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次の行き先は?

夜になり、冒険者ギルドはほとんど人がいなかった。カレは肘をカウンターに乗せて座り、不機嫌そうな顔でギルドの扉を見つめている。


(うーん……この子、どこに行ったのかしら。夜に私に会いに来いって言ったのに)


時間が過ぎてもカエリアンは現れず、カレは半分うとうとし始めていたが、ある瞬間に椅子から立ち上がった。


(くそっ、もう来ないわね)


腕を組み、ため息をつく。


(ああ、面倒くさい。計画は台無しだわ。まあ、少なくとも報酬の金は私のものね)


そのとき扉が開き、一人の少年が入ってくる。

カレは反射的に振り向き、カエリアンだと思ったが、すぐにそれが違うと気づいた。黒髪の背の高い少年で、冒険者の服を着ており、背には骨の槍を背負っている。

カレが言う。


「いらっしゃい。今は依頼はないけど……」

「……あの」

「……」

「バカエリアンという人物をご存じですか?」


カレは小さく笑い、口元を押さえる。


「ふふ、ええ。でもそれは本名じゃないわ。誰かが付けたあだ名よ。彼の本当の名前はカエリアン」

「本当に? 女の子みたいな顔で、背丈は普通、白い髪にピンクの目……」

「ええ、同一人物よ。それで、何の用かしら?」

「それはあなたの知ったことじゃない。ただ、知りたいことを教えろ」

「なんて失礼なの。せっかく助けようとしてるのに」

「カエリアンはどこにいる?」

「どこに泊まっているかは知らないわ。でも、街を出たと考えるだけの理由はある」

「くそっ……行き先は分かるか?」

「分からないわ。何も言っていなかったもの」


少年は目を閉じ、しばらく考え込む。


「……この辺りで聞き回るしかないか」


出口へ向かって振り返ろうとしたそのとき、カレが声をかける。


「ねえ、どうして彼を探しているのか教えてくれたら、役に立つ情報をあげられるかもしれないわよ」


少年は少し考え、やがて言った。


「俺は、あいつが俺の弟を殺したと確信している。復讐したい」


カレの目がわずかに見開かれる。


「へえ……そんな理由だったなんて。でもまあ、こっちに来なさい」


少年が近づくと、カレは耳元で囁く。


「勝ち目はないわ。諦めたほうがいい」


少年は素早く距離を取り、言い返す。


「ふざけてるのか!」


カレは笑みを浮かべ、手を差し出す。


「もちろん違うわ。あなたの魔法の属性を見せて。そうすれば、私が何を言っているのか分かる」


少年は一瞬迷ったが、彼女が冒険者の腕輪に触れられるよう、手を差し出した。

カレは目を閉じて言う。


「見てみましょう……魔法はかなり平凡ね。中立戦闘アートも中級止まり」


少年は一歩後ずさる。


「それがどうした。俺は身体能力が高い。きっと倒せる」


カレは椅子に腰を下ろし、足をカウンターに乗せる。


「外見とあだ名は突き止めたのに、彼については何も分からなかったのね。残念だわ」

「どういう意味だ?」

「あの子は初任務で銀ランクに昇格し、ギルド依頼で錨を討伐している」

「!?」

「……それに、ウルセ・ファノミルは彼を自分の直接のライバルだと見なしている。それで察しはつくでしょう」


少年は歯を食いしばり、出口へ向かう。


「関係ない。どうなろうと、俺は復讐を果たす!」


少年が去り、ギルドには沈黙が残った。

カレはため息をつき、奥の部屋へ向かう。そのころ二階の手すりでは、ウルセが眉をひそめ、考え込んでいた。


(何を言ってるんだ、カレ……俺の直接のライバル? いつになったらそのおしゃべり癖をやめるんだ……!)


***


森の奥深く、あたりは静寂に包まれ、コオロギの鳴き声が空気に溶け込み、月明かりが木々の梢を照らしていた。

火花は地面に座り、脚と腕を組んでいる。


「お腹が空いたまま寝るつもり? ちゃんと食べさせなかったって訴えるからね」


カエリアンはまっすぐに彼女を見た。


「何も食べずに眠ったのは、これが初めてじゃない」

「そうだけど……だんだん慣れてきてたのに」

「昨夜、食べ過ぎなければ、今ごろは食料を買う金があった」


ナエヴィアは膝を抱える。


「私のせいです。もし私が酒場に行っていたら、火花が頼み過ぎるのを止められたかもしれません」

「そうよ! 全部ヌヴィアのせい! 昨日あのとき止めてくれてたら、今日は食べ物があったのに! みんな同意でしょ?」


遺産が言う。


(なんて図々しい……殴れるなら殴っているところだ。あ、待て、できるな)


遺産は「炎」を一本の木へと伸ばし、次の瞬間、小さな枝が火花の頭に落ちた。


「!!あいたっ!!」


火花は両手で頭を押さえて叫ぶ。


「木が私を殺そうとしてる! カエリアン、助けて!」


カエリアンは無視してナエヴィアに尋ねる。


「じゃあ、俺が君のために払っておいた食事も取りに行かなかったのか?」

「……はい、ごめんなさい。一人で酒場に行くことを考えたらどうしても気が進まなくて、結局食欲もなくなってしまって……」


火花は誇らしげに笑う。


「私がその分も食べたから、無駄にはなってないわよ」


遺産が言う。


(本人の中では、いいことをしたつもりらしい)


