第四話 僕は、日常を知る。
この⬛︎⬛︎は、⬛︎⬛︎と⬛︎ばれる⬛︎⬛︎であった。
だれが、この⬛︎⬛︎など⬛︎り⬛︎したのだろうか。
⬛︎⬛︎は、⬛︎い⬛︎の⬛︎で、⬛︎も⬛︎まることなく、⬛︎んでいく。
この⬛︎⬛︎において⬛︎きる⬛︎⬛︎などあるのだろうか。
⬛︎⬛︎は、それでも、⬛︎⬛︎の⬛︎い⬛︎⬛︎で、⬛︎きる⬛︎⬛︎を⬛︎いてくれた。
【189年2月10日】
新しい育神官が来た。
「初めまして。私の名前はナタリーニ・ナーシャと申します。ナーシャとお呼びください。ジャン=マルクは、用事があり不在だったため、代わりとして来ました。主様よ、どうかよろしくお願いします。」
その育神官は、人間で、20代後半ぐらいの見た目の女性だ。ややふっくらとした体型で、細身ではなく、柔らかそうである。女性らしい豊かな体つきだ。髪は、肩甲骨あたりまでの長さで、光沢になるほど鮮やかな銀髪だった。仕事中に邪魔にならないように三つ編みをしている。目は、鮮やかに青く細目だ。知的で落ち着いた雰囲気。笑うと親しみやすそうな人柄になる。革製の黒いブーツを履いている。腰には鍵束と革製のノートにペン。胸元には小さく丸い眼鏡を付けている。名もない子にとって聞き覚えのある声だった。
「だれぇ?。」
「そう困惑されるのは、無理もありません。長い間もジャンさんに会えなくて寂しかったのですよね。もう大丈夫です。私がいれば、寂しい思いは、起きません!。」
ナーシャが手を差し伸べると、名もない子は、避ける。怖かったのだろうか。あれから、名もない子にとって、司書には見つかってはいけない人認定にされている。
「あら………ちょっと時間が必要そうですね…。」
「マムキャンディ要りますか?主様のために沢山持って来ましたよ。」
大きな声で、名もない子の大好物を言った。名もない子は、それを聞きつけて、壁の端から、ひょっこり顔をだす。ナーシャは、勝利を確信し、子供相手に、大量のキャンディを見せつけて誘惑した。こっちに来いと言わんばかりに。
「ほ〜ら。主様の大好きなキャンディですよー。」
名もない子は、葛藤していたが、………誘惑に負けた。
ナーシャの隣でマムキャンディを手にいっぱい掴み、それを口いっぱいに頬張った。
「あっ。駄目です!!!そんなに口一杯に入れたら、喉に詰まって死んでしまいますよ!。早く口からぺっしてください!!。」
ナーシャは、焦りながら、名もない子の後頭部を平手で叩いた。口の中にあったキャンディがボロボロと出てくる。
「痛ぁい…。」
涙目でナーシャを訴えるかのように見ていた。
「あ…ごめんなさい。主様のために…つい。で、でも主様も悪いんですよ?あんな詰まりやすそうな食べ物を欲張って食べるからです。」
「でもでも、あんなに見せられたら、食べちゃう。」
「全部は食べていいですけど、順序って物がありますよ。食べ物は、入れる分だけ食べんるんじゃなくて、一つ一つ味わいながら食べるんですよ。」
「貪欲だった?…。」
「はい??……貪欲ではありませんよ。ただ、欲張ってただけです。欲張って死ぬ事は本末転倒ですが…。」
「自分を責めないでください。間違いなど誰にでも起こるものです。これは人生における教訓です。」
「これから、味わって食べるね。」
「そうです。その意気込みです。流石は主様。」
「そろそろ夕食の時間ですね。それに野菜は食べてくださいよ?野菜を食べないと歯が抜け落ちてしまいます。」
「やだやだ。野菜食べる!。」
「偉いですね。ささ、行きましょ。」
ナーシャは、名もない子の頭を撫でて、ダイニングに向かった。
今回の夕食は、マンブリーノのチーズ焼き、クロワッサンサンド、デビッツヤマの生ハム、蜜柑ジュース。
「私も、こんな御馳走にありつけるなんて…。」
「よだれ垂れてるよ、ナーシャ。」
ナーシャは、ハッとした顔をして涎を拭いた。
「いけません主様の目の前で、はしたない姿をお見せしてしまいました…。」
「私のしたことが…。」
「落ち込まないで、ナーシャ。」
「ナーシャはさっき言ってたでしょ?間違いは誰にでも起こるって。」
「…プッ……ありがとうございます主様。」
「貴方様は、本当に偉大なる主になれますね。」
「なんで泣いてるの?何か悪い事でも言っちゃった?。」
「傷ついて泣いてる訳ではありません。感動してるんです。主様、夕食が冷めるうちに食べましょう。」
二人は食卓に座り、ナイフとフォークを手に掴んで食べていた。
「こら、野菜は食べると言ってたでしょ?どうしてクロワッサンサンドから野菜を抜くのですか。」
「あ………。分かったよ…食べる。」
ワキムは、隅で野菜を食べる所を凝視していた。名もない子は、野菜をクロワッサンサンドに戻して一口齧る。ワキムは、満面な笑みになった。
「やっぱり嫌ーい。」
ワキムの笑顔がなくなった…。
名もない子は、嫌そうに食べる。シャキシャキの食感が歯に伝わって気持ち悪いんだろうね。ナーシャは、それを見て理解する。
「食感が駄目みたいですねー…。今度私が、料理長に野菜について、お話ししますね。」
初対面だったが、すぐに関係が深まった。ワキムは、指を咥えて見てるだけだったけど。食事が終わってからナーシャは、ワキムに説教した。
【189年5月14日】
