第5話 対等の誓い
焚き火の火は小さくなり、森の夜気が二人の間を静かに流れていた。
ロザリンは赤ずきんを整えながら、隣に座るロウの横顔を見つめた。
ロウはまだ、自分の過去を語った余韻の中にいるようだった。
しばらく沈黙が続いたあと、ロザリンがそっと口を開いた。
「……ロウ」
ロウはわずかに顔を向ける。
「あなたが、あの日の少年だったなんて…… 本当に、驚いたわ」
ロウは視線を落としたまま、 小さく息を吐いた。
「……僕も、驚いています。 まさか……また会えるなんて」
ロザリンは微笑む。
「会えたわ。こうして、また」
ロウの指がわずかに震えた。
焚き火の光が揺れ、 二人の影が重なったり離れたりする。
ロウは静かに言った。
「……僕は、あなたを守りたい。 あの日……泣いていたあなたを見て、そう思った。
そして今も……同じ気持ちです」
焚き火の火がぱちりと弾ける。
「……誓います。僕の命は……あなたと共にある」
ロザリンも立ち上がり、赤ずきんをそっと外した。
「私も誓うわ。あなたと共に生きる。 あなたの隣に立つ。対等に」
二人の影が、焚き火の光の中でひとつに重なる。
それは、 主従でも、救済でも、依存でもない。
ただ静かに、 同じ方向を見つめる二人の── 対等な誓いだった。




