第162話 これからもずっと
祠の外に出ると、
森の風がふたりの頬をそっと撫でた。
ロウの右腕には、封印が解けたばかりの“本来の紋章”が淡く光を残している。
ロザリンはその腕にそっと触れた。指先が、紋章の線を確かめるようにゆっくり動く。
ロザリン「……ロウ。ここ……まだあったかい。」
ロウは少し照れたように息を吐いた。
ロウ「……姫様の光が……まだ残ってるんだと思います。」
ロザリンの指先が、紋章の曲線をなぞるたびに、ロウの腕の光が淡く揺れた。
ロザリン「……さっきはずっと冷たかったのに。今は……生きてるみたいに、あったかい。」
ロウはロザリンの手を包むように握った。
ロウ「姫様の光が……僕の力と重なったからです。……ふたりの力で、ふたりを守れたんですね。」
ロザリンはその言葉に、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
ロザリン「……ロウ。あなたが苦しんでるの、ほんとうに嫌だった。だから……戻ってくれて、すごく嬉しい。」
ロウはロザリンの手を離さないまま、少しだけ距離を詰めた。
ロウ「……姫様。
僕……ずっと怖かったんです。この封印のせいで、姫様を守れなくなるんじゃないかって。」
ロザリンは首を横に振った。
ロザリン「違うよ……
ロウは……ずっと守ってくれてた。封印があっても、なくても……あなたは、私の隣にいてくれた。」
ロウの胸の奥が静かに震える。
ロウ「……姫様……」
ロザリンはロウの腕にそっと触れた。紋章の光が、彼女の指先に反応するように淡く揺れる。
ロザリン「ねぇ、ロウ。封印が解けた今……」
ロウは少しだけ息を吸って、ロザリンの瞳をまっすぐ見つめた。
ロウ「……姫様の隣にいたいです。これからも……ずっと。」
ロザリンのまつげが揺れた。その揺れは、照れと嬉しさが混ざった温度。
ロザリン「……うん。私も……ずっとロウと一緒にいたい。」
森の風がふたりの影を揺らす。
ロウの腕の紋章は、まるでふたりの未来を照らすように淡く光っていた。




