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とこしえの2人  作者: 雪月
第二章
19/33

第十九夜:わたしも、会いたかったよ。……シア

段々距離感がバグっていってるんですが笑笑



  彼女は林檎を食べて、少し話してからいつも通り姿を消した。



 「スコーン……初めて食べたわ、誰かと食事をしたのだって。」



 寝室の窓から身を乗りあげ、月を眺めるシンシアは、今日の出来事を思い出していた。


 

 今日も、胸がぽわぽわして心地良い感じがした。



 うれしい、という気持ち。



 うれしい気持ちだと、美味しい食事がさらに美味しく感じる。



 レイリアは好きな人と一緒だと、嬉しくて楽しいという気持ちになると言っていた。



 彼女といるのは、嬉しいと思う。



 だからきっと、私は彼女のことが好きなのね。



 だって、レイリアがそう言っていたもの。



 「レイリア、貴方の言っていたことがやっと分かったわ。……レイリアとオリアナとも、この気持ちを味わうことが出来たら良かったのに。」



 夢の中の私は、いつかレイリアやオリアナとこの気持ちを分かち合うことが出来ると思っていた。



 「……レイリアも、いつか私と食事する日を心待ちにしてくれていたのかしら。……はぁ、考えても仕方のないことよね。」



 レイリアはこの日が訪れることを分かっていたのだろうか。



 頬杖をつき、いつ見ても美しく輝く月を見つめながら、レイリアと過ごした日々を想起する。



 いくら考えたってレイリアもオリアナも帰ってはこない。



 2人を思い出して涙を流しては、またリオが魔法で姿を現してしまうかもしれない。



 お昼に会ったばかりなのに、もう一度会うことになってしまったら、いくら何でも早すぎる再会だわ。



 「明日はお昼と夜、どちらに来るのかしら。」

 


 そう考えたシンシアは、今日はもう休むことにした。





 


 「お嬢様……本当に、良かった。」



 いつも通り、レイリアとオリアナを探す冷たくて暗い夢の中。



 疲れ果てて、呼吸もままならずに意識を飛ばしそうになった時、レイリアの声が聞こえた気がした。



 「……はぁ、はぁ……最後のは……レイリア?」



 目に入るのは、伸ばした自分の手の平。



 何も変わらない、いつもの目覚め。


 

 けれど、いつもと違う夢の最後をシンシアは覚えている。



 「どうして変わったのかしら……。」



 相変わらず、眠った気がしないような気怠さがして良い気分はしないけれど、身嗜みを整えなければ。



 


 身嗜みを整えて、毎日の日課である裏庭の散歩も終わらせ、一息ついた頃。



 「今日はいつ現れるのかしら。」


 

 「わたしのこと?ふふっ……こんにちは、シア。」



 ふとリオのことを考えた時、音もなく彼女が現れた。



 「……驚いたわ、急に現れるのはやめて。……そうかもね。」



 予想だにしていなかった登場に心臓が激しく跳ねて、身体が震えてしまった。



 現れた彼女は、今日もにこにこと微笑み、華やかな顔に爽やかな香りを纏っている。



 「あははっ、ごめんね。明日から気をつけるよ。……会いたかった?」


 

 「……分からない。でも、貴方との時間は心地良く感じるわ。ふふっ。」



 「ふふっ……シア、かわいい。……じゃあ、わたしのこと考えてくれた?」



 リオは蕩けるように目を細め、シンシアの銀髪を大切なものに触れるように優しく、そっと撫でた。



 「……うん、たった今考えていたところよ。」



 目を逸らしながら、答える。



 「そう。……何て考えていたんだい?」



 頭を撫でる手は止まらず、ゆっくりと優しく撫で続けながら質問される。



 「今日はいつ現れるのかしらって考えていたの。」



 今度は目を逸らさずに、けれど少し声を小さくして答えた。



 「ふふっ、あははっ。そう、そう思ってくれたんだね。……シア、わたしに会いたいって思ってくれたんだ。……ふふっ、うれしいな。」



 「私はただ、いつ現れるか疑問に思っただけじゃない。……どうしてそう思うの。」



 シンシアの言葉を静かに聞いていたリオは、目尻に涙を浮かべて笑って、殊更優しい表情で喜んだ。



 「ここに居ないわたしのことを思い出して、次はいつ来るのかって考えてくれたんだろう?……次のことを考えるのは、その時間を繰り返したいと願っているということだからね。ふふっ」



 「……そう。なら……会いたかった、リオ。」



 「わたしも、会いたかったよ。……シア。ふふっ」



 2人は見つめ合ってそう言った。



 「シア、手を繋いでもいいかい?」



 初めて会った時のように、手のひらをこちらに差し出している。



 「……これでいいの。」



 差し出された手の平に、そっと手を乗せて、握ってみる。



 「うん、ありがとう。ふふっ」



 彼女は心底嬉しそうに笑い、2人の間にはいつもの通り心地よい静寂が訪れる。



 もちろん、手は繋いだまま。


 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現の間違いなどがありましたらそっと教えてもらえるとうれしいです。

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