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とこしえの2人  作者: 雪月
第二章
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第十六夜:こんがりした焼き色のスコーン

スコーンを食べたことはないので、味わいなど少し違うかも知れません。

絶対にお昼時にあげようと思って書き上げました笑笑



  「今日は昼食というより、軽食を持って来たんだ。……シア、お昼はもう食べたかい?」



 「いいえ、これから取ろうと考えていたところよ。」



 「今日は軽食を選んだから、少し物足りないかも知れないね。」

 


 シンシアに悟られぬように、リオは自分の考えが裏目に出てしまったことに肩を落とす。



 「……どうかしら。あまり食事を多く食べる方では無いと思うわ。……だから案外、ちょうどいいかも知れないわね。」



 小さな顎に雪のように白い指を添えて、数秒目を彷徨わせてから、シンシアは静かに答えた。



 「ふふっ、そっか。それならホッとしたよ。……物足りなかったらその時はその時に考えればいいしね。」


 

 シアが思わぬフォローをしてくれたことで、リオはそっと胸を撫で下ろす。



 他愛もない言葉のはずなのに、歩み寄ってくれているように感じてしまう。



 ……シアも、わたしと食事するのを望んでくれているのだろうか。



 シアの言葉に胸を躍らせたリオは、無意識に強張らせていた顔がほぐれて行くのを自覚する。

 


 そして、今度はシアと共に食事をできることに期待を膨らませた。


 

 彼女との食事に想いを馳せると、自然と笑い声が溢れ出た。





 

 裏庭には昼食をとれるガーデンテーブルは置いていない。



 ——机と椅子を用意するわ



 シンシアがそう言いかけた時。 


 

 白を基調とした蔦が絡まり合うようなデザインの脚部に、バラや百合を彷彿させる机や椅子が目の前に現れた。



 白いレースのひらひらとしたテーブルクロスに、見慣れない食事とジャムにクリーム、それから紅茶が並べられて鎮座している。



 いつも姿を表す時と同じように、パッと魔法で全てを用意してくれたようだ。



 「さ、準備できたよ。ふふっ、今日はスコーンを用意したんだ。」



 「……机も椅子も準備してくれたのね。……スコーン……。」



 スコーン、と呼ばれたものをじっと観察してみる。



 表面はこんがりとしたきつね色、少し高さのある丸み。中心が割れていて、少し粉っぽい見た目をしている。



 「見てて、スコーンはこうやって食べるんだよ。」



 リオはスコーンを手に取り、裂けている中心を横半分に割って見せた。



 次にバターナイフを手に取り、クリームを大胆に、たっぷりと塊でスコーンに乗せた。



 焼きたてのスコーンの熱で、クリームがじゅわっと溶けかけたころ、今度はジャムをとり、クリームの上に乗せた。




 「……いただきます、ふふっ」



 リオはしたり顔で、ちらりとシンシアを見つめ、微笑んだ。



 そしてクリームとジャムを乗せたスコーンを口に運んで、ガブリとかぶりつく。



 そのあとすぐに紅茶を流し込む。



 リオはしっかりとよく味わってから、ごっくんと飲み込んだ。


 

 紅茶の鼻から抜ける香りを堪能してから、喋りかける。



 「こうやって食べるんだ。驚いたかい?」



 「ええ、紅茶と一緒に味わうものなの?」

 


 「そう、理由は食べてみたらわかるよ。あははっ」




 「さ、やってみて。スコーンは温かいから気をつけて。」



 こんがりとした焼き色のスコーンにゆっくりと指を伸ばし、触れてみる。



 表面はザラっとしていて、たしかに少し熱く感じる。



 確かリオは真ん中の裂けている部分から2つに分けていたはず。


 

 真ん中に指を添えて、少し力を入れてみると、カリッとした表面とは裏腹にふんわりとした感触がする。



 そのまま2つに割れて行く。



 「そうそう、次はクリームだね。クリームは遠慮せずに塊で乗せるのがポイントなんだ。……さっきのわたしと同じくらい乗せてみて。」



 バターナイフでスコーンが見えなくなりそうなほどの量を掬う。



 そして、熱いスコーンの上に重ねた。



 「うんうん。いい感じだね。じゃあ次は、スコーンの熱でクリームが溶け出すのを待ってから、クリームと同じくらいの量のジャムを乗せるんだ。」




 5秒ほど待っていると、クリームが少し溶けてとろりとした質感になってきた。



 ジャムとクリームを落とさないように注意しながら、そっと苺ジャムをクリームの上に乗せる。



 「うん、上手だね。……ふふっ。さぁ、召し上がれ。」



 「……いただきます。」



 溶け出すクリームと苺ジャム、そしてスコーンのほろほろとした感触が口の中に広がる。



 すかさずリオが用意してくれたストレートティーを口に含む。



 スコーンの甘さ控えめで乾燥した舌触りと、クリームのこっくりとした味。さらに苺ジャムのさっぱりとした甘みに、ストレートティーの渋みと香りが混ざっていく。



 濃厚で口に残るクリームも、乾燥したスコーンで乾く口内も、紅茶のさっぱりとした味わいが双方の甘さを引き立て、食べやすく、より美味しく感じさせている。



 そして最後に、鼻から抜けて行く紅茶の本来の茶葉の華やかな香りと渋みが、余韻として華やかな香りを残す。



 「……ふぅ。確かに、これは紅茶とでないと方が乾いてしまうわね、それに紅茶と味わった方がクリームやジャムの良さを引き立てるわね。……良い味ね。」



 彼女が一緒に味わうと言った理由がよく分かる。



 一口スコーンを口に入れた時より格段にきっちりと味が噛み合わさって、五感で楽しむことが出来る。



 「ふふっ……そうでしょ?」



 「ええ……ふふっ」



 「スコーンを食べるのは初めてよ。……こんなに美味しいのね。」




 「……うん!」



 それから2人は、チェリーブロッサムが咲き乱れる荘厳な庭で、昼食とティータイムを楽しんだ。

 


 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

誤字脱字、表現の間違いがありましたらそっと教えて貰えると助かります。

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