↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第八話 僕は、殺される。いや……僕自身が殺した。

⬛︎…それは、⬛︎が⬛︎り、⬛︎が⬛︎となる。

誰でも⬛︎になれる。

⬛︎の問題ではない。

誰しもが⬛︎の⬛︎を持っている。

それが⬛︎⬛︎⬛︎を背負いながら⬛︎しむ者⬛︎も。

そ⬛︎がどんなに⬛︎を⬛︎した⬛︎でも。

⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎は、⬛︎である。


【190年11月20日】

【第三十二柱・名誉の国:愛官(あいかん)児院(いいん)教育学(きょういくがく)】


 僕は、目を覚ました…。周囲を見渡すと、僕と同い年に見える人が、僕を見続けていた。



「うわ!。起きた。気持ちわるーい。」


「混血がこっち見てるよ、皆んな。うげー。」


「皆んな早く朝ごはん行こ。あいつの分とか俺らで食べようぜ。」



 同年代の見知らぬ子供達は、僕を嫌悪しながら、朝食に行ったみたいだ…。ここは、どこだ…。あれは…夢?か…。

 いい匂い鼻を伝って来た…。この匂いは、ベーコンとチーズだな。もう一度辺りを見渡す。


 見覚えがある内部構造だ。双燈院によく似ている。一つ違いがあるとすれば、窓の奥に映る風景だろうか。以前なら、そこに木が沢山あった。


 だが今は、壁で風景が遮られている。もしかしたら、あの者達に連れ攫われたのか…。ならこれは…夢ではない。



 床から立ち上がり、僕は匂いのする方…子供達が向かった方向に歩く。階段を下ると、食器にフォークが擦れる音がキリキリと聞こえてくる。


 テーブルには、朝食を摂る子供達。僕の席だと思うテーブルには、食器がカラだった…。何一つない。食べられていた。


 僕は、朝食を諦めて部屋に戻る。昨日の出来事を整理したい。未だに…目の前で起きている感覚が走るんだ。僕は、これからどうしたらいい。誰一人として、頼れる人がいない…。


 何もかも失った。意識していないのに手先が震えてしまう…。


 一人で考え事をしていたら、子供達の朝食は、終わったようだ。その子供達は、なぜか僕を嫌っている。数々の侮辱を浴びさられ、悪口を言われた。


 そしてついには、僕の体に、本気の暴力を浴びせた。正義ごっこなどと、くだらない遊びが始まったんだ。


 右腕、背中、胸、腹に青い痣が数ヶ所にもでき、に何も抵抗ができなかった。僕は玩具のように扱われたんだ。


 うずくまる僕を見て、子供達は、深い嫌悪と視線で僕を見つめた。


 ついには、横になり涙を流していた。お腹を殴られると息ができない…。呼吸がまとまらない…。これは死ぬのか?嫌だ…。死にたくない…。


 僕が、苦しそうにしているのに、子供達は、笑っていた。あまりにも残酷な仕打ちで、泣くことしかできなかった…。


 飲む水を取り上げられて僕に浴びせてくる。次の日も次の日も、誰かが笑っている声だけが聞こえた。


 そして、大人達は、そんな僕を見て無関心だった。




【190年12月25日】


 子供達のクリスマスがやって来た。

 皆んな欲しかったプレゼントを貰っている。だが、貰うはずの子供は、プレゼントなんて貰えなかった。子供達は、プレゼントを自慢し合い、一緒に遊んでいた。


 鮮やかなプレゼントは、色がたくさんあった。幸せ色は、名もない子にまで届き恋しさを抱かせる。幸せ顔の子供達は、こうも名もない子の気持ちを踏み躙る。


 名もない子なんて、空気同然だ。端っこだけにいて、子供達が遊びたい時に虐めをするのが、日常なんだ。それ以上でも、それ以下でもない。いつも貰えたクリスマスプレゼントは、何一つ無ない。