名もない子は、ナーシャに悪魔図鑑を取ってきたとお願いした。それと、名もない子は、ナーシャの特別指導により、スムーズに会話できるようになった。
「悪魔図鑑取って来て。僕なら悪魔を詳しく知って、皆んなを手伝える!。」
「あはは、そうですか。主様なら悪魔を一頭打尽にできるでしょうね。今から取りに行くので、お待ちください。」
育神管は、図書館に入り、上の段の本を取る。図鑑と言うより、悪魔の対策本を手に取った。悪魔の図鑑なんて存在しない。悪魔は皆、千差万別である。
「昨日は獣図鑑でしたのに、もう全部覚えたのですか?7冊も。」
「うん!覚えたよ。西に生息してる絶滅第二危惧種のヴァルブドックに、北に生息してる新種のカガチウサに、全部全部覚えた!。」
「流石です主様。あんなにも分厚い図鑑を全て読むなんて。まさか徹夜して読んだんじゃありませんよね?。目に少しクマができています。徹夜は、主様の健康に非常に悪いので、本を読むのは一日3冊までにします。分かりましたか?。」
「やだやだぁ!少なすぎるよぉ。多めに見てくれる?」
「駄目です。」
「ケチ。マルクおじさんなら読ませてくれるのに。」
「ジャンさんは、ジャンさんで、私は私です。主様は、人を人で物差しとして比べてはいけません。罰で読める本を一冊減らしますよ?」
「僕が悪かった。我儘言ってごめんなさい。」
「まだ、言う事あるでしょ?。」
「比べてごめんなさい…。」
「謝れて偉いですね。ご褒美に2冊増やしてあげますね。」
「ほんと?!ありがとうナーシャ先生。」
机の上に悪魔対策を置いたナーシャは、名もない子を見守る形で、隣に座る。生徒と教師のような距離感だった。ナーシャは、小さくて丸い眼鏡をかける。それからページを捲った。
「まず、始めに言いますが、悪魔はどこから来ると思いますか?。」
「大地の底からとか?。」
「不正解です。」
「良い線は、いってますね。悪魔がどこから来るのかの話で、初めは地中の中から這い出て来たと結論ずけていました。ですが全て確かなものではありませんでした。」
「なら、空から?」
「違います。」
「悪魔が空から来れば、全てが翼を持っています。ですが、翼を持たない個体は、基本的に多いです。翼を持たない悪魔が空から来るのなら、矛盾が起きます。」
「なら…海から?」
眼鏡を整えるようにカチッとするナーシャ。
「正解です。」
「悪魔は、海から来まています。ですが、海から誕生する訳ではありません。悪魔は昆虫と同じ変態を遂げる生物です。幽霊と呼ばれる幼虫個体が、海から這い出て、2日も経てば蛹となります。その蛹は、地中深くか、あるいは人目につかない安全な場所で悪魔へと変われるのです。悪魔は、蛹を守るようにコロニーを作る習性もあります。以前、ここの近くに、そのコロニーがあったので、聖騎士達に片付けて貰いました。」
「へぇー。悪魔って意外と生き物みたいだね。幽霊の本も読んだけど、幽霊の特性は受け継がないんだね。受け継いだら強いのに。あの特性は、生存戦略のためにあるのかな?」
「素晴らしい洞察力です。幽霊の特性は、生存戦略のためにあります。」
「それから幽霊と悪魔は、同じ生き物ではない点を教えますね。最初は、同一の固有存在として定義されてましたが、この変態の過程と進化の過程で、変態進化に分類されました。ですが、幽霊と悪魔は本質的に違いが生まれていて、遺伝子的にも近縁種に該当しません。先ほど言ったように幽霊が蛹になると、その中で進化を遂げます。そして、蛹の中で完全に別の生き物が誕生するのです。幽霊は、幽霊として分類されて悪魔は悪魔として分類されます。なので別の生物として分けられています。」
「悪魔の元は幽霊で、蛹になれば別の生き物に変わろうとするんだね。でも、悪魔の元が幽霊なら、幽霊の元はなんなの?幽霊はどう産まれるの?」
「…それはまだ、解明はされていません。海はとても危険で、ゴーストと呼ばれる特殊個体や、海をまだまだ解明できていないので、調査は、あまりできないのです。仮説は、大いにありますが、言語だけの追求なので、確実性がありません。」
「さて、本題に入りましょう。」
ナーシャは、ペラペラと教授のように語る。
答えられるものは答える。
答えられないものは答えられない。
しっかりとした、先生だった。
「眠くなってきた。」
「昨日徹夜したからですよ。」
「ナーシャ先生…僕…ここで寝る。」
「あ、ちょっと主様…もー。しかたがないな。」
ナーシャは、名もない子をおんぶする。ベットまで連れて行き、毛布をかけた。名もない子から、寝息が聞こえると、蝋燭の火を消した。
「ナーシャ先生…また明日も読んでね。」
「…ふふ。主様のためなら、いくらでも読んであげますよ。」
「お休みなさい…主様。」
ナーシャは、名もない子の額にキスをした。それから扉をゆっくりと開けて出ていく。ナーシャも一日中話していたので疲れただろう。目を擦りながら歩き、クリスに見守りを願いする。
「クリスさん。見守りお願いします。」
「了解です。」
「あの…もしよければ………。」
ナーシャに、お誘いをしたが…言い終わる前に行ってしまった。
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これからも【名もない赤子】をよろしくお願いいたします!。




