第122話 ふたりの願い
ロウは、ロザリンの言葉を聞いたあと、しばらく何も言えなかった。
嬉しくて、言葉が追いつかなかった。
ロザリンの手を離せなかった。
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
「……姫様」
ロウは、ロザリンの手をそっと握り直した。
その手は温かくて、触れた瞬間、胸の奥がふわりと満たされる。
「僕のために……そんな願いを……ずっと……本当に……嬉しいです」
ロザリンのまつげが揺れた。
ロウは続けた。声が震えた。
「……ありがとうございます。姫様に……そんなふうに思われていたなんて……僕は……幸せです」
ロザリンの瞳が揺れた。
「姫様……あなたが僕のために願ってくれたように……僕も姫様のために願います。あなたが笑うなら、僕は何だってできます」
ロウは、ロザリンの手を胸に当てた。
「姫様……僕は……あなたのお側にいたい。それは王城の中庭で、13歳のときに出会った頃から変わりません」
ロザリンの胸が、静かに震えた。
その揺れを受け止めるように、ロウは微笑んだ。
「守りたいとか……支えたいとか……そういう言葉だけじゃ足りません。姫様が僕を想ってくれているように……僕も姫様を想っています」
ロザリンは、その言葉をそっと胸に抱きしめるようにロウの手を握り返した。
「……僕は……あなたを大切にしたい。これからもずっと」
ロザリンはその言葉にそっと頷いた。
ロウは、ロザリンの髪に触れながら静かに言った。
「……姫様が願ってくれたこと……僕は忘れません。その想いに……応えたいんです」
ロザリンの目に、静かな光が宿った。
ロウは、その光を見つめながら言った。
「僕を想ってくれていたことが……こんなにも嬉しいんです」
ロザリンの頬が赤く染まる。
ロウは、その表情を見て、胸の奥がさらに熱くなった。
「……これからも、あなたを守るために生きていきます。」
ロウは、ロザリンの手をそっと引き寄せ、胸元に抱きしめた。
「あなたが僕を想ってくれたように……僕も、姫様を想っています。深く……誰よりも……」
ロザリンの呼吸が止まった。
ロウは、そのままロザリンの額にそっと触れた。
「姫様……僕は……あなたに忠誠を誓います。これまで以上に。いつまでもお支えします。あなたの願いが僕を呼んだのなら……僕はその願いに応え続けます」
ロザリンは、ロウの胸に顔を寄せた。
ロウは、その小さな震えを抱きしめるようにそっと腕を回した。
二人の間に落ちた静けさは、愛情と忠誠が重なった証のように、深く、温かかった。