 何もない。

 自分の存在を否定するかのように。


 存在を否定される事は、1番傷ついたんだろうね。

 夜なんて目が腫れるぐらいに泣いてるよ。いつも陰で泣いてるよ。誰にも見られないように、必死に隠してる。見られたら気持ち悪いと言われるから。彼が泣いても、誰も気にしない。


 あの日常が恋しくても、もう戻らない。全てを壊された。彼が酷く傷ついてるのに、他の者は幸せだった。邪魔者扱いが、彼に接する最低限の人の接し方は、子供の残虐性が垣間見れた。


 小さい頃から育つ教えは、こうも人を冷酷にする。それが、当然の世界で生きる人達…植え付けられた心は、もう一度、根を張るように作り直す事はできない。やり直しが不可能な心達。


 ならば誰がその心を救ってしんぜようか。

 それ同然だった世界に干渉し、間違いを指摘しても、世界を揺るがさえも変えることもできない。世界を壊すことは、その人生の認識を殺すこと…そこまでして壊す義務はあるのだろうか。


 世界には色んな世界がある。

 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎―

 ―⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。


 そんな世界の中で、一人一人が生きていき、内なる世界は、外なる世界へと創造される。全ての始まりは罪から始まり、自殺で終わる。罪がなければ世界は、作られない。誰しもが罪の種を持っており、誰も自身が持つ種を理解しない。


 花開いた罪達は、――おっと……これは、この物(・)語(・)で語られない話だね。ここは、[人の在り方]だ。少し語り過ぎたようだ。


 こんにちは、私の名前は⬛︎⬛︎。

 十字架を背負った…たった一人の親友を裏切った者だ。

 話が逸れてしまったね…。

 この子の物語にもどろうか。




【???】


 痛み…この痛みは、いつ消えるだろうか。


 飢え…この空腹は、いつ消えるだろうか。


 視線…この視線は、いつ消えるだろうか。


 全てが、僕を蝕む。

 皮膚上の痣からくる痛み、空腹からくる腹部の痛み、視線が存在を否定する痛み…。


 嗚呼…いつ終わるか分からない苦痛と絶望。

 ただ、耐えることしかできない。


 僕は、楽になりたい…誰かが、楽にしてほしい…。

 誰か………………………………………。


 誰も応えてくれなかった。

 ならば…誰が応えてくれる?

 でも、何(・)か(・)が応えようと影だけは、動いていた…。

 この影は、僕のように何かを求めている。

 隅で見つからないよに隠れる影は、不気味で何をしたいのか分からなかった。

 でも、不思議に分かる気がする。

 殻を破って産まれたいんだよね。

 でも、そんな殻を破っても…何も変わらないよ。

 ここは…そんな場所だから。

 6個の卵は、それでも産まれたがっていた。




【???】


 色のない世界で生きている。


 灰色のどんよりとした日常が、視線を伝わり自分を迎え入れた。


 黒一色の苦痛が、胃の中をドロドロと昇っていく。口から吐き出た苦痛が、時間の進みを遅く感じさせ、麻痺させる。


 よりじっくりとメインディッシュを味わって欲しそうに…。


 苦痛のシェフは、苦しむ自分に親切に提供してくれるんだ。


 されど、メインディッシュは終わらない。


 永遠に美味しいご馳走が、腹の中で作られたから。


 そしてこの苦痛は、ウロボロスのように、循環する。


 巨大な蛇は、空腹を埋めるために自身の尾を食べている。


 自我が崩壊していくのを感じながら、その蛇の背中を永遠に歩む。


 この先の終着点は、新しい自分が待っている。


 何度も何度も頭を周回しても、終わりなど無かった。

 これが終わりだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!。


少しでも面白い!続きが読みたい!と思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!皆様からの応援が、執筆の大きな励みになります。

これからも【名もない赤子】をよろしくお願いいたします!。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。