第八話 僕は、殺される。いや……僕自身が殺した。
⬛︎…それは、⬛︎が⬛︎り、⬛︎が⬛︎となる。
誰でも⬛︎になれる。
⬛︎の問題ではない。
誰しもが⬛︎の⬛︎を持っている。
それが⬛︎⬛︎⬛︎を背負いながら⬛︎しむ者⬛︎も。
そ⬛︎がどんなに⬛︎を⬛︎した⬛︎でも。
⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎は、⬛︎である。
【190年11月20日】
【第三十二柱・名誉の国:愛官児院教育学】
僕は、目を覚ました…。周囲を見渡すと、僕と同い年に見える人が、僕を見続けていた。
「うわ!。起きた。気持ちわるーい。」
「混血がこっち見てるよ、皆んな。うげー。」
「皆んな早く朝ごはん行こ。あいつの分とか俺らで食べようぜ。」
同年代の見知らぬ子供達は、僕を嫌悪しながら、朝食に行ったみたいだ…。ここは、どこだ…。あれは…夢?か…。
いい匂い鼻を伝って来た…。この匂いは、ベーコンとチーズだな。もう一度辺りを見渡す。
見覚えがある内部構造だ。双燈院によく似ている。一つ違いがあるとすれば、窓の奥に映る風景だろうか。以前なら、そこに木が沢山あった。
だが今は、壁で風景が遮られている。もしかしたら、あの者達に連れ攫われたのか…。ならこれは…夢ではない。
床から立ち上がり、僕は匂いのする方…子供達が向かった方向に歩く。階段を下ると、食器にフォークが擦れる音がキリキリと聞こえてくる。
テーブルには、朝食を摂る子供達。僕の席だと思うテーブルには、食器がカラだった…。何一つない。食べられていた。
僕は、朝食を諦めて部屋に戻る。昨日の出来事を整理したい。未だに…目の前で起きている感覚が走るんだ。僕は、これからどうしたらいい。誰一人として、頼れる人がいない…。
何もかも失った。意識していないのに手先が震えてしまう…。
一人で考え事をしていたら、子供達の朝食は、終わったようだ。その子供達は、なぜか僕を嫌っている。数々の侮辱を浴びさられ、悪口を言われた。
そしてついには、僕の体に、本気の暴力を浴びせた。正義ごっこなどと、くだらない遊びが始まったんだ。
右腕、背中、胸、腹に青い痣が数ヶ所にもでき、に何も抵抗ができなかった。僕は玩具のように扱われたんだ。
うずくまる僕を見て、子供達は、深い嫌悪と視線で僕を見つめた。
ついには、横になり涙を流していた。お腹を殴られると息ができない…。呼吸がまとまらない…。これは死ぬのか?嫌だ…。死にたくない…。
僕が、苦しそうにしているのに、子供達は、笑っていた。あまりにも残酷な仕打ちで、泣くことしかできなかった…。
飲む水を取り上げられて僕に浴びせてくる。次の日も次の日も、誰かが笑っている声だけが聞こえた。
そして、大人達は、そんな僕を見て無関心だった。
【190年12月25日】
子供達のクリスマスがやって来た。
皆んな欲しかったプレゼントを貰っている。だが、貰うはずの子供は、プレゼントなんて貰えなかった。子供達は、プレゼントを自慢し合い、一緒に遊んでいた。
鮮やかなプレゼントは、色がたくさんあった。幸せ色は、名もない子にまで届き恋しさを抱かせる。幸せ顔の子供達は、こうも名もない子の気持ちを踏み躙る。
名もない子なんて、空気同然だ。端っこだけにいて、子供達が遊びたい時に虐めをするのが、日常なんだ。それ以上でも、それ以下でもない。いつも貰えたクリスマスプレゼントは、何一つ無ない。
何もない。
自分の存在を否定するかのように。
存在を否定される事は、1番傷ついたんだろうね。
夜なんて目が腫れるぐらいに泣いてるよ。いつも陰で泣いてるよ。誰にも見られないように、必死に隠してる。見られたら気持ち悪いと言われるから。彼が泣いても、誰も気にしない。
あの日常が恋しくても、もう戻らない。全てを壊された。彼が酷く傷ついてるのに、他の者は幸せだった。邪魔者扱いが、彼に接する最低限の人の接し方は、子供の残虐性が垣間見れた。
小さい頃から育つ教えは、こうも人を冷酷にする。それが、当然の世界で生きる人達…植え付けられた心は、もう一度、根を張るように作り直す事はできない。やり直しが不可能な心達。
ならば誰がその心を救ってしんぜようか。
それ同然だった世界に干渉し、間違いを指摘しても、世界を揺るがさえも変えることもできない。世界を壊すことは、その人生の認識を殺すこと…そこまでして壊す義務はあるのだろうか。
世界には色んな世界がある。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎―
―⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。
そんな世界の中で、一人一人が生きていき、内なる世界は、外なる世界へと創造される。全ての始まりは罪から始まり、自殺で終わる。罪がなければ世界は、作られない。誰しもが罪の種を持っており、誰も自身が持つ種を理解しない。
花開いた罪達は、――おっと……これは、この物語で語られない話だね。ここは、[人の在り方]だ。少し語り過ぎたようだ。
こんにちは、私の名前は⬛︎⬛︎。
十字架を背負った…たった一人の親友を裏切った者だ。
話が逸れてしまったね…。
この子の物語にもどろうか。
【???】
痛み…この痛みは、いつ消えるだろうか。
飢え…この空腹は、いつ消えるだろうか。
視線…この視線は、いつ消えるだろうか。
全てが、僕を蝕む。
皮膚上の痣からくる痛み、空腹からくる腹部の痛み、視線が存在を否定する痛み…。
嗚呼…いつ終わるか分からない苦痛と絶望。
ただ、耐えることしかできない。
僕は、楽になりたい…誰かが、楽にしてほしい…。
誰か………………………………………。
誰も応えてくれなかった。
ならば…誰が応えてくれる?
でも、何かが応えようと影だけは、動いていた…。
この影は、僕のように何かを求めている。
隅で見つからないよに隠れる影は、不気味で何をしたいのか分からなかった。
でも、不思議に分かる気がする。
殻を破って産まれたいんだよね。
でも、そんな殻を破っても…何も変わらないよ。
ここは…そんな場所だから。
6個の卵は、それでも産まれたがっていた。
【???】
色のない世界で生きている。
灰色のどんよりとした日常が、視線を伝わり自分を迎え入れた。
黒一色の苦痛が、胃の中をドロドロと昇っていく。口から吐き出た苦痛が、時間の進みを遅く感じさせ、麻痺させる。
よりじっくりとメインディッシュを味わって欲しそうに…。
苦痛のシェフは、苦しむ自分に親切に提供してくれるんだ。
されど、メインディッシュは終わらない。
永遠に美味しいご馳走が、腹の中で作られたから。
そしてこの苦痛は、ウロボロスのように、循環する。
巨大な蛇は、空腹を埋めるために自身の尾を食べている。
自我が崩壊していくのを感じながら、その蛇の背中を永遠に歩む。
この先の終着点は、新しい自分が待っている。
何度も何度も頭を周回しても、終わりなど無かった。
これが終わりだった。
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これからも【名もない赤子】をよろしくお願いいたします!。




