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【完結】なぜか悪役令嬢の私が守られている!?  作者: しのギドラ
4部

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29話 一緒のベッドで過ごす夜

 伸ばされた指先が、私の頬を優しく撫でる。

 その紅玉の瞳には嘘偽りのない柔らかな熱が宿っており、彼の言葉の真実味を物語っていた。


「……分かったわ。あなたを信じる」


「それは良かった。さあ、それじゃあ一緒に寝ようか」


「う……っ。やっぱり同じベッドじゃなきゃダメ……? 本当に私、ソファでも熟睡できる自信があるんだけど……」


「往生際が悪いね、ジゼル。……仕方ないな」


 彼の手が肩から背中へと落ちたかと思うと、一瞬の浮遊感とともに体がフワリと宙に浮いた。


「ちょ、フェイラン!?」


 横抱きの姿勢のまま、私の抗議の声を無視してフェイランはベッドサイドへ歩みを進める。

 私をふんわりとベッドの上に横たえると、隙のない動作で自身もその隣へと滑り込んできた。


「はい、これでもう逃げられないよ。大人しく俺の腕の中で寝ようね」


「ひう……っ!」


 フェイランは私に温かい毛布をかけてくれながら、すぐ隣で紺色の髪をシーツの上に散らした。

 信頼しているとはいえ、間近に存在する彼の熱気に、心臓がうるさいほどドクドクと胸を叩く。

 美しく揺れる紅玉の瞳は私だけを捕らえ、月明かりを反射して濡れたような光を放っていた。


「おやすみ、ジゼル。明日目覚めた瞬間、一番に君の顔が見られると思うと……今から寝るのが楽しみで仕方がないよ」


「は、はい……」


 なぜ彼は、好きな人がすぐ隣で横になっているというのに、これほど余裕たっぷりでいられるのだろう。

 緊張で張り詰めすぎていた心が、あまりの理不尽さにだんだんと怒りへと変わっていく。


「……ずるいわ、フェイラン」


「え? 何がだい?」


「私ばかりドキドキさせられて、フェイランはいつも通り落ち着いているじゃない! こんなの全然不公平だわ……!」


「……ふふ、君には俺がそう見えているんだね」


 フェイランはシーツの上に置かれていた私の手を優しくすくい上げると、そのままガウンの隙間からはだけた胸元へと直接押し当てた。


「ちょ……っ!?」


 彼のなめらかな肌と、硬く引き締まった筋肉を、その手で感じ取った直後、私の全身が勢いよく沸騰した。


「俺だって緊張しているよ。こんなに無防備なジゼルがすぐ隣にいるんだから。……触れれば分かるだろう?」


「……わ、分からないわよ! 心臓の音も、あなたの緊張も……っ!」


「そっか。困ったな……もうこれ以上、君に俺の心音を伝える方法がないよ」


 依然として余裕を崩さず、優然と微笑んでみせるフェイラン。

 やはり、私のようにパニックになっているようにはどうしても見えない。


(こうなったら……!)


 私はつかまれていた手を彼の手の甲に回し、そのまま指先を強く絡め合わせた。

 そしてグッと力任せに彼を引き寄せながら、自らも一気にその顔へと接近する。


「……ジゼ……っ」


 驚きに目を見開いた彼の唇を、私の唇でそのまま塞いだ。

 不意打ちのキス。

 合わさった唇から、今まで感じたことのない彼の熱と、かすかな震えが伝わってくる。


「……こ、これでフェイランも、少しはドキドキしてくれた……!?」


 そっと唇を離しながら、私は頬を熱くしながらフェイランを見上げた。

 彼はきょとんとした表情で私を見つめ、珍しく言葉を失って呆然としている。


「……やっぱり、今すぐ襲ってもいいかな?」


「ダ、ダメに決まってるでしょ! ほら、もう寝るわよ!」


 真っ赤になった顔を誤魔化し、まったく落ち着かない鼓動を抱えながら、私は目をぎゅっとつむった。

 すると、まぶたの向こうから、彼の愛おしそうな笑い声が聞こえてくる。


「ジゼル。……やっぱり君は、俺の闇を照らす光だよ」

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【代表作】→「悪役令嬢は全員生存エンドを目指す」
◆累計ページビュー44,000pv超え感謝◆

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あらすじ→「全員生き残るか、一人残らず死ぬか」その二択しかない極限の乙女ゲーム。
前世の記憶を取り戻したルナリアは、自分が"全滅エンド"を招く悪役令嬢だと知る。
導き出した答えは、誰とも関わらず、孤独に生きること。
そう誓った矢先に出会ってしまったのは、攻略対象——公爵令息のグレン。
父の虐待を見抜き、どんなに突き放しても離れない彼に、距離を取ろうとするほど執着されていく。
やがて暴かれる、最初から大切な人を"殺す力"を宿していたという残酷な真実。
それでも彼は、皆の前で誓った。
「生涯をかけて君を幸せにする」と。
虐げられた令嬢×公爵令息。
作品ページはこちら→「悪役令嬢は全員生存エンドを目指す」
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