第146話② 真実の後に
翌早朝。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋をやわらかく照らしていた。
ロウとロザリンは、
昨夜のままソファーに寄り添っていた。
ロウはゆっくりと目を開く。
気づけば、
自分の肩にはロザリンの頭が預けられていた。
そのまま眠ってしまったらしい。
隣で穏やかな寝息を立てている。
ロウは小さく微笑んだ。
しばらくしてロザリンも目を覚ます。
ロウ「……おはようございます、姫様。」
ロザリン「おはよう、ロウ。」
ロザリンは少し安堵したように息を吐いた。
昨夜よりも、ロウの表情は穏やかに見えた。
ロザリンはそっとロウの胸元に手を添える。
ロザリン「少しは眠れた?」
ロウは小さく頷いた。
ロウ「……はい、姫様がいてくれたので。」
ロザリンは微かに微笑んだ。
ロウは窓から差し込む光を見つめる。
ロウ「……でも……昨日の話が、まだ信じられません。」
ロザリンは黙って頷いた。
ロウ「父も母も……村のみんなも。
ヴァルガの野望のために……。」
ロザリンの表情が曇った。
昨夜のことを思い出す。
ヴァルガの告白。
月影の村。
禁術。
そして、ロウの父親の死。
ロザリンは視線を落とした。
禁術によって人生を狂わされた人が、あまりにも多すぎる。
ロウはしばらく黙っていた。
ロザリンは、そんなロウの横顔を見つめる。
ロウ「……父は最後まで村を守ろうとしていたんですね。」
ロザリンは小さく頷いた。
ロウ「真実を知っても、父が何を考えていたのかはもう聞けません。」
ロザリンの表情が曇る。
大切な人から、もう答えを聞けない。
その言葉が胸に引っ掛かった。
そして自然と、父の顔が浮かぶ。
病に伏したまま眠り続ける父王の姿が。
日に日に衰弱していく姿が。
ロザリンは静かに息を吐いた。
ロザリン「……ロウ。」
ロウは顔を上げる。
ロウ「はい、姫様。」
ロザリンは、少し迷ってから口を開いた。
ロザリン「……ヴァルガに……父上の病状について話を聞きに行きたいの……」
ロウは、静かにロザリンを見つめた。
ロザリン「禁術の影響で父上の衰弱が進んでいるなら、それを扱えるのは……ヴァルガだけ……
父上を救える手がかりがあるか……確かめたいの」
ロザリンを見るロウの目には、覚悟と不安が静かに混ざっていた。
ロウ「……ヴァルガなら、知っているはずです。」
ロザリンは少し考えるように視線を落とした。
そして、そっとロウの手を握る。
ロザリン「今日……、ふたりで聞きに行ってくれる?」
ロウは短く頷いた。その動きには、ロザリンと共に向かう決意があった。
ロウ「はい……姫様と共に向かいます」
ロザリンは安堵したように微笑んだ。
二人は静かに視線を交わし、
それからヴァルガのもとへ向かう準備を始めた。




