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第一話 僕は、神だと呼ばれた。

神は、人の⬛︎の⬛︎にある⬛︎を⬛︎す。

神は、存在してはいけない。

必ずは、この世に存在しては、いけない。

【184年12月25日・昼】

 《現在地:第6柱・聖燈共生(せいとうきょうせい)孤児院(こじいん)》

  『通称・双燈院(そうとういん)』



 どこにも生きていけない子供たちは、暖炉の側でクリスマスを待ち望んでいる。楽しみにしていた一週間。いい子にしていた毎日。それに似合う興奮を隠しキレずに、ある子供は走り回り。ある子供はチャンバラごっこをしていた。


「俺は次なる魔王を倒す勇者だぞー!」

「ローランの右腕だぞ!」


「いいや違うね!俺こそが勇者だ!」

「俺はマルフィザの右腕だ!」


「違う違う!私が勇者役なのー!!」

「もうほんと男子ったら!」



「ターミは、なんのプレゼント貰うの?」


「僕?僕はねぇ。」

「外の世界に足を踏んでみたいってプレゼントなんだ。」


「いいねそれ!今からでもプレゼント変更できるかサンタさんに伝えられるかな?」


「もうプレゼント届いてるしできないんじゃない?笑。」


「それもそうだね。あはは笑。」


 建物は、お粗末ではないが、それほどに生活できるぐらいの見た目であった。獣の皮で作られた絨毯(じゅうたん)


 プレゼントが渡される時間を待つのが、どれほど子供達にとってソワソワする時間だろうか。


 どうだろう…。

 クリスマスプレゼントが一つしかない…。包装などされておらず。呼吸している動きが垣間見える。その正体は赤子だった。


 初めて見る肌を見て不思議に思う子供は、そのプレゼントに言葉を失う。自分らの欲しい物じゃない。新しい服、新しい玩具、新しい絵本…それを楽しみにしていたのに。


 だか、本当のプレゼントは、大人達だったようだ。大人は子供のように泣き、今までにないぐらいの感激と崇拝をした。見よ、その尊厳がないほどの喜ようを―。


「見なさい…貴方達………これ以上ないほどの、素晴らしいプレゼントですよ…。神聖な身体に触れて、慈悲深い栄光を貰いなさい。…」


 その汚い大人達を見るだけで腹立たしく、胃がむせ返るように嫌悪してしまう。


 子供達にとって、このクリスマスは最悪な日だったが、大人達にとっては、このうえない日だったろう。


「嗚呼………我らの主よ…どうか…私達を導いてください。」



 子供達は、大人に聴かれないようにコソコソと愚痴を話していた。怒りと不満は、さぞかし大きかろうに…。奪われた時間に、楽しみを。


 けれど、その見返りか、子供達を外に連れ出して散歩として歩いていた。あの時の怒りと不満は、すぐには消滅した。




【185年10月10日】


 名もない赤子は誕生日を迎える。

 神聖なる場所にて、大人達は揺籠(ゆりかご)を中心とし、円のように囲んでいた。


 大人は、赤子を神のように崇拝し、無礼にも身勝手にも、人を超次元的な神として崇める汚い大人達だった。神の何たるかを冒涜している大人達は未来を想像し合い、腐った笑みを浮かべていた。


「いや、なんと綺麗なる肌でしょうか、見るだけで涙が溢れ落ちます。」


「おいおい、なに泣いてんだよ。俺も感動で泣きたいぜ。もう泣ける涙は出し切っちまったけど。」


「どうか、私らも肌に触れさせてください…。」


「我らが主よ………マネリークのように可愛く小さいその、お姿は、天から貰えた授け物のように美しくありまする…。」


「存続…存続…存続……栄光………未来繁栄…。」


「主がこちらを見た…ぁぁぁ……もう俺は…耐えられない………神よ…神よぉ………。」


「教皇が来た。皆整列せよ!。」


 ざわざわしていた、空間は静かになった。


 扉が開き、綺麗に縦の道ができた列を歩く。新しい座に着いたばかりの若き教皇は、チグハグにページが失った薄い福音書を手に持っていた。それが全ての過ちであり原点である。本来は、教皇でも持ってはいけない品物だった。ヨハネの福音書は、教皇でも安易に持ってはいけないと固く禁じられた物だ。大司教でさえ、知らない品物だ。


 愚かな教皇はこう告げる。



 ―我ら騙されたり

 緋色の獣は終末であった。

 だか、見ようか!

