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お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


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140/146

140 この方は一体何者ですかしら!?(1)

 その日は、豆を蒔くので、村は湧きかえっていた。

 麦の場所をどこまで空け渡すか考えなければならないオタルさんはいつも以上に真剣だった。


 そんな日に、こんな大きな出来事があるとは、アセリアは思ってもみなかった。


「大きな馬車が来たぞ!」


 と叫んだのは、橋の作業をしていた大工の一人だ。

 声は新しく作っている橋の方から聞こえた。


 目の前にいたハルムがふっと立ち上がり、そちらの方を見る。

「なんですの?」

「なんですかね。見てきます」

「ええ。お願いしますわ」


 けれど、ハルムが様子を見に行くほどもなく、大きな音が聞こえた。

 ガラガラという聞き慣れた音。

 大きな、貴族の馬車だ。


 見慣れた商人の馬車よりもずっと多い装飾は、久しぶりに見る豪華なものだった。

 とはいえその馬車は、公爵家の馬車よりもずっとこぢんまりしたものだった。


 ……見たところ、伯爵家か子爵家の馬車ですわね。一体どうしてこのようなところに?


 見知った馬車ではない。

 公爵家と交流のあった家というわけでもなければ、この辺りを管理している馬車でもないようだ。


 どなたですの?


 自然と、緊張する。

 けれど、そのアセリアの隣で、違う意味で嫌そうな顔をしたハルムが視界に入る。


「ハルムは、あの方、知ってますの?」


「はい」


 ハルムが説明しようと口を開きかけた時、目の前で停まった馬車から、一人の女性が降りてくる。

 コン、と踵のあるヒールが木製の馬車を叩く音がした。


 中から出てきたのは、眩しいほどの黄色のドレスを着た、栗色の髪をクルクルと巻いた少女だった。

 アセリアよりも3つ4つ年下だろう。


 綺麗に整えられたまつ毛をしばたたかせ、アセリアの方へと向き直る。


「アセリア様。お初にお目にかかります。タリオン家のミルドリックでございます」


 少し可愛げのあるカーテシーで頭を下げる。


 アセリアはハッとした。

「頭を下げる必要はありませんわ。わたくしは、もう貴族ではないのですから」


 タリオン伯爵家。

 確か、ハルムの母君がタリオン伯爵家の出身だったはず。

 ということは、ハルムの親戚筋ということですわね。


 ならば、会いにきたのもハルムですかしら。


「そうですか」

 そう言って、ミルドリックは顔をぴょこんと上げた。


「わたくし、ハルム様にお会いしにきたんです」


 やはり。

 けれど、こんな辺境の地まで、貴族の少女が何時間も馬車に揺られてやってくるには、親戚の顔を見にきたというのはいささか納得しかねる話だった。


 それに……、どうしてここがわかりましたの?

 ルーシエンもガルドルも、この場所を知っている人間は一握りのはず……。


「どうしてこんなところまで……」

 と、少し苦い顔をしたのはハルムだった。


「お元気かどうか、確認したくて」


 ハルムにニッコリと笑いかけるミルドリックに、アセリアは少しドキリとしたのだった。

さて、新キャラのご令嬢が登場です!

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