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赤ずきん姫とオオカミ騎士~姫に触れられるのは、ただひとりのオオカミだけ~  作者: Erika


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第45話 恋の自覚/抑えきれない想い

政略結婚の話が進むにつれ、


ロザリンの胸の痛みは、


もう“ざわつき”ではなく


“はっきりとした苦しさ”になっていた。


(……来月初旬……


本当に……お見合いをするの……?)


朝の回廊。


ロザリンは歩きながら、


胸の奥を押さえた。


ロウが後ろに控えている。


その気配だけで、


胸が少しだけ落ち着く。


(……ロウがいると……


どうして……こんなに……)


理由はまだ言葉にならない。


昼過ぎ。


侍従が深く頭を下げた。


「姫様……宰相閣下より、


“お見合い日程の最終調整”について


ご確認をお願いしたいとのことです」


ロザリンの心臓が跳ねた。


(……最終……?


もう……逃げられない……?)


ロウが後ろで静かに立つ。


表情は変わらない。


ロザリンの肩が震えた瞬間、


ロウの胸が強く痛んだ。


(……姫様……


こんなに……苦しそうに……)


ロザリンは小さく頷いた。


「……分かったわ。


宰相のところへ行く」


応接室。


ヴァルガ宰相は、


いつもの穏やかな笑みを浮かべていた。


「姫様。


お見合いの件ですが──


来月初旬、第一候補の方が


“ぜひ姫様にお会いしたい”とのことです」


ロザリンの胸が、


ぎゅうっと締めつけられた。


(……そんな……


本当に……決まってしまうの…?)


宰相は続ける。


「姫様のご都合を伺えれば、


正式に日程を確定いたします」


ロザリンは言葉を失った。


ロウは後ろで静かに立つ。


しかし、ロザリンの沈黙が長くなるほど、


胸の痛みが強くなる。


(……姫様……


泣きそうな顔を……


どうして……)


ヴァルガ宰相は二人の空気を観察していた。


(……やはり……


この二人の間には“何か”ある)


まだ恋とは断定しない。


しかし、確信は近い。


部屋を出たあと、


ロザリンは歩きながら胸を押さえた。


「……ロウ……


私……どうしたらいいの……」


ロウは迷いながらも、


静かに言葉を紡いだ。


「姫様が……望まない道なら……


私は……どんな形でも……


姫様をお守りします」


ロザリンは立ち止まった。


ロウを振り返る。


その瞬間──


胸が、強く、強く痛んだ。


(……ロウが……


私を守るって言ってくれると……


どうして……こんなに……苦しいの……?


どうして……涙が出そうになるの……?)


ロザリンは気づいてしまった。


胸の痛みの理由を。


ロウの存在の意味を。


そして──


自分の気持ちを。


(……私……ロウのことが……


好き……)


その瞬間、


胸の痛みが“恋”という名前を持った。


ロザリンが涙をこらえるように


ロウを見つめた瞬間──


ロウの胸にも、


抑えきれない感情が溢れた。


(……姫様……そんな顔を……


俺だけに向けないでほしい……


でも……


その顔を守りたい……


ずっと……)


ロウは気づいてしまった。


(……俺は……姫様が……


誰かのものになるなんて……


耐えられない……)


13歳のときからずっと抱えていた気持ちが、


もう隠しきれなくなっていた。


ロザリンは胸に手を当てた。


(……ロウと……離れたくない……


絶対に……嫌……)


ロウは拳を握りしめた。


(……姫様を……


誰にも渡したくない……)


まだ言葉にはしない。


まだ口には出さない。


でも──


二人の心は、もう戻れない地点に入った。

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