第三話 僕は、寂しさを知る。
⬛︎⬛︎は、⬛︎かく、⬛︎を⬛︎つめる。
その⬛︎⬛︎⬛︎は、⬛︎しい⬛︎⬛︎⬛︎だった。
ならば⬛︎は、⬛︎⬛︎によって⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎しくない⬛︎⬛︎⬛︎だった。
【189年2月6日】
名もない子は、目を覚ますとジャン=マルクは、見当たらなかった。部屋を出て廊下を見渡す。いつも通りに聖騎士だけが居た。
「ねぇ。パパ、知らない?」
聖騎士は、目線を逸らす事なく何も反応を示さない。
いつも通りにの時間に、朝食の合図が流れる。
「主様〜!ご飯でわさよー。」
「はーい。」
ダイニングに行くと、食卓の上に豪華な食事が用意されていた。マンブリーノの肉団子、サルトフィッシュのバジル焼き、ロールパン、蜜柑ジュースだ。
「野菜だ…野菜嫌い…。」
名もない子は、野菜を嫌うと料理長のワキムは、我儘言うなと言った。それでも、名もない子は、野菜だけは残して、すぐにダイニングから出ていった。
「勿体無い…。次は、どんな工夫をして野菜を食べさせるか………細かく切ってから、スープに紛れ込ませて飲ますのもいいが、それでは野菜を克服してくれない…。困った…。」
名もない子は、図書館がどこにあるのか分からない。いつもジャン=マルクが絵本を持ってきてもらうため、部屋の外など食事を取る時以外に、滅多に出ない。そして、名もない子は、廊下の端っこで立っている聖騎士に頼み事を言う。
「そこの騎士さん。図書館行きたい。」
「図書館どこ、教えて。」
聖騎士は、何も反応を示さない。
「困ってるの、助けて。」
聖騎士は反応して、了解のポーズを取る。それから、名もない子の前に立つ。
「教えてくれるの?やったー。」
「今から出発、騎士さん、出発出発ー。」
ガチャガチャと音を立てながら歩いていた。廊下にいる聖騎士達が、名もない子を連れている聖騎士を長々と見ている。数分歩いて図書館に着いた。
「広ーい。騎士さん騎士さん。絵本、どこ?」
聖騎士は、ちょうどここにありますよと、十歩歩く。名もない子では、取れない高さの段から絵本を3冊取った。
「ありがとう。名前教えて、お礼したい。」
聖騎士は、辺りを見渡してから、膝を着き、名もない子の目線を合わせて言った。ヘルメット越しだが、お互いが見つめ合っていた。
「クリスです。お礼なんて要りません主様。」
雑音を聞きつけた司書が、こちらに来たみたいだ。 足音が聞こえる。
「何の音かと思ったら…ちょっと何してるの!そんな鎧で図書館に入らないでください!」
「ぁぁ!これは、主様のために入っていて―」
「それなら私に許可もらってから入ってくださいよ…。主様に関わったのですか?!」
「すみません。ナーシャ様。」
「あと、主様とか言ってますけど、見当たりませんよ?嘘ついたのですか?。嘘なら嘘で良かったですけど。」
「え?………あぁ〜…えとーー。」
「はい……勝手に入り、すみませんでした。」
「はぁ…しょうもない嘘をつかないでください。なぜ入ったか詳しく聞きませんが、ペナルティとして追加しますからね。覚えておいてください。」
「そんなぁ…。」
名もない子は、危機を察知して素早く本棚の裏に隠れていた。悪びれる様子もなく、急いで部屋に戻りましたとさ。
【189年2月8日】
名もない子は、クリスに謝りに行く。2日前に起きた事が、悪い事だと理解したみたい。それから、あの時と同じ身長の聖騎士に声をかける。
「クリス…?」
聖騎士は、反応して下を向く。一発で探している人を当てたみたい。
「あの…ごめんなさい。これ…。」
名もない子は、朝食で食べるはずであったクロワッサンサンドを持っていた。これを謝罪としてあげるみたい。
「ぁぁっ。ちょっとちょっと主様、そういうのは、廊下でやらなくても…ぼ、僕は受け取れませんよ。」
「クリスは、要らないの?ごめん足りなかった?。」
「い、いえ!主様が謝る事ではありません!。僕が、育神官ではないのに、関わってしまったからです!。あ………。」
クリスは、口を滑らせてしまった。悪い影響を与えないために、訂正する。
「私は、怒られても良い覚悟で主様を助けただけのことですから。どんな事が起ころうとも、人を助けるのが騎士の定めです。その食べ物は、主様が食べてください。何一つ気にしなくても良いのです。ですが、主様がここまでして謝られたのは、深く感動しました。まだ4歳なのに、素晴らしい威厳です。」
「褒めてるの?」
名もない子は、クロワッサンサンドを一口食べる。
「もちろんとも!褒める所しかありません。」
「あと、用事があったことを思い出したので行きますね。ありがとうございます主様。」
クリスは、用事など無いのに、名もない子から逃げていった。それが聖騎士としての最善だからだ。聖騎士と名もない子が触れ合っているのを密告されれば、異端と認定され、ヨハネの聖騎士に処刑される。そんなリスクを背負うことはできない。
「行っちゃった…。」
名もない子は、もうちょっと話したかったようだ。聖騎士と遊ぶ予定が消えたので、図書館に向かう。
「確か、ここの道…あった。」
大きな扉は閉まっている。なんとか、ドアノブに届いたが、4歳の体では開けられない。名もない子は、諦めて部屋に戻った。今回は、聖騎士に頼らなかったみたいだ。
部屋に戻ってから、ジャンに読み聞かせしてくれた絵本を読み返す。ぜんまい仕掛けの眠りの王と灰色の王様と白い花。もう読み飽きたみたい。何もすることがなくなり、机の上にある、人形を手に取り、怪獣ごっこをしていた。木製の悪魔の人形と、木製の聖騎士の人形。木の人形がぶつかり合い、霞んだ音がつ、つ、と鳴り続けたのさ―
【189年2月9日】
扉の隙間から、明るく光が漏れている。扉からコンコンと音がした。名もない子は、その音で起きる。扉を見ると、真下に紙が置いてあっ。誰が置いたのか分からない。その紙を拾いに行き、手に持つと文字が書いてあった。
―主様へ。一人で寂しいと思いますが、我慢してください。明日は、主様と共に過ごす人が現れます。もしかしたら知っている人かもしれません。それと昨日は、構ってあげられず申し訳ない気持ちです。なので、本を10冊も用意しました。扉を開けて右を見ると置いてあります。どうぞ、これからもヨハネによろしくお願いします。親愛なる隣人より。―
読み終えて扉を開いた。右を見ると扉の隣に10冊も本が置いてある。その内の1冊は、図鑑だった。10冊の本を部屋の中に置き、初めて見た図鑑に興味を唆られた。
中央には、見たこともない動物の絵が書いており、獣図鑑と書いてある。ページを捲ると、そこには新しい世界が広がっていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!。
少しでも面白い!続きが読みたい!と思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!皆様からの応援が、執筆の大きな励みになります。
これからも【名もない赤子】をよろしくお願いいたします!。