カエリアンは腕で体を支えるようにして横になる。


「なあ、ナエヴィア。目的地は分かってるのか?」

「だいたいは。でも……ナリスの温泉を通るはずです」

「ナリスの温泉? それって、俺が想像してる通りの場所か?」


ナエヴィアは小さく微笑む。


「たぶん。ナリスの浴場がたくさんある、とても綺麗な場所だって聞いています。それに、行きたい場所のリストにも入っているんです」

「いい場所そうだな。行きたがる理由も分かる」

「はい。それに、いくつかの温泉には治癒効果があって、治癒師と同じくらい効くって聞きました。もしかしたら、入ればその目もすぐ治るかもしれません」

「それはいいな。ますます行きたくなった」

「私もです」


火花は二人をじっと見つめながら考える。


(グルル……もう一分も拗ねて無視してるのに、全然気づかないなんて。これじゃ意味ないじゃない)


夜は更けていき、火花とナエヴィアが眠る間、カエリアンは見張りのために起きていた。風が強く吹き、木の葉を揺らす。

ナエヴィアが目を覚まし、体を起こして軽く目をこすりながらカエリアンに焦点を合わせる。


「まだ……起きているの?」

「ああ。警戒を緩められない。どうした、何かあったのか?」

「ええ……いえ。とても寒くて、外で眠るのは初めてなんです」

「そうか……」

「脚がすごく冷えて……靴下を買うべきでした」

「大丈夫、すぐに何とかする」


ナエヴィアは右目で、カエリアンがゆっくりとチュニックを脱ぎ、ボタンを一つ一つ外していくのを見る。

その瞬間、彼女は思う。


(あれは……未来? 何をするつもりなの? 体温を保つには裸で抱き合って眠る方法があるって、前に読んだことが……まさか私とそれを?! だめ! 恥ずかしいし、気まずすぎる!)


カエリアンが最初のボタンに手を伸ばす前に、ナエヴィアは激しく動揺しながら、首と腕を大きく振った。


「そ、そんなことしなくていいです!」

「落ち着いて。俺は気にしない」


ナエヴィアは思う。


(カエリアンがこんな厚かましい人だったなんて!)


カエリアンは、顔を真っ赤にしたナエヴィアを見る。


「え?……どうしてそんなに赤いんだ?」

「その……すごく暑いんです!」

「さっきまで寒くて仕方ないって言ってただろ」


ナエヴィアは再び横になり、両手で顔を覆う。だが、しばらくすると、寒さで脚が震えているのをカエリアンは見て取った。


「これをここに置いておく。もしまた寒くなったら使え」


彼はチュニックを彼女の前に置き、再び持ち場に戻って見張りを続けた。


(焚き火を起こせば楽だが、位置を知られる危険がある……特に、俺を探している新しい連中がいるなら)


彼は軽く体を横たえ、自分の手を見つめる。


(もし油断したところを見つかったら? 俺のせいで、火花やナエヴィアが傷つけられたら……)

(考えるな。そういう問いに、いい答えは出ない)

(でも……)

(休め。少し眠れ。俺が見張る。何かあれば起こす)

(……ありがとう、遺産)


その直後、ナエヴィアはそっと目を開け、静かにチュニックを取り、自分に羽織ると、心の中で考えた。


(ずっといい。森で眠ることになるって分かっていたら、もう少し長いスカートを選んだのに……。やっぱりいい、あの服をまた着るくらいなら、寒さで死んだ方がましだわ)


***


ラエメルの森の近く、フードをかぶった数人の男たちが辺りを調べていた。

そのうちの一人が言う。


「『炎』の残滓は見つけたが、どの使い手のものかは分からない」


別の男が近づく。


「新しい使い手かもしれないな」

「あり得る。だが、しばらく前から何人かの使い手の痕跡は確認できていないし、場合によっては、意志の炎かもしれない」

「いや、そんなはずはない。あの使い手が国境を通過したなら、俺たちが気づかないわけがない」


その中の上位ランクの一人が言う。


「使い手は使い手だ! どの炎であれ関係ない。まず見つけることが最優先だ」

「痕跡は数日前に発生した。たぶんもう遠くにいるだろう」

「なら、全方向を探して、なるべく早く見つけるしかないな」


***


翌朝、カエリアンはすでに目を覚ましていた。ほどなくしてナエヴィアも起きる。

カエリアンが言う。


「おはよう、よく眠れたか?」

「おはようございます。背中が少し痛いです。地面で寝るのは初めてだから」

「そのうち慣れる」


ナエヴィアはチュニックをカエリアンに手渡す。少ししわくちゃだが、ナエヴィアの体温が残っている。


「あ、あり…がとうございます、チュニックを貸してくれて」


カエリアンはそれを受け取る。


「どういたしまして」

「もう行きますか?」

「まずは火花を起こさないと」


カエリアンは火花に近づく。彼女は深く眠っており、尾を抱きしめ、耳を伏せている。


「おい、火花、行く時間だ。起きろ」

「……」

「火花」


足で軽く触れても反応がない。後ろからナエヴィアが尋ねる。


「いつもこんなに深く眠るの?」

「いや、これは珍しい」


カエリアンは火花の前にひざまずき、肩を揺らしながら名前を呼んで起こそうとする。


「おい……火花」

「……いや、それは……」


ナエヴィアは小さく笑う。


「夢を見ているみたいね」


カエリアンも小さく微笑む。


「そうだな、でももう行かないと」


その時、火花が夢うつつに言った。


「シュ…ラ…」


カエリアンの頭に思考が浮かぶ。


(これは……またあの感覚だ)


意味は理解できる言語ではないが、カエリアンの頭に言葉が流れ込む。意味は分かる。


「シュラ、もう遅れるぞ、起きろ」

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