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お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


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132/154

132 魔物除けを作りますわよ!(2)

 アセリアが一人、子供についていくと、そこは村の広場だった。

 中心で何か話しているのは薬師のレアクだ。

 "ばあちゃん"というのはどうやら、薬師のことのようだった。

 確かに子供たちはいつだって……、ううん、大人たちだって、この村の者は皆、レアクさんを頼りにしているのだ。


「アセリアさん」

 レアクさんはアセリアの顔を見ると、うれしそうな顔を見せた。

「この状況はなんなんですの?魔物対策って……」

 質問しようとしたアセリアの前に、丸い団子が現れた。

「これを作るんだよ!」

 見ると、団子を持っているのはソフテだ。


「これを……?」


 それは、どうやらハーブを練り込んだ団子だった。グレーの泥のようなものの中に、ハーブらしき草の欠片が見える。

 だから中心にいるのがレアクさんなのだ。

 いい香りではあるけれど、近くに鼻を寄せるとむせ返りそうだ。

 これは、香りで落ち着かせるために作ったわけではないのがわかる。


 確かにハーブは薬にもなるものですもの。

 夏の魔物に対しても効果があるに違いないですわね。


 いよいよ魔物というものが、怪しげな魔の物であるというのに真実味が出てきた。

 アセリアの頭に、真っ暗な屋敷が思い浮かぶ。

 森の奥から、何が出てくるのだろう。


 広場では、手が空いていたらしい女性や子供たちが、一心不乱にハーブ団子を作っている。

 相当な魔物と見えますわ……。


 アセリアも、黙ってハーブ団子を作り出した。


 このグレーの土に、ハーブを練り込みますのね。

 コロコロと、手のひらの上に乗るサイズの小さな団子をたくさん作る。

 かわいいソフテが食べられてしまったら大変ですもの。

 アセリアも、熱心にハーブ団子を丸めていった。




 ハーブ団子は山のようになった。

 これでもかなりの匂いだけれど、レアクさんは、

「畑の周りでこれに火をつけますから、カゴに入れてくださいな」

 なんて声を上げている。

 なるほど、これはお香なんですのね。

 煙や何かで力をなくしてしまう魔物なのだろう。


 カゴに大量にハーブ団子を摘んだところで、ハルムがやってきた。

 隣に、まるで執事のように背筋をまっすぐ、腕を後ろに覗き込んでくる。

「こんにちは、お嬢様」

「ごきげんよう」

 ……ちょっと近いんじゃありませんの?

 なんて思うのだけれど、そんなことを言えるはずもなく。


「……これをお香として焚くことで、魔物が逃げるらしいですわ」

「そうですか」

 ハルムの返事はそっけない。

 夏の魔物が来るとか来ないとかいう一大事に、なんでこう平然としてられるのですかしら。


「ところでお嬢様」

「なんですの?」

「"夏の魔物"について話を伺ってきたのですが、お聞きになりますか」


 ふいっとハルムを見上げる。


 アセリアはむーっとした顔をしてみせた。

「なんなんですの?夏の魔物とは」

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