座り、手を繋いでいること数分。
「ねえ、今日は何をするの。」
繋いだ手はそのままに、懐きたての猫のようにシンシアがリオに尋ねた。
「ふふっ……そうだね。今日は何をしようか。……シアが望むのなら、わたしに出来ることならば何だってできるよ。」
「何でも?……うーん、例えばどんなことができるの。」
「世界中を2人で旅をするのだって、昨日みたいに一緒に食事をすることも、何だって。……あ、2人で美しい景色を見に行くことも、2人で心地良くお昼寝だって出来るよ。……シアはどんなことがしてみたい?」
シンシアはリオの言ったことを想像してみる。
月の光が差し込む幽玄な森の中、2人は水面に美しい月が映る川のほとりで、静かな景色を見上げて寄り添って話している姿。
昔、本で読んだ彩り豊かなガラスの絵があるという教会を2人で手を繋いで探索している姿。
穏やかな風が吹くお花畑で、寝転んだ2人が満点の星空を見上げて微笑み合っている姿。
どのようなシーンを想像しても、2人はにこにこと微笑み、幸せそうである。
「……リオと一緒なら、どんなことをしてもうれしい、と思う。」
「ふふっ、わたしも。シアとなら何をしても嬉しいな。……じゃあ今日は、2人でやってみたいことを一緒に考えないかい?」
「……良い考えね。……楽しそう。」
「ふふっ!そうだね、シアとなら楽しいね。……シアはさっき、何をしてる所を考えたんだい?」
「森の池のほとりで池に映る月を見たり、昔本で読んだ教会?っていうところに行ったり、お花畑で星空を眺めるシーンを想像してたの。」
先程考えた光景をひとつひとつ思い出しながら、答える。
「……わぁ、どれも素敵だね。どれもきっと楽しいだろうね。ふふっ、いいね。……想像するだけではなくて、必ず全て、本当のことにしよう。」
彼女は瞳を輝かせ、そう言った。
「本当に……?」
私がなんとなく考えたあの光景を、全て本当のことにしてくれるの?
思わず、ぱちくりと瞳を見開いてしまう。
「もちろん、ふふっ。……夢は見るものではなくて、叶えるものだからね。わたしを信じて、シア。」
彼女は、相変わらず美しい顔を柔らげて、しかし真剣な表情でこちらを見つめて、当たり前のようにそう言い切った。
「……うん。ありがとう!リオ。……貴方は、何がしたいの。」
当たり前のように言い切るものだから、もしかしたら本当に全て出来るように思えてくる。
ううん、彼女なら出来るわね。
いつかのように、彼女が好きだと言っていた言葉を口に出す。
「!……やっぱり、2人で色々な場所に行ってみたい、かな。それから、シアと手を繋いで出歩いたり、2人で楽器を弾いてみたり……まだまだ沢山あるよ。ふふっ、一生かけても足りないくらいに。」
どれもシンシアの思いつかないような内容ばかりで、彼女は指折り数えながら楽しそうに話す。
言っている途中でまた思いついたようで、本当にぽんぽんとしてみたいことが沢山出てくる。
「……本当に沢山ありそう。リオといたら、きっと毎日退屈しないわね。」
指折り数えながらキラキラと目を輝かせて話す彼女に、感心する。
「あははっ、任せて。シアと一緒なら、どんな場所でもきっと楽しいよ。……それに、シアのことはわたしがにこにこにするって、言っただろう?」
彼女は私の目をまっすぐと見つめて、まるで誓いを立てるように言った。
「……そうね。どんな場所でも、貴方と一緒なら心地良さそう。……それに、こうやってお話しするのも、悪くないわね。」
「ふふふっ、そうでしょう。そう言ってもらえて嬉しいよ。……そういう時は、楽しい、でも良いんじゃない?ふふっ」
「……いま?」
シンシアは、きょとんと首を傾ける。
「そう。出来事に対する一瞬の感情ではなくて、長く続く心地良さは、楽しいって言うんだよ。ふふっ……シア、私と話すの心地良いって言っただろう?わたしもシアと話すのは心地良くて、楽しいよ。」
確かに、リオとお話しするのは心地良くて、悪い気持ちがしない。
彼女と話していると心地良くて、ぽわぽわする。
たのしい、この気持ちにピッタリな言葉だ。
「……そうなのね、同じ気持ち。」
今度は彼女がきょとん、とする番だった。
「……同じ?」
「……ええ。リオと同じ気持ち、たのしい。」
「!……あははっ、かわいい。……同じ、だね。ふふふっ」
数秒経った頃、彼女は何かに閃いたように笑った。
2人はその日、手を繋いだまま、2人でやってみたいことを語り合った。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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