 我らの一太刀で無念に死ずる貧弱さ。

 もし我らが、次なる神だった者を手懐けられるとしたら、それこそが我ら汝らが、求めんとする神だと等しいのではないか。

 それが、正しくば、本当にヨハネ教は存続を叶えらんとする―



「なに…この存在は…終末その者だと……そんなはずがない……。」


「あの若造は何をほざいているんだ………気でも狂ったのか?…。」


「でも、私達が望んでいた主でなくても、私達が手懐けたら………。」


「この赤子を………それでも素晴らしいじゃないか…。」


 一同の信者達はザワザワし始めた。騒音なる声どもは、一つ一つが消えていき、静かになるまで4分21秒は過ぎる。


 手のひら返しのように、名もない赤子に対する態度が変わった。その汚い大人達は、光だった物が水へと変化した瞬間だった。


 彼らの光は、未来繁栄の存続だった、だが水に変わり、次なる神を手懐けて、神を我が物にしようなどと、幻想から衝動に変わり果てたんだ。なんと欲深く、目先の利益にしか食いつかないのだろうか。


 人はサ(・)ハ(・)ラ(・)である以上…覆すことはできない。



 信者達は、水を願う。

 とても、とても、渇きに飢えていた。

 我こそが、神を手につけ、我が神の親…我が…我こそが神を従う者として、その野望心は、産まれてしまった。


 名もない赤子に目を向ける視線は、あの時の温かい物ではなく、冷ややかだった…とてもとても冷たく、道具として見る目だった。


 無事に大人達の宴会の場は終わる。




【185年10月10日】


 ヨハネ教に亀裂が生じる。

 組織内の派閥が出来上がった。


 あれからの一年で大きく変わった。

 だが、これは序章に過ぎない。

 現在で、亀裂が生じたかもしれないし、次から亀裂が生まれるかもしれない。その時間は、いつ訪れるだろうか。


 今は、誰が赤子を世話するのか、言い争いになっている。だが、武力で終わらそうと、着実に動き始めてはいる。武力で論争が終わるのは、時間の問題だろうか…。


 現在の組織内の派閥は、アガペー派か、リ・ルーティング派だった。



 初めは、若き教皇側が育ててはいた。聖燈共生孤児院で人間に、ある程度まで母乳を与えられて、安全に、優しく育てられた。環境は素晴らしかった。愛情を注いでは貰えた。


 だけど、赤子を奪おうとする輩は必ずしも存在する。それが派閥に属する者でなくとも…。だが、誰一人として赤子に触れようとする者は居ない。赤子の側には、絶対的な力の存在がいるのだから。この者は、福音書を読むことを許可された人物…探究聖(たんきゅうせい)である。



「失礼…また、赤子に触れようとする異端者が現れた。2分程度で到着する。」


「ありがとうございます。探究聖様が居なければ、私達は負けたも同然です。」


「褒め言葉、ありがとう。」


 そう言って、男は規律を反した異端者を音も立てずに、終わらせた。赤子に雑音を聴かせないように。




【186年10月10日】


 名もない子は2歳となる。


 縦長く広いテーブルに豪華な食べ物が置かれ、大人達はワインを飲んだ。


 羊肉を食らい、肉汁で口が潤ったらパンを食べる。その繰り返しが味覚を狂わせて美食の域を超えていた。とても美味そうに食べて、むしゃむしゃと食べる。


 一方、子は特別席に座らされて、端の一人用の席で座っていた。子のテーブル上は、一口サイズに細かく切られたパンとマンブリーノの、よく加熱された肉団子だった。



「ママぁ。」


「私はママではありません。」


 哺神菅(ほしんかん)は、小さいパンを摘み食べさせる。


「もー。食べてくださいよ。」

「パン要らないのでちゅかぁ?この美味しそうな肉団子がいいんでちゅか〜?。」


 子は、パンを嫌々に口に入れようとしない。


「分かりました。はーい美味しい美味しい肉団子でちゅよー?はい、あんしてー。」


 名もない子は小さな口でパクっと食べる。可愛くあむあむと言いながら可愛く食べていた。母性を擽る仕草は、哺神官に私が母だと自認してしまう破壊力でした。結局はパンも食べた。


 一方、大人達は、何かを話していた。


「こちら側が勝ったな。愚かにも自分達が手にしようと異端に走るからだ。もう教皇の座に怯えなくて済む。」


「まずまず怯えてなかったでしょ。探究聖に聖騎士達がいますし。戦力面はこちら側が圧倒的に有利でした。」


「だが、探究聖は、毎日が忙しくて、滅多に来ないではないか。居なければ余裕で不利でしたぞ。」


「ほんとうにそうだ。」

「こちらが側が勝ったが、教皇が慈悲深いお陰で、彼らは、今も生きている…。枢機卿に大司教を処刑しないと…あの者達は赦されない。」


「それ私にも言ってるのでしょうか?」


「あ、いえ…失言しました。ジャンさんは、違いますよー。ジャンさんは教皇側じゃないですかー。」


「冗談で言ったんだよ。間に合うけないでくれ笑。」


 テーブル上は、和やかに笑いが溢れていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!。


少しでも面白い!続きが読みたい!と思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!皆様からの応援が、執筆の大きな励みになります。

これからも【名もない赤子】をよろしくお願いいたします!。

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