悪役王女の狂犬騎士
最新エピソード掲載日:2026/04/11
浅井凱斗は、ごく平凡な高校生である。
——ただしそれは、現実世界での話だ。
戦術シミュレーションゲームの世界において、彼は誰もが認める一流のプレイヤーだった。
そんな凱斗のもとに、ある日、妹が一枚のゲームソフトを持ち込んできた。
『白薔薇の血』
タイトルからして甘ったるい、いわゆる“乙女ゲー”と呼ばれるジャンルの戦術ゲームだった。
正直、凱斗はこれっぽっちも興味が湧かなかった。
適当な言葉で妹を追い返そうと、視線をパッケージへ落とした——
その瞬間である。
腰まで伸びた純白の髪。
アメジストのように冷たく澄んだ紫色の瞳を持つ、絶世の美少女。
——恋に落ちるのに、コンマ一秒も必要なかった。
その少女こそが、本作の物語を動かすキーパーソン。
クレイン王国が誇る、悲劇の悪役令嬢——
ヒリア・フォン・クレイン王女その人であった。
気が付けば、凱斗は一睡もせずにコントローラーを握り続け、そのままゲームをクリアしていた。
エンディングを見届けた瞬間、えも言われぬ虚無感が胸をよぎる。
「……ヒリアを、救うルートがあればよかったのに。」
その呟きが、運命の歯車を回した。
翌朝、目を覚ました凱斗は、自分がゲームの世界にいることに気づく。
しかも、憑依した相手は——
人気の攻略対象でもなければ、主人公でもない。
クレイン王女専属の近衛騎士。
——カレン・ホーエンハイム。
ゲームにおけるカレンは、忠誠心だけが取り柄の忠犬。
その忠義ゆえに非業の死を遂げる、悲運の漢だ。
そして、最悪なことに、目覚めたこの日こそが、運命の分岐点だった。
今日、この国で催される盛大な舞踏会にて——
ヒリア・フォン・クレインは、衆人環視の中、婚約者から一方的に婚約破棄を宣告されるのである。
——ただしそれは、現実世界での話だ。
戦術シミュレーションゲームの世界において、彼は誰もが認める一流のプレイヤーだった。
そんな凱斗のもとに、ある日、妹が一枚のゲームソフトを持ち込んできた。
『白薔薇の血』
タイトルからして甘ったるい、いわゆる“乙女ゲー”と呼ばれるジャンルの戦術ゲームだった。
正直、凱斗はこれっぽっちも興味が湧かなかった。
適当な言葉で妹を追い返そうと、視線をパッケージへ落とした——
その瞬間である。
腰まで伸びた純白の髪。
アメジストのように冷たく澄んだ紫色の瞳を持つ、絶世の美少女。
——恋に落ちるのに、コンマ一秒も必要なかった。
その少女こそが、本作の物語を動かすキーパーソン。
クレイン王国が誇る、悲劇の悪役令嬢——
ヒリア・フォン・クレイン王女その人であった。
気が付けば、凱斗は一睡もせずにコントローラーを握り続け、そのままゲームをクリアしていた。
エンディングを見届けた瞬間、えも言われぬ虚無感が胸をよぎる。
「……ヒリアを、救うルートがあればよかったのに。」
その呟きが、運命の歯車を回した。
翌朝、目を覚ました凱斗は、自分がゲームの世界にいることに気づく。
しかも、憑依した相手は——
人気の攻略対象でもなければ、主人公でもない。
クレイン王女専属の近衛騎士。
——カレン・ホーエンハイム。
ゲームにおけるカレンは、忠誠心だけが取り柄の忠犬。
その忠義ゆえに非業の死を遂げる、悲運の漢だ。
そして、最悪なことに、目覚めたこの日こそが、運命の分岐点だった。
今日、この国で催される盛大な舞踏会にて——
ヒリア・フォン・クレインは、衆人環視の中、婚約者から一方的に婚約破棄を宣告されるのである。