第十五夜:もしそれが本当ならば、一度味わってみたいものね
シンシアの食事事情が明らかになります笑
自分の語彙力が足りず、思ったよりも苦戦しました。
シンシアの屋敷があるオリンピュイア森林には、鹿や熊、そして夜行性生物である梟やミミズク、蝙蝠が生息している。
彼らはいつもシンシアの元にベリーや林檎などの果物や、この森に咲く花を届けてくれる。
この森には太陽の光が届かない。
故に森は幽玄な空気を放ち、近寄り難い。
動物たちが水浴びや口を潤す川や池の周りには、美しく光を放つ花や木の実が群生し、まるで月が水面に映っている景色を連想させる。
森の至る所に美しい輝きを放つ植物が自生し、辺りを朧げに照らしている。
静かに冷たい美しさを放つ神秘的な森こそ、シンシアの住む屋敷があるオリンピュイア森林である。
「好きな人と一緒に食べるから美味しい」……ね。
「本当に私にも訪れるのかしら……?……彼女は、私と共に食べてくれるかしら。」
森の生き物たちが届けてくれた林檎を食す途中、そんなことが口をついて出た。
一口大に小さく魔法で切り分けた林檎を口に含む。
艶のある深紅の皮、水々しく輝きを放つ中の白い果実、生命力を感じさせる美しさ。
口に入れた瞬間、しっかりと熟された冷たい林檎の甘みが広がる。
一口噛むだけで甘い果汁が口の中を満たし、シャクシャクと噛む度にさらに甘みが深まっていく。
「……美味しい。」
この森の果物はいつ食べても美味しい。もう長いこと森の動物たちが届けてくれた果物を食べているが、いつまでも飽きる気はしない。
1人で食べていてもこんなに美味しいと思うのに、2人で食べるとさらに美味しくなると言うのは本当なのだろうか。
俄かに信じがたい。
もしそれが本当ならば、一度味わってみたいものね。
身支度を終えて朝食を済ませたシンシアは、毎日の日課である屋敷の庭の散歩をする。
シンシアの住む美しい大きな屋敷は、その大きさに恥じない広大な庭がある。
屋敷の庭は、咲く季節や花の雰囲気に合わせて植えられている場所が違い、一年中庭のどこかで花が咲き誇っている。
春は2人がいた頃によく見たチェリーブロッサムの咲く場所を散歩するのがシンシアの日常だ。
チェリーブロッサムの木は種類があり、花弁の色の濃さや、花弁の形状、それから木自体の形も異なる。
同じチェリーブロッサムといえど、異なる種類の木々が一斉に咲き乱れる様子はそれはもう唯一無二の光景と言っても過言ではない。
淡い紅色や白、時に淡い紫の花弁が一斉に咲き誇り、少しずつ散って行く。
白はレイリアの髪を、薄い紫は彼女の瞳を思い出すこともあって、シンシアはこのチェリーブロッサムが咲く裏庭を気に入っていた。
毎日この景色を朝からなんとなく眺めるのがシンシアの日課だった。
「……わぁ……すごく綺麗だね、ここ。」
自分1人しかいないはずの裏庭に、胸の下くらいまで大きく編み込んだ金髪をたなびかせ、新緑のような瞳をしたとても美しい彼女が突如現れた。
「!、リオ?」
「ふふっ……こんにちは、シア。会いに来たよ、びっくりした?」
「……ええ。驚いたわ、夜に現れると思っていたから。」
「あははっ、今日は一緒に昼食を食べたくて来たんだ!そしたら驚いたよ、こんなに綺麗な景色があったなんて……!」
「一緒に、昼食を?」
「そう。美味しい昼食を持って来たから、一緒に食べないかい?ここで。」
いつものようにパッと現れた彼女は、にこにこと屈託のない満面の笑みで、そう口にした。
思いがけない提案に、また胸がぽわぽわする。
ちょうど今朝、彼女と食すご飯はどれほど美味しいのか考えていたシンシアは、チェリーブロッサムが咲き乱れる裏庭で、彼女と昼食を取ることにした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